気持ちの伝染
気持ちは伝染する。そしてそれはマイナスな感情ほど伝染しやすい。
今日は夕方から買い物をしていた。最初のレディースのお店はたまたま前も接客してくれていた店員さんがいて、覚えてくれていた。純粋に嬉しくて話も弾んだ。ものすごく気持ちよく買い物を終えた。
でも次のお店がしんどかった。有名で人気のブランドなのでお店の広さもかなり広い。だから店員さんが疲弊するのも分かる。でもたまたま私のレジになった店員さんはものすごくイライラしていた。カード払いだったのでレシートで金額の確認をする。店員さんがボールペンで金額を示すその「カンッカンッ」という音がやけに響く。何をそんなにイライラさせてしまったのだろうか。
時間帯的にも顔つき的にも学生なのだろうと思う。大きい有名店だしショッピングモールに入っているからいやなお客さんが来るのも分かる。私の受け答えが気に入らなかったのなら、なおす。疲れていたのでそっけない受け答えを私がしてしまったんだと思う。でも、プロならば、自分の感情は、ましてやイライラなんて絶対出してはいけない。
特に今日は落ち込むことがあったから買い物に来た。気分転換したかった。それで最初のお店でとても楽しく気分転換できた。そのチェーン店にそんなこと求めるのは間違っていると知っている。でも全部台無しだった。
買い物ごときでこんなに落ち込むのは間違っているのかもしれない。でも私はアパレル時代、お客さんに提供しているのは服じゃなくて時間だと思っていた。お客さんがスッキリとした笑顔で帰っていく。それは欲しかった服が変えたりしたこともあるのだけれど、楽しい時間が提供できたからだと思っている。
当時、ライバルはずっと同業者じゃなくて異業種の人たちだと思っていた。ネイルや美容院、マッサージ、ツアー、旅行会社、旅館、ディズニーランドやユニバ。あの業種の人たちは私たちのブランドの服と同じ値段、もしくはそれ以下の値段で、いとも簡単にお客さんに充実した時間を提供してしまう。いまの販売員はそうとう接客術を磨かないと、勝てないのだ。
どうしてこんなに嫌な気持ちになるのかなと帰ってから考えていたのだけれど、たぶんきっと、自分がアパレル時代にプライドを持って取り組んでいた部分だからだと思う。アルバイト時代からそれは変わらなかった。淡々と確実に売り上げを積み上げていくあのゲーム感覚と、楽しい時間を提供できたときとそうじゃないときの反省と。あのとき私はそこにプライドをかけていた、のだと思う。お客さんにとっては社員もアルバイトも関係ない。そこで働いている店員さん。つまりプロなのだ。
あの店員さんはそこをなおさなくても特に困ることなんてないのだと思う。有名なお店だからお客さんは途絶えないだろうし、アルバイトならば時間分だけ働けばお給料は入る。友だちにだって見られているわけではないから嫌われたりなんてことも絶対にないだろう。でもいつかきっと、損をする。
そんな感じで落ち込んだけれど、そのあとによったスタバの店員さんが気さくに話しかけてくれてちょっと元気が出たのでした。話すだけで元気がもらえる接客業って、本当にすごい。ちなみに最初に寄った気持ちいい買い物ができたレディーズのお店はウンナナクールです。下着屋さんなので女性しかいけないけれど、ここは本当にどこの店舗に行っても丁寧で知識のある店員さんしかいない。それって本当にすごいことなんだよ。おすすめです。
あともうひとつ。今いちばんよく行く服屋さんの店長さんがその楽しい時間の提供にめちゃくちゃ長けている。同じ年なのに本当にすごい。初めて接客してもらったときにそれですっかりファンになってしまって、ここ1年通っている。あとで店長さんだったと知った時に妙に納得した。やっぱり上にのぼり詰める人はそういう人たちなのだと思う。
だから私も適当な気持ちでは仕事しない、絶対にしない。
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