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昔は「雇われた者勝ち」今は「雇った者勝ち」の時代

昭和や平成初期の時代は、就職する=正社員になるのが当たり前でした。
そして正社員になれば年功序列で無条件昇給(しかも年齢=月給)と手厚い補償が得られました。
その上、自主退社しない限り定年まで就業する事が保障されていました。
ですから雇われた者勝ちと言われた時代がありました。
誰もが何としてでも正社員になりたがり、また正社員になれた黄金時代があったのです。

それも90年代までの話。
2000年代になってくるとバブル崩壊の影響が広がり、今までの経営方式が成り立たなくなり、多くの企業は大転換を求められるようになりました。
代表的なものが派遣社員の雇用です。
昔、高給で雇った正社員の雇用を守る為に、安くていつでも解雇出来る派遣社員を雇うようになりました。
氷河期世代の人の中には正社員に一度もなった事がない人もいるほどです。

時代が進むにつれて派遣社員を雇っても経営が上手くいかない企業も現れ始めました。
政府の補助金がないと成り立たない、いわゆる「ゾンビ企業」です。
競争社会で負けて市場価値がなく存在理由がないのに、しぶとく生き残っている企業です。
こういった企業は生産性が低く、従業員という限りある資源を無駄遣いする国益に反する企業です。
ゾンビ企業は経営者が生き延びる為だけに存在しているので、本来存在してはいけない企業なのです。

そんな企業が生き延びる為に考案された経営方法が2000年代から少しずつ世に現れ始めて、2020年頃にもなるとゾンビ企業の主流とも言えるものが誕生しました。
その手法とは、「真実でない求人で新入社員を雇い、誰にでも出来るように標準化された作業をやらせて、その新入社員を低賃金で雇用し、企業にとって有益な存在でなければ解雇する」というものです。

多くの人は正社員で働きたがります。
好き好んで派遣社員などの非正規雇用はなるべくなら選びたくないでしょう。
そして少子化のこの時代では人材は減っていく一方です。
派遣社員などの人材は外国人が増えてきました。
しかし面倒を避けるために日本人を雇いたいゾンビ企業は正社員の募集を偽って載せるようになりました。
法律上、景品表示法などで禁止はされていますが、実際には真実を隠したり多少盛った内容の求人を掲載しても、ほぼ問題視される事はありません。
その偽りの求人に釣られて入社した新入社員が使えないと判断すると、あっさり解雇するのです。

日本では雇用は法律で厳重に守られているから、簡単に解雇など出来ないのでは?と思う人が多いかと思いますが、実際には簡単に解雇できます。
例えば入社半年後、使用期間が切れるタイミングで解雇する事も出来ます。
あるいは辞めさせたい人を毎月配置転換させていれば、数か月後には「企業として雇用を守る努力はした」という体面だけ作れるので解雇出来ます。

他にも、何の理由もなく突然30日後に辞めてくれと宣告して解雇する企業もあります。
もしそれで訴えられたら「業務命令違反をした」等のでっち上げをすれば認められます。
日本の裁判制度は先進国の中でも割と進んでおらず、ルールよりも裁判官の印象で判決が決まる事が多いです。
一個人の言い分よりも、企業の言う事の方が認められやすいのが現状なのです。

話を戻します。
偽りの求人で新入社員を雇い、低賃金なのに有益な人材だけを残して、それ以外は解雇する事を繰り返していれば、いくらゾンビ企業と言えども自然淘汰から免れる事が出来ます。
多くの人は一度入社すると自ら退職したがりません。
それを逆手に取って求人内容と全く違う内容で契約し、低賃金で雇用するのです。
その「新人ガチャ」の手法が今の中小企業の主流になっています。
これが、毎年平均賃金が低下する理由なのです。
昇給という制度があるにも関わらず毎年平均賃金が下がっていくのは、新入社員の給料が年々下がっている事と、昇給額が少ない事、それから転職者が多い事なのです。

正社員でも簡単に解雇される時代になりました。
今は経営者の時代です。
昭和初期は自営業が多く、時代が進み経済が発展するにつれてサラリーマンが増え、そしてまた日本経済の没落によって自営業の時代に突入し始めているのです。
非正規社員をしている人も、自分で仕事を探してお金を稼ぎ、仕事がなくなればまた別の仕事を探してお金を稼ぐという意味では、今の時代なりの自営業とも言えるかも知れません。
少なくともサラリーマンではないでしょう。

全員ではありませんが「人は使い捨てるもの」というのが今の経営者の考えです。
そういった日本経済にとって不利益を生む企業が自然淘汰される社会を目指しませんか?
今は個人が発言力を持つ時代です。
企業に好き勝手される時代に終止符を打ちましょう。

私は転職者さんが正しい企業に転職される事のお手伝いをしております。
花が咲き笑む世界を実現したいと思っております。

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