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頼朝、毒殺説!?んなわけあるかバカw政子へ義時へ、少年漫画ばりの世代交代劇に胸熱!第26回「悲しむ前に」見どころ振り返り!【鎌倉殿の13人】

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第26回の感想です。

前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)

「頼朝の死」を、2週に渡って描くとは。「実は25回放送終了の時点で頼朝は死んでいなかった?と思う」とは前回のnoteでも書いていましたが、落馬から死までのストーリーまでもここまで濃密に描いてくれるとは、また衝撃でしたね。

そもそもこの『鎌倉殿の13人』には妙なジンクスがありまして。「徳を積むようなことをすると死期が近づく」みたいな描き方がされてきました。

上総介=上総広常しかり、九朗=源義経しかり、蒲殿=源範頼しかりって感じですね。これまで散々身内を殺してきた頼朝が死ぬには、もう一週分のエピソードが足りなかったってことなんでしょうか……いやいや、そんな穿った見方をしちゃうのは、だいぶ性格の悪い僕みたいなやつだけで結構ですがw

また前回は「義時(小栗旬)が頼朝(大泉洋)へあげた水に毒を盛っていたんじゃ」なんて疑惑もSNSで出ていましたが、それも完全に否定される形になって良かったと思います。毒だとしたら、死ぬまでこんなに時間がかかるものでしょうか。むしろ飲んだ瞬間に「え、こうも早くポックリいっちゃう?」ってほど、逆にアッサリ死んじゃうのが過去の大河作品でもお決まりのパターンです。

例え時間がかかってジワジワ効いていった結果だったとしても、ですよ。これから自分が支えていくことになる姉・政子(小池栄子)が、眠り続ける頼朝の世話をしながらだんだんやつれていく姿を見て、良心の呵責に耐えられるはずもありません。

ちなみに僕自身は、前回、時政(坂東彌十郎)にも殺意があったのではと何気に疑ってたんですけどね……だってあのオヤジ、五郎こと時連(瀬戸康史)が失敗した餅を頼朝に食わせ、喉に詰まらせてた張本人ですからね。結局自分は「こりゃいかん!」と慌てるばかりで、あの時、頼朝の命を救ったのは義時でした。

今回は時政&五郎も、頼朝の回復を願って、冬の寒空の下で行水を行ったりしてます。時政の悪友・次郎こと三浦義澄(佐藤B作)まで巻き込んでよ……って、巻き込まれたのは五郎の方か(笑)。しかも、寒すぎてみんな途中で辞めちゃってましたね。ああ、ただのバカだこいつら……と、安心するというか、ほっこりするシーンでした。

でもまぁ、当時としてはそれも命がけだったんですよね。「こっちが風邪ひいたらどうするんだ!」って時政のセリフもありましたけど、当時の医療レベルでは風邪ひくだけでも一大事ですから。

そういう細かなギャグを織り交ぜながらも、ドラマ全体を通して、普通に涙なしには見れない展開だったと思うんですよね。あんなにヒデェことしてきた頼朝だけど、流石に死の瞬間まではしんみり観ちゃいます。

特に最後の最後、縁側に座って、政子に笑顔を投げかけながら「これは何ですか?」と干した果物をつまんで見せてたシーンは印象深かったですよね。

政子が見た幻か?と思いきや、政子が喜んで人を呼びに行った次のシーンでは、実際に縁側で倒れた頼朝の姿が。視聴者の方には「なんで死ぬ直後に意識が戻ったんだよ」と思われた方もいたかもしれません。ファンタジーな描き方のようにも思えますが、実際に人の死の直前には「ラストラリー」という現象が起こることが知られており、それを描写したようなリアルな演出にも僕には受け取れました。

いずれにしても、最後に政子へ笑顔を見せてくれた頼朝。彼の世話を続けた政子の努力が報われた、ほんの小さな奇跡の瞬間だったのかなとも感じます。

ただ、今回のタイトルでもある「悲しむ前に」。悲しみに浸らせてくれよ~!と思いつつも、早くも新章というか、むしろ本題である「13人のパワーゲーム」に向けての幕がいよいよ開きかけてきました。

まずは次期・鎌倉殿をかけてのひと悶着ですよ。ここでまさか頼朝兄弟の最後のひとり・全成(新納慎也)ちゃんが台頭してくるなんてね。史実では、少なくともこの時点で「全成を次期・鎌倉殿にする」という話が出てきたのか出てきてなかったのか、史料がないということなのでわからないということみたいですけど……。

