📸やりがい搾取に振り回されない|誤った使命感をもたないために。

カメラを構える皆さんが抱える、少しばかりの違和感。それを見逃してしまうと、人生を苦しみに導きます。以前書いた『生きづらさ』とも共通することがあります。それは、やりがい搾取です。

私の写真は誰かに求められている。だから一生懸命頑張ろう。この気持ちは、ある意味で大切です。人間は多かれ少なかれ、承認欲求があります。しかし、思いが強すぎると身を滅ぼします。なぜなら、無理をしすぎるからです。たとえ需要があったとして、身を削ってまで『頑張る』必要は無いのです。好きなことは、心の健康(睡眠時間、金銭等)を保ってこそ、成り立つものなのです。

野球の良さを伝えたいと人はいいますが、実際のところどうでしょう。私はこの言葉に、少しだけ違和感を覚えます。あなた(私含め)がわざわざ気合いを入れずとも、自然に伝わっているからです。その魅力を+αの要素として伝えたいという意味合いであることは、十二分に承知しています。しかし注意しなければなりません。自分が自分がと、主張を重ねることで己を疲弊させます。無意識のうちに、他者と比べてしまうからです。

誰かに喜んでもらえる嬉しさ。その思いだけで突っ走ってしまうと、自分を破壊します。求められていないやりがいに出会い、身を滅ぼしてしまうのです。もちろん楽しみにしてくれている人は、たくさんいるでしょう。しかしその人たちは、あなたが苦しむことを望んではいないはずです。

睡眠時間
他に充てられただろう時間
交通費
カメラの維持費

時は金なりという言葉があるように、人生において時間はとても大切です。だからこそ、伝えたいのです。

自分の体や金銭の限度をこえてまで突き進む先に、何がありますか。

自分の身の丈に合うやり方を実践していった方が、絶対的に幸せになります。それは、無理をしないことで『心の健康』が維持されるからです。自分の身の丈に合ったやり方を選択することで、健やかに過ごすことができます。金銭面も、体力面も、時間も。あなた自身を犠牲にしてまで、何かをする必要はないのです。

多くの人が待ってくれている。だから、その期待にこたえたい。そういう人もいるでしょう。確かにあなたの作品を待つ人は、たくさんいるかもしれません。しかし、先ほど書いたようにあなたが苦しむことを願う人は、誰一人としていません。自分のペースで好きなときに好きなことをやる。それでいいのです。愛は回数や時間だけでは図れません。何百試合行こうとも、何百時間かけようとも、それは一つの指標に過ぎないのです。人がたくさん活動しているからと、自分の健康を損ねる必要はないのです。誰と戦っているのですか。

色々な甘い声をかけてくる人もいるでしょう。自分を褒められたり、肯定されれば誰でも嬉しくなります。当たり前のことです。しかし、一つ一つに真摯に向き合ってしまうと、行きつく先は地獄です。あなたの熱意ややる気を逆手にとって、わがままをいう人もあらわれるでしょう。

写真、早く送ってくれませんか。

一度や二度、いわれたことはありませんか。もちろん『撮らせていただいている立場』ではありますが、あなたにも時間があるでしょう。仕事に勉強にバイトに課題。ただただぼーっとする時間も、生きる上で大切な時間です。

真面目な人だと、早くまとめなければならない。相手のために頑張らないといけないと思うかもしれません。しかし、無理しすぎることはないのです。

もちろん仕事であれば締め切りがあります。そこに照準を合わせて物事を行うのは、人として当たり前ではありますが、好きなことはまた別です。一つだけアドバイスができるとすれば、無理のない約束を交わすことです。いつまでに渡せそうか、おおよその目安を伝える。それよりも伸びそうであれば、事前に連絡をする。自分の心を苦しめるのではなく、やりやすい方法を模索することです。

また、金銭面で苦しむ人を時々見かけます。遠征費や機材の費用を上手く工面できない。それが、大きなストレスにつながっているというのです。

自分のできる範囲で。
全てを網羅することが、必ずしも良いとは言えない。

私自身も、自分の生活費を限界に削ってまで好きなことは取り組みません。欲しい機材もレンズもたくさんありますし、行きたい場所も多くあります。とはいえ、金銭的にも時間的にも限界はあります。

それをいちいちストレスに感じていたらもちません。それなので私は、自分のできる範囲で楽しむことを決めています。人と比べないことです。

ここまできて薄々気が付かれた方も多いと思います。やりがい搾取は、己の勘違いなのです。やりがいを強く意識し、振り回しているのは自分自身なのです。振り回されているのではありません。自分が勝手に暴れまわっているのです。誤った使命感が、怪物と化しているのです。

誰かのためにと意識することが、一種のモチベーションに繋がります。しかし、誰かのためにと意識しすぎると心が死んでいきます。他者と比べ、うまくできない自分にいら立ち、好きなことが嫌いになります。

絶対に背伸びしない。

最も大切なこと。高みを目指すことは、人生を豊かにします。ただそれは、段階を踏むからこそいえることです。階段は段をとばして駆け上がれますが、人生は何かをすっ飛ばしていくことはできません。一歩ずつ確実に進むのみなのです。

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書けば書くほど、自分の過去の愚かさが露呈されます。ああ、なんて馬鹿なことを考えていたものかと反省の日々です。もちろん今でもそれは変わりません。何十年か先にこの文章を読み返すと、なんて愚かなことを書いたのだろうと思うかもしれません。そうやって少しずつ成長しているのだと思っています。

好きなことで苦しむ人があまりに多い。こんなにネットが普及している世の中ですから、ある程度仕方のないことなのでしょう。私自身もネットと上手く付き合っているとは言い難いですが、ほどよい距離感をもって付き合っていけたらいいなと考えています。苦しむのはもうやめよう。自分を解放できるのは、自分自身だけです。