12シトライアル第一章 13日の金曜日part11
第11話 ブルジョワ的新入生
「あのー、卓球部ってどこですか?」
ネクタイの色からして一年生だろう。何やら一枚の紙を握りしめて俺にそう聞いてきた。よく見るとその紙は、入部届だった。
「入部希望者だよね?俺、卓球部の岸徹っていうんだ。これから部活だからついてくるか?」
「はい!それじゃあ、連れてってください!」
こうして俺たちは部活に向かった。
「金本玲、か。これからよろしくな!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「金本は卓球今までもやってたのか?」
「はい!中2の頃からやってます!」
「そうか、楽しくやろうな!」
「はい!」
程なくして卓球場に着いた。
「そういえば金本は用具何使ってるんだ?」
「Nitta○uのホル○ーシーベンに、フォアはディグ○クス、バックは○ナジー05貼ってます!」
「それ余裕で合計4万超えるじゃねぇか!」
まさかのコイツ、かなりの金持ち?!それに、完全に上級者用の用具ばかりだ。末恐ろしいことこの上ない…
「お小遣いはたいて買いまくってます!!」
わからない人のために説明しておこう。卓球の用具というのは実に高価なものが多い。ラケット本体だけで普通に一万円もしたり、ラバー一枚で五千円以上なんてよくあることだ。しかもラバーは両面、つまり2枚必要なので、卓球をするためにどうしても二万円近くはするものだ。俺だって今の用具は二万円少しした。だが間違いなく言えることが一つある。それは、いくらなんでも金本は用具にお金をかけ過ぎているのだ。俺もプロではないので詳しくは言えないが、多分一回あたりで言えば、プロ並みに用具代を費やしている。
コイツは財力を以て用具を高級用具を買い漁るいわゆる卓球重課金勢だった。そして選んでいる用具からして、かなりの上級者だと思われる。実力が備わっていないと、逆に用具に使われるだけだからだ。コイツと打つの、楽しみではあるが、気をつけた方が良さそうだ。何だ、コイツは…
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