そもそもこの当時の次期鎌倉殿・頼家(金子大地)って、元服してるとは言えまだ10代ですからね。演じている役者さんがもう25歳なんでちょっと絵的にわかり辛いところもありましたが。

ただ、りく(宮沢りえ)の話では、「頼朝と違って気性が荒く、頼朝と似て女子癖が悪い」ということでした。実際、まだ頼朝が生きている段階からすでに「次期・鎌倉殿は私に決まっている!」と息巻いていたシーンもありましたし。キャラ的にも次期当主としてちょっと危ういところはすでに見え隠れしている様子です。そもそも巻狩りの際には、動かない鹿にすら当てられかったしな。デタラメで射た矢なら比企能員(佐藤二朗)の足には命中してたけど(笑)。

そんな彼が、政子から次期・鎌倉殿として選ばれた瞬間もですよ。「私に務まるかどうか」と、一度は引いてみる。そこで政子に諭されてようやく引き受ける、というスタンスを取っていましたが。実はこの細かいやりとりも、梶原景時(中村獅童)の入れ知恵だったことが判明。

いやぁ、頼家、今まであんまりドラマの中で出番の多いキャラではなかったですけれど。こういう細かいセリフの端々やシーンの一つひとつからキャラが浮き彫りになってくるのは、描き方がうまいなとは思います。

ともかく、全成が選ばれなかったのは正しい選択だったか誤った選択だったのか。「史実だから仕方ないんじゃね」と言われればそこまでですが(笑)、この結果から北条家が真っ二つに割れてしまったというのが印象深かったですね。それにしたって最終的には史実通りになるんですけど、こんなところから伏線をつくっていくのか、と。てっきり、北条VS比企のバトルが先にくるものだとばかり思ってた……史実ではそっちの方が先にきますからね。

ただ伏線と言えば、「曽我兄弟の仇討ち」、もとい頼朝への謀反の際もですよ。全成の妻、実衣(宮澤エマ)は「(頼朝の嫡出の次男・千万の)乳母となって育ててきた甲斐があったというものだわ」なんて恐ろしいセリフを口にしていました。あれも伏線だったかー!

今回、時政パパに「全成殿を次期・鎌倉殿に立てる。実衣、お前は御台所になるんじゃ」なんて言われて、最初こそ面食らった様子でしたが、「姉に務まるんですから私だって」とだんだんその気になっていきます。

政子は、自分の妹はそんな権力の魔力に囚われているだけだと悟ったのでしょうか、「あなたに御台所が務まるものですか」と一喝するのですが。今回の終盤のシーンでは実衣が、政子に対して「権力は人を変えてしまうものですね。昔はそんな人じゃなかったのに。悲しい」なんて言い放ってしまいます。視聴者の我々からすれば、「いやそれはお前だろ!」と、完全にブーメランのように聞こえましたね……。

そして今回、最も悪女っぷりを見せたのはりく。彼女も北条の繁栄を考えているというのは同じですが、もともとは都(京都)育ち。今でも都の華やかな暮らしに戻りたいという思いを前回・第25回でも語っていました。

そんな彼女にほだされたのが時政パパ。義時に向かって「鎌倉を比企に取られていいのか!」と怒りを露わにしますが、「それは父上のお考えですか?」と義時から問われれば、「りくの考えはわしの考えじゃ!」なんて言い放ちます。ダメオヤジ感満載ですよね……自分から「ワシは妻に洗脳されてるぞ!」って認めてるようなもんじゃん(笑)。

でもまぁ、令和の一般家庭ならそれでもいいんですよ……いわゆるかかあ天下ってやつですか?大いに結構。しかしながらこの物語、時は鎌倉ですからね。女性の意見にほだされて私利私欲に走った者から制裁を受けていきます。

また時政・りくコンビも今回のラストシーンでは「頼家はボロを出します」「出すかなぁ」「出さなければ、こちらから仕向ければいいこと」だなんてヒーローアニメにありがちな「悪の秘密結社にいる男女ペア」のような悪そうな笑みを浮かべていました。制裁を受けるのは、お前らだよ……ってか、りくはともかくとして、時政も、よくも頼家をはめようだなんて思えるよね。血のつながった孫だよ?やっぱ洗脳されてるなぁ……。

さてさて、主人公の話をあんまりしていませんでしたね。義時も今回、いろいろ忙しく動き回っていました。頼朝の世話を続ける政子に「お休みになられた方が。私と比奈が代わります」と気遣う一方で、政子が場を離れるや八田知家(市原隼人)と共に火葬場の打ち合わせをしたり。

義時のそう淡々とした様子は、見る人によっては「あれ、義時、頼朝の容態を別に心配してなくね?むしろ早くポックリ逝ってくれとすら思ってね?」なんて映った方もいるとは思うんですよ。

その証拠として、八田殿との会話の「燃え残っては困るのだが」というセリフを挙げたり。どうも、燃え残ると毒殺した証拠がバレるって発想みたいですけど。いやいや、当時の医学レベルでそんなことわかるかよ?

