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記事一覧
【日常エッセイ④】ソアのタバコ
留学時代。
パリに着いてすぐに入った語学学校のクラスに、「主に泣いてます」の実写版のような、主に泣いている美女がいた。名前はソア。韓国からやって来た綺麗なお姉さん。
ソアがパリにいる理由。
それは、お金持ちの婚約者と破局したから。
思いをバッサリ断ち切るためにパリに来たという。
サラサラの長い黒髪に白く透き通る陶器のような肌。美しい鼻筋。メロンのようなバスト。きっとこの人は女優かなにかだだろうと
【日常エッセイ⑤】反田恭平さんのトークショーへ行ってきた
「トークショー?!え?ピアノ弾かないんですか?」
これは、反田恭平さんのトークショーのチケット購入成功に有頂天で大喜びし、チンドン屋の如く報告しに周る私を取り巻く人々のセリフ。
え?ピアノ弾かないと何かおかしいんだっけ。
あの日本で最もチケットが取れないピアニストと言われる反田恭平のトークショーだよ?
リサイタルなんて即完売の反田恭平だよ?
ナマで会えるんだよ?何か問題でも?
一瞬でたくさん
【日常エッセイ③】サブカル紅夫(べにお)
高校生の頃、昭和初期の漫画や1970年代の歌謡曲にハマり、池袋の寂れた古本屋やレコード店をセーラー服で徘徊するという謎の行動をしていた。
そしてその頃に映画の楽しさにも目覚め、ミニシアターでお気に入りの映画を見ながら、第二次世界大戦後の夜の町や高度成長期の艶めかしい団地妻の日々を描いた漫画を読みながら、フィンガー5や黛ジュンの復刻版CDを見つけては歓喜し、フランス人の美少年俳優に思いを馳せるという
【日常エッセイ②】ジャンルの違うオタク同士の敬意の払い方は「助さん格さん」
会社に藤井風さんの強火ファンがいる。
そして私は強火テテ(BTSのV)ファンだ。オタク同士、よくお互いの推しの話に花を咲かせる。お互い強火沼の住人のため、相手の沼をパシャパシャと汚さぬよう、細心の注意を払いながらお互いの推しについてあれこれ尋ねる。
彼女はテテのことを、「Vさん」と呼ぶ。アーミーでは無い自分が、あだ名である「テテ」と呼んではいけないと思っている。
「Vさん」。
玄人呼びだ。私は未
【日常エッセイ①】キングスマンとテテとドルチェ&ガッバーナー現象
2015年某日、その頃は仕事をせずに一心不乱に勉強をしていた時期だった。ある朝、ベッドの中で突然嫌になった。もう全部嫌だ。投げ出したい。今日はサボろう。なんか思い切りグレたい。
なかなか起き上がれないでいると、友人から「グレないか?」と連絡が来た。正確には「面白いスパイ映画があるんだけど見ない?」だ。「はい、グレましょう、行きます」
スパイ映画と言ったら英国紳士風ユパ様のようなダニエル・クレイグ