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愛してるが死語になる前に
ぼくの「初めて」が死んでいく。今思えばを繰り返して永遠に今を掴めないでいる、初夏。早く大人になりたかったのに今ではもっと若くなりたい。昔はやったことよりやりたいことが多かったのに今ではやったことの方が多くなってて困る。まだまだやりたいこと、あるけど。TikTokやSNSに住んでいる年下のかわいい女の子、すごくきらきらしてる。背景に映っている黒板、ぼくの戻れない青春。音楽が流行りとして消費される時代
もっとみる取り返しのつかないことがしたいね、とぼくは笑って
苦しみの核の部分を狙うようにグサグサと突き刺されている。ナイフで突き刺さしては抜かないまま、血しぶきすら飛び散らない重苦しい痛み。何本ものナイフが突き刺さった心臓、立ち入り禁止のテープを引き剥がすから誰か助けて。きみとの魂の通り道は工事中、永遠がないことだけが今はただ救いです。涙の代わりに手首から溢れた一筋の血液がぼくの生を象徴している、痛い、痛い、痛い。産んでくれてありがとうも言えないまま大人に
もっとみる少女は春にゆめをみる
春ってあの人みたい、あの人みたい、あの人みたい、だから嫌い。きみは男に魂を売っては心を黒く満たしていた。桜色の春を薄く汚しては世界を誰かで染め尽くしていた。残酷に突き放しては暴力みたいに抱きしめる。春は。
愛は世界を救わないし恋は魔法なんかじゃないし、きみの好きなあの人はきみの孤独を救わない。それでもきみは完璧な少女だ。
お願いだから男なんかに世界を変えられてしまうような女の子にはならないで。でも
インターネットの海に揺られて
きみが生涯二度とあの子のことを思い出さなければいい。わたしはあの子を思い出すときのきみが嫌いです。恋が生まれては死んでいく。きみはインターネットというどうしようもない異空間でまだあの子のことを探している、呪いをかけられたように迷い込んでいる。きみは誰かを救おうとすることに救われている、誰かに優しさを与える度に。猥雑な情報で溢れるインターネットで孤独を紛らわす、SNSという遊戯できみは。子供みたいに
もっとみる依存することに依存する
きみを好きだと伝える度に沈んでいく場所があって、わたしはそれを地獄と呼んでいた。好意は依存へと姿を変え、やがてどろどろのトマトジュースのようになる。堕ちていく、堕ちていく。堕ちていくことに快感を覚えながらもわたしは地獄の底へと引きずり込まれていく。依存することに依存してしまったわたしたちは依存対象が何かすらも分からなくなってただただ沼へズブズブと沈んでいく。自分の形がねじ曲がっていく、心が変形され
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