ちなみに僕自身、もし燃え残ったら、頼朝の父・義朝のように「これが義朝の髑髏じゃ!」「……マジで?」「ほかにもいっぱいあるぞ!!」みたいな……だいぶ前の回で出てきてた文覚(市川猿之助)のネタみたいな展開になっちゃうのを妄想したんですが。それもあるのかなぁ?

ただネットにあった考察の中で、個人的にこれだ!と思ったのが、「火葬できるのは上流階級の証だったから」とする説ですね。

これは泣けますよ……。そもそも源氏って、武士でありながら「清和天皇」を祖とする一族なんですよ。つまり元々は、天皇家の血筋だったんですよね。

そんな中での征夷大将軍・頼朝のご逝去なわけですから、あの世に旅立たれる際にも、都人(みやこびと)と同じように盛大に送り出してあげないといけないわけです。義時には最初からそんな思いがあったのでしょう。

片や、次期・鎌倉殿問題。そして片や、頼朝の葬儀問題と……一般の人なら家族の葬儀のことを考えるのだって大変なのに。そりゃあ義時だって、悲しんでる暇はありませんよ。お金だってめっっっっっちゃかかってるだろうしな。今の時代みたく、保険金が還ってくるわけでもあるまいに(苦笑)。

何より「もう何日も食べ物を口にされていない」というセリフ。点滴さえない当時の医学で、その点においても頼朝が死ぬのは明確だったわけです。だったら少しでも頼朝が憂いなく旅立たせることに全力をかけるしかなかったわけで。

やがてそのすべてをまっとうし、「私は鎌倉を去ります」と政子に言う義時。恐らくこの時点での義時自身の選択としては、本当にそれがベストだったのでしょう。北条の家は誰が継ぐのかという問題もありますが、少なくともこの時点でそれは、時政とりくの間に産まれた嫡男の役目であるハズ。義時は、そんな時政やりくとも仲違えをしてしまいました。源氏の跡取り問題ですら揉めるんだから、自分の家庭でまで揉めるのはゴメンでしょう。

まして義時には、比企家からきた後妻・比奈(堀田真由)がいる。今後、北条と比企の対立が高まるということは義時自身の口からも何度も語られています。その比奈を両家の争いから守りたい。そして、鎌倉に残していく北条家も。

今回は、北条と比企の仲介役として、三浦義村(山本耕史)にまで依頼を出していました。「頼家様とつつじ殿の間にお子が生まれたときには、三浦から乳母を」と。本当、大切な人たちを守るために、こうやって幾重にも対策を講じているのです。

ここまでやったのだから、もう自分は伊豆に帰っていいかな?姉ちゃん。後の鎌倉は姉ちゃんに任せたよ、と。義時 a.k.a 小四郎のような普通の弟だったら、みんなそんな気持ちになると思うのです。長男だったらもっと頑張るだろうけど、次男だよ?と……って、『鬼滅の刃』じゃないですけどw(※伝わる人にだけ伝われ)

(ちなみに、政子には「息子の太郎(北条頼時・坂口健太郎)も(鎌倉に)いる」なんて言ってましたね。息子も残していくつもりだったんかよwまぁ、元服してる→もう大人だからいいのか……)

でも、それを許す政子ではありませんでした。だって、そんな義時からお願いされたからこそ、自分も頼家を次期・鎌倉殿に立てるという決意に至ったのです。それも、「私と小四郎の考えです」と、頼家に伝えたセリフにもしっかりと想いが出ていました。なのに小四郎、自分だけ伊豆に帰りたいだぁ?「あなた卑怯よ」というセリフが政子の口から出てくるのも当然です。

ただ、そんな姉からの非難の言葉でも動かなかった義時。ようやく心が動かされたのが、次の瞬間でした。政子の手から、そっと託された小さな仏像。あの頼朝の髪から出てきたものです。頼朝が比企尼(草笛光子)に「もう捨てた」と言っていた筈の……本当は捨てられていなかった、言わば、頼朝自身とも言える小さな小さな仏像です。

