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大人になってからの学び

私は、クライアントワークで、様々な企業のUXデザインを行っています。
UXデザイナーという職種で働くようになってから、その領域の広さや深さを探索していくことで、学習する速度や質がだいぶ変わりました。

今回は、その学びの探索の一環、Xデザイン学校のアドバンスコースに参加したことをきっかけに、「大人の学び」について考えたことをまとめます。

今までの学び方

情報をインプットするだけの学習

わたしは、子供の頃から勉強に厳しい家庭で育ちました。
小学生に上がる前から、お風呂で九九を暗唱出来るまで湯船に浸からされたり、くもんやチャレンジを毎日強制的にやらされ、答えを見て回答欄を埋めようものならモノサシで叩かれたり。(いま思えばひどい教育!)
そのおかげか、中学受験や義務教育での勉強は、「効率良くインプットする」というのには慣れていました。

ただ、情報を暗記していただけで知識にもなっていない学び方だったと今は思います。(暗記した学生自体の知識はまるで覚えていないですし)

大人になり、社会やビジネスに触れてからの学び

大人になって、自主的に学ぶようになり「知りたい!」「成長したい!」と面白さを感じるようになったのは最近です。
それは、情報を知識を記憶する「博識」を目指すのではなく、自分の頭で知恵として使えるようになった事が大きいと感じています。

「学びほぐしのデザイン」に以下の文章があります。

たとえば、知識は「与えられて」得るものだと思い込まれされてはいないだろうか。あるいは、勉強は「遊び」の反対語だとみなしていないだろうか。人が何をどう学ぶべきかについてはどこかで「きまっている」ことだとしてはいないだろうか。

ワークショップと学び3|学びほくしのデザイン(東京大学出版会)

型通りのやり方で問題の本質は見つけられる?

わたしはずっと、ビジネスや社会の難問を型通りのプロセスで解こうとしていました。
そして、学校も会社も、解き方・やり方(How)しか教えてくれません。
何を解きたいのか(What)も、目的(Why)も明確にしないまま、Howばかりに着目していました。
やり方を覚えて公式に当てはめれば正解を出せると思っていたのです。

この世のどこかに「正解がある」と考えるのは幻想にすぎない。今、あなたの目の前にあるのは、多くの「可能性」だけだ。巷にあふれる「正解」とされる知識は、過去の先人たちが生み出した「知恵」ではあるが、あなたから見れば「単なる先人からの借り物」にすぎない。

羽田康祐 k_bird (著) 問題解決力を高める「推論」の技術

「学びほぐし=アンラーニング」の体験

「学びほぐす」というのがどのような事かというと、
本で得た手法や知識、実務での経験を、リフレームして他で「使える」状態になる事が、「学びほぐせた状態」と捉えています。

「なまびほぐし(アンラーンunlearn)」というのは、「まなび(learn)」のやり直しである。しかし、「やり直し」と言ってもこれまで学んできた知識や技能を「帳消しにする」などということができるわけはない。「一たす一は二である」という知識を、あえて「なかったことにする」わけにはいかない。ここはやはり、これまでの「まなび」を通して身につけてしまっている「型」としての「学びの身体技法(まなび方)」について、それをあらためて問い直し、「解体」して、組み替えるということを意味しているのである。

ワークショップと学び3|学びほくしのデザイン(東京大学出版会)

Xデザイン学校のアドバンスコースが、他の講座と大きく違うのは、いわゆる座学で知識を得ていくのではなく、自身で設定した「研究テーマ(リサーチクエスチョン)」を、1年通して紐解いて行きます。

講義や輪読もありますが、主軸は自分の研究です。
講義を受けて決まったステップ通りに学習するのではなく、自分の研究に上手く知識を応用させて昇華させていくイメージです。

これからの学び方

研究をどのように進めていくのか、今まで学習してきたような体系的なプロセスはなく、手探りの中行って行きましたが、今改めて、Xデザイン学校で1年間研究を進めてきて振り返ると、以下のような流れでした。
①研究テーマ(リサーチクエスチョン)を設定する
②テーマに関連する情報を網羅的に収集する
③情報を分析して課題を特定する
④問題の要因をまとめ、示唆を見出す

探究のプロセス

2021年度から高校の学習指導要領が改変されたのをご存知でしょうか。
新しい学習指導要領は、私が今まで学んできたような、横断的・総合的な学習を行ってきてから自分のあり方・生き方を考える「総合的な学習」から、自分のあり方・生き方をもとに探求する「総合的な探求」へ変化しています。

総合的な学習の時間とSTEAM教育 ー総合的な探究の時間の充実の観点からー
國學院大學人間開発学部初等教育学科 教授 田村 学

探究のサイクルは次のような流れです。
①課題の設定
②情報の収集
③整理・分析
④まとめ・表現
⑤繰り返す
この探究のプロセスは、Xデザイン学校で行った研究のプロセスと、意図せず同じプロセスを辿っていました。

与えられる知識を覚えるだけの時代は終わり

今の時代では、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動し、よりよい社会や人生を切り拓いていく力が求められています。
既に学校教育が変化しているように、今までインプットするだけの学習から、それぞれの立場からどのように社会を良くするか?を探求する方向に
、大人も子供も関係なく、今の時代に合わせた学びへと変化が起きているのだと肌で感じています。

参考文献

総合的な学習の時間とSTEAM教育 ー総合的な探究の時間の充実の観点からー
探求のポイント第1回

國學院大學人間開発学部初等教育学科 教授 田村 学

高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説
総合的な探究の時間 編

文部科学省

徳田 彩 (Aya Tokuda)
1984年東京都の端にあるこんにゃく屋で生まれ育つ。
25歳でシングルマザーになってからデザイナー職を目指し、Web・DTPのデザイン/ディレクションを行いながら、趣味でフードコーディネータとしてフードユニットT:ailoredsを立ち上げ、ケータリングやイベント出店を行う。
現在はネットイヤーグループ株式会社 UXデザイナー/ 人間中心設計スペシャリストとして世の中の課題解決を日々行う。


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