三篇:「朝」「掟」「知覚」
「朝」
一杯の紅茶に
いま過ぎた顕生の風
海百合の頸吊に閃光し
真理の満ち引きを海豚が跳ねる
遊牧する古代母音の凍て
雨が海洋に太古を叩く
さて
羊歯の垂直に
機械は遠のいた
廃屋の廃テーブルでは
熱が想像に遅れている
「掟」
奇形にして
真正なるもの
その下の
盗掘された都市
ふたなりの王(ファラオ)
から至高の犬が
逃げ出した
火は成蟲となって
掟が路地を湿らす
Je pense donc……、狂気
まで往けば
図書館の裏が溶けるだろう
だが離(さか)りに任されて
我ら