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12シトライアル第一章 13日の金曜日

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僕の自己満足連載、人物紹介と第一章まとめです。
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#12人

12シトライアル第一章       13日の金曜日part18

12シトライアル第一章       13日の金曜日part18

第十八話 地獄の始まり
 こうして、俺とこのわけのわからない12人との日々は始まってしまった。これはもう、否が応でも運命を信じないといけなくなる。というか運命からは逃れられないとでも言うべきだろうか。これがこの地獄の、すべての始まりなのであった。

 そしてこの地獄はそう簡単には終わらないだろう。無限地獄と言っても過言ではないかもしれない。だから仕方がない。俺も割り切るしかない。捉え方によっては楽

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part17

12シトライアル第一章       13日の金曜日part17

第十七話 本当にまともな本好き
 委員会集合も終わり、みんな帰り始めた。俺も帰ろうとした折、何やら田辺さんが分厚い本を本棚から一冊取り出して読み始めた。俺は興味本意で、
「田辺さんだよね。それ、何読んでるの?」
時と場合によってはノーデリカシー極まりない発言である。しかし、

「この推理小説、ものすごく面白いんです。岸さんも気になります?」
どう見ても小説の厚さではないと思っていたが、れっきとした

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part16

12シトライアル第一章       13日の金曜日part16

第十六話 図書室のペアリング
 さあ、早速やって参りました!図書室!図書委員会!ドアを開けると、やはりそこには後光が射した人影があった。
「こんにちは、大城先輩。」
「君は、あの時の。たしか岸くんだったかな。まさか図書委員に入ってくるとはね…驚いたわ。」
こうして先輩と話していると思い出したことがある。先輩は学園のマドンナである。他の図書委員の生徒が入ってくるたびめちゃくちゃ痛い視線を送られる。こ

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part15

12シトライアル第一章       13日の金曜日part15

第十五話 楽な委員会は?
 「今日のロングホームルームは、みんなの委員会を決めていきまーす!」
なぜか委員会決めの一週間前にはすでに学級委員長というポジションを手に入れていた芹奈がそう言い出した。
(できれば楽なのがいいな。部活にもバイトにも影響を及ぼしにくいような。あと、人間関係で困りたくないしな。ある程度知り合いがいるところ…頼む…!)

「それじゃあ一つずつ読み上げていくので、自分がやりたい

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part14

12シトライアル第一章       13日の金曜日part14

第14話 犬猿の仲
 下北による怒涛の多球練をなんとか耐え切った俺の方に下北は近づいてきて、目を輝かせながら言った。
「徹先輩!流石ですね!私の球出しに初見で喰らいついてくる人なんて初めてです!!いつもみんな大体途中でダウンしちゃうんですよー。なんでですかねー?次は先輩が出してください。全力で取りに行きます!!」

ホントに練習になると馬鹿みたいに熱心になるんだな、この子は。あと、なんか心なしか練

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part13

12シトライアル第一章       13日の金曜日part13

第13話 パッション的新入生
 「とーる、お疲れー!」
ある日部活に行くと、由香里が何やら嬉しそうな顔で声をかけてきた。
「お、おう、お疲れ。」
不審に思いながらもそう返すと、
「今日は!とーるに!なんと!紹介したい人がいまーす!」
見ると、由香里の後ろに何やら人影がある。
「心愛ちゃん、出ておいで!」
すると由香里の後ろからひょっこりと一年生と思しき女子が出てきた。

「下北心愛っていいます。こ

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part12

12シトライアル第一章       13日の金曜日part12

第12話 狭き世界かな
 はあ…やばい新人が入ってきたもんだ。こんなに疲れた後で今日は残念ながら塾だ。中学時代から通っている塾だが、大学受験にも対応してくれているのでとても助かる。

「あれ?徹さんじゃないですか。こんにちは。」
そう声をかけてきたのは俺の2歳下、中学三年生の岩井杏奈ちゃんだ。見た目もいかにもお淑やかといった感じで、育ちの良さが窺えるような、はっきり言ってめちゃくちゃいい子だ。