ここでもう一度、「あなた卑怯よ」というセリフが効いてきます。「卑怯」というのは、単に政子を見捨てて自分だけ伊豆に帰ろうとしていることだけを指していません。頼朝を傍で支え、学び、そして受け継いだ自分の心からも目を背けようとした、小四郎自身に対する「卑怯」だったのです。

まるで少年漫画のようなこのシーンに、胸が熱くならなかった視聴者の方は本当、勿体なさ過ぎます。頼朝は死んでなどいませんでした。政子の胸にその精神は生き続けており、そして小四郎の胸にだって生き続けていたのです。

やっぱりこのシーンは、そんな風にストレートに感動していいと思うんですよね。本当、「義時が頼朝を毒殺した」だとか言った方、反省してくださいよ(笑)。陰謀論じみた見方をするのも楽しいときはありますけど、そういう穿った見方ばかりにとらわれ、このシーンで制作者が本当に表したかったドラマに感動できないというのも、残念だなと思うんですよね。

……まぁもちろん、この先どうなっていくかは(苦笑)。先のストーリーで「やっぱり義時、あのとき頼朝に毒を盛ってましたー!」なんて暴露される日がきたら嫌だな。そんな風になったら「この時の俺の感動を返せ!」つって、別の意味で泣いてやるよ(笑)。

さて、今回も長々とレビューしてしまいました。もうちょっと語り足りなかった部分を、最後に箇条書きでまとめてみます。

  • 冒頭、頼朝の容態を診た医者の対処を梶原殿が「任せろ」したのを、畠山重忠(中川大志)殿が慌てて止めに入ったのは笑ったよね……ナイス「善児キャンセル」(笑)。

  • 全成ちゃんの「髪も伸ばし始めてる。チクチクして面白いよ、触ってみる?」はクセになりますね。軽すぎるだろこの坊主ww面白いけど、やっぱり次期・鎌倉殿の器じゃないわ……

  • 鎌倉殿の火葬場を組み立てるシーン、八田殿、太郎の他に、鶴丸(きづき)もいましたね。八重(新垣結衣)さんファンとしては、忘れ形見の鶴丸の動向も気になるんや……今後も八田殿との絡みで出て来たりするんでしょうか。意外と注目。

  • 義村の「頼朝、死ぬらしいな」という他人行儀なセリフも笑った。この一歩引いた感じのスタンス、良いっすよね。われ関せずというか。でも頼家の子の乳母を三浦から出してほしいと義時にお願いされて「いよいよ三浦の出番ってわけか」と久々に張り切った様子も見れました。飄々としてるようで、ちゃんと三浦一族の将来も気にかけている……クールに見えるけど内面は割と熱い男なのかもしれません。まだ謎が多いですけど、これからどういう面を見せていくのか楽しみでもあります。

  • 和田義盛(横田栄司)が「馬に振り落とされたらしいぜ」と頼朝の落馬について陰口を叩いていたのは、まあそういうポジションのキャラだから仕方ないよなと思うものの。それに応じて畠山殿も「寂しいお方だ。悲しんでおられるのは身内の方だけ」と若干冷めたような言い方をしていたのは、ちょっと意外で、残念にすら思いました。畠山殿も北条にとっては身内でしょうに……と思いましたが。ただ、それを盗み聞きしていた太郎=北条頼時。あとで父・義時に「鎌倉殿は肩が汚れていました。つまり落馬の際に手を付いておられぬということ。馬から振り落とされたのではなく、落馬の前に意識を失われたのだと思います」と伝えに来たのは泣ける演出でしたね。この子はいい子に育つよ……さすが俺たちの泰時(後の鎌倉幕府第3代執権・北条泰時である※ネタバレ)。

さて、来週10日は、選挙のため放送はお休み……って、マジかよ!!生きていけない!!

ただ、新章突入の直前である16日(土)17日(日)には、第18回~第25回までの一挙再放送が決定!!うぉおぉおおおぉおおぉおぉお!!

これで義経ロス八重さんロス蒲殿ロス頼朝ロスを一挙に堪能できるね……って、ロスばっかじゃねーかwwww

この一挙放送に耐えられる人いるのか……?むしろ、まだ観てない方もここから楽しんでください!

ハードルたっけぇなぁwwwwww

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