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少女は春にゆめをみる

春ってあの人みたい、あの人みたい、あの人みたい、だから嫌い。きみは男に魂を売っては心を黒く満たしていた。桜色の春を薄く汚しては世界を誰かで染め尽くしていた。残酷に突き放しては暴力みたいに抱きしめる。春は。
愛は世界を救わないし恋は魔法なんかじゃないし、きみの好きなあの人はきみの孤独を救わない。それでもきみは完璧な少女だ。
お願いだから男なんかに世界を変えられてしまうような女の子にはならないで。でも男なんかに人生狂わされちゃうような単純さもかわいくて愛おしいよ。
きみの願う先にいるあの人はきみを少女にするけれどきみを地獄の縁まで連れていく。
春は静かに終わりを告げる。
誰かを救わなければぼくは永遠に救われない。

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