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part11

12シトライアル第一章       13日の金曜日part11

第11話 ブルジョワ的新入生
 「あのー、卓球部ってどこですか?」
ネクタイの色からして一年生だろう。何やら一枚の紙を握りしめて俺にそう聞いてきた。よく見るとその紙は、入部届だった。
「入部希望者だよね?俺、卓球部の岸徹っていうんだ。これから部活だからついてくるか?」
「はい!それじゃあ、連れてってください!」
こうして俺たちは部活に向かった。

「金本玲、か。これからよろしくな!」
「こちらこそ

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part10

12シトライアル第一章       13日の金曜日part10

第十話 悶絶!コブラツイスト
 俺は、さっき食べてしまった、紗希が作ったフレンチトーストの成れの果てを食べて胃を壊し、胃薬を飲み、トイレに籠ること15分。いつもより15分遅い出発で遅刻かなりギリギリだ。

 万全でない体調の中、走り続けた俺は朝礼開始の鐘とほぼ同時に教室に入った。
「ギリギリセーフ…か…」
「岸ー、早く席に着けー。」
先生言われ、俺は席に着いた。

 5分後、朝礼は終わった。という

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part9

12シトライアル第一章       13日の金曜日part9

第9話 甘味?毒味?
 「おーい、とーくん、起きてー」
そう言われて目が覚めた。ここ最近色々ありすぎて疲れてたのもあって余程深く眠れていたんだろう。いい目覚めな気がする。
「あ、とーくん起きた、おはよー」
「ああ、紗希か、おはよう。…で、お前、何で俺の上に座って起こしてんの?」

俺に座っているコイツは幼稚園時代からの幼馴染の古川紗希。因みに家は隣同士だ。高校は違えど、中学までずっと一緒だった名残

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part8

12シトライアル第一章       13日の金曜日part8

第八話 ティータイム・ハードモード
 今日は部活がオフなので放課後はバイトをしている。もともとコーヒーが好きで始めた喫茶店のバイトだったが、週二回のこのバイトの時間がものすごく心地いい、楽しみな時間なのだ。それにこの喫茶店は、喫茶店なのにディナーメニューもやっている、小さなレストランのような店なので、学校終わりでも充分働ける。学生としてはありがたい限りだ。しかし、そんな平穏なバイト生活も去年の冬ご

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part7

12シトライアル第一章       13日の金曜日part7

第七話 蛇睨み
 そしてその後、ちゃんと席も決まった。俺の席は廊下側から二列目の前から三番目。何とも言いがたいポジションだ。隣、どんなヤツなんだろう。そう思って右を見ていると、

「何?さっきからジロジロあたしのこと見てきて、あんた変態か何かの類?」
「初対面でそれは結構心にくるな…」
こんなやつの隣で一学期は過ごすのか。先が思いやられる。

「別に俺はそっちを凝視していたつもりなんかないな。俺は

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part6

12シトライアル第一章       13日の金曜日part6

第六話 心外なる侵害
 「あっ、岸くんじゃん!おはよ!」
教室に入るや否や、岩井さんが俺に挨拶をしてきた。
「ああ、おはよう、岩井さん。」
「む、なんか他人行儀。苗字にさん付けはなんか距離を感じるなぁ…」
岩井さんが何やら顔をしかめた。コイツだって俺を苗字プラスくん付けっていう一番距離のある呼び方してたくせに…
「えーっと、俺に、どうしろと?」
「あだ名か下の名前で呼んでほしいなー。あ、名前なら呼

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12シトライアル第一章       13日の金曜日part5

12シトライアル第一章       13日の金曜日part5

第五話 週始めの終末
 まったく、金曜は酷い目に遭ったもんだ。掴みどころのない旧クラスメート、手間のかかりそうな新クラスメート、ウザいし前しか見てないダブルスパートナー、重度のブラコン従妹に息つく間も無く絡まれた。これほどついてない日が今まであっただろうか。そう思い、今日も今日とで廊下を歩いていた折、突き当たりから何かがぶつかってきた。割とすごい勢いで。そして何か角ばったものの角が俺の左腕にクリテ

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