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KAAT『くるみ割り人形外伝』観劇レポ

KAATキッズプログラム2023
根本宗子 作・演出「くるみ割り人形外伝」のメインビジュアルのアートディレクション、プロップスタイリングを担当させていただきました♡

※以下観劇のネタバレを含みます!

人生って自分の捉え方次第で前向きにも後ろ向きにもなると思うんですが、落ち込んだりしんどい状況の時にじゃあ前向きに気持ち切り替えよ!って思ったところで自分の意思だけではそう簡単に変われなかったりします。
ここ最近の私も実はそんな感じで、ずっと脱出できずくさくさした気持ちで過ごしていました。
でも今日この作品を観て、前向きさをやっっと取り戻せました。というかすこぶる晴れやかな気持ち!最高!

「見つけてあげるよ君だけのやる気スイッチ」じゃないけど、前向きスイッチも自分に寄り添ってくれる“他者”がパチンって押してくれることで切り替えられるのかもしれません(いきなりどうした)
今日私に寄り添ってスイッチを押してくれた“他者”は「演劇」、もっと大きく言うと「芸術」でした。演劇、音楽、歌舞伎、踊りともうそれはそれはいろんな芸術、しかも名役者陣による至極の表現が私の魂をぶち上げてくれました。
心や五感を開放してくれる力はもちろん、日常の出来事を非日常の視点に変化させていつもとは違う視点から日常を捉えることができる、それによって必要な気づきや問いに導いてくれる芸術の力こそ、人が生きていくために必要なものだと改めて強く思いました。


子供のときに芸術に慣れ親しむための開かれた門戸があること、当たり前のように芸術が生活の中にあること、こういった環境や経験は芸術との距離を縮め、大人になった時、前述の例のように生きづらさを一緒に乗り越えてくれたり、はたまた自分が作品を作る側になったとしたら世界の誰かと想いが繋がって、呼応し合うなんて素敵なこともあるかもしれません。
ねもちゃんとは普段から、子供たちや若い子にいろんな芸術に触れてほしいね、どうしたらいいんやろうねという話をするのですが、今回キッズプロジェクトというまたとない機会で演劇界の未来を真剣に考えているねもちゃんが作る熱い熱い演劇をたくさんの子供たちが観ている現実に感極まりました。
劇場全体がわくわくやどきどきやキラキラで溢れてて、劇団四季の「CATS」を観て舞台美術家を目指したあの日の私と重なって始まる前から泣いてました。(情緒)


そして今回すごく良かったのが「子供向けにし過ぎない」っていう演出。素直になれないクララ(子供)が素直になったからめでたし許しますという展開ではなく、そこにプライドが邪魔をして意地を張ってしまうサンタ(大人)が対比として書かれてるのですが、これってすごく大切な視点だと思っていて、他者理解っていうのは大人が子供を知る矢印だけではなく子供が大人を知るという矢印もあるわけで、「大人って素直になるの難しいんだ!」ってことを知る機会ってどこを探してもないと思うので、これを提示してしまうという演出は目から鱗でしたw
しかもその隠れてしまった「素直」をクララが呼び覚ましてくれるという神展開。我々大人は日々こどもたちから本当に多くのことを学ばせてもらっております。ありがてぇ。

ちなみにサンタが自分が変化するのではなく原因(クララやその他の子どもたち)に対して変化を求めようとする一連のセリフもかなり興味深くて、つい私も不貞腐れて人のせいにすることも未だにありますが(おい)、否を認めたり、他者の気持ちを想像したり、自分を許したり、お互いがそれぞれに変化することができて初めて歩み寄ることができるんやでっていうことも含めた【素直さ】の重要性が説かれてて、これはなんて壮大なお話なんやと。こんなことをこどもたちに説教くさくならずに伝えられるなんて本当にねもちゃんN〇Kで番組持った方がいいし、私は私でこのテーマは目下自分への課題でもあって、それについて深く考えすぎてくさくさしていたこともあり、今回豊かな想像力と強い想いを駆使してクララもサンタも一生懸命乗り越えてくれたことに勇気づけられて私自身の悩みも前向きさに転換できることができました。伝え方、言葉の選び方、表現の可能性の素晴らしさよ。


そんなわけでもう大切なことを山盛りてんこ盛りいただいた凄まじい1時間でした。
見る人それぞれが自分が大事にしたいこと、大好きなことに改めて気づかされるような作品です。
私はアート作品も演劇も舞踊も古典芸能も音楽もファッションも文学も、芸術が全部好きってことをこれからも素直に言葉にして声に出して、想像力豊かに人が寄り添い合って助け合って生きれる世界を思い描きながら、今後も順調に荒ぶって参りたいと思います!
あ~最高の時間だった。余韻がすごい。すばらしいキャストだった。歌永遠に聴いてたい。台本を買ったのでダウンロードダウンロード。


ちなみにメインビジュアルについてですが、なぜ5段に分かれているか。なぜ下から上にかけて段々色付いてくるのかには想いがあるので、良かったら観劇後にぜひ考えてみてください♡

この後豊橋、松本、北九州にも巡回されるので、お近くの方はぜひに🐰♡

【STAFF】
作・演出:根本宗子
音楽・演奏:小春(チャラン・ポ・ランタン)
出演:大橋凜乃/澤田杏菜(Wキャスト) 、中村鶴松 、一色洋平、もも(チャラン・ポ・ランタン) 、山之口理香子
演奏:Acc:小春(チャラン・ポ・ランタン)
カンカンバルカン楽団 Dr:ふーちん Ba:さくらん Sax:岡村"オカピ"トモ子

振付:山之口理香子 
美術:山本貴愛 
衣裳:田中大資(tanakadaisuke) 
照明:高田政義 
音響:藤森直樹
ヘアメイク:二宮ミハル 
演出助手:田原愛美 
舞台監督:竹井祐樹

宣伝美術:遠藤歩
宣伝写真:伊藤元気
デザイン:浜崎正隆
宣伝衣装:田中大資
宣伝ヘアメイク:友森理恵

<全国ツアー>
■豊橋公演
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
8月19日(土)14:00開演

■松本公演
まつもと市民芸術館 小ホール
8月26日(土)14:00開演 / 27日(日)14:00開演

■北九州公演
北九州芸術劇場 中劇場
9月10日(日)14:00開演

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