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光に包まれた寂しい街で、もうあえないあの子の残骸をみる

青信号で一斉にどこかへ向かう人の大群。ぼくもきみも、この街の限りなく小さな一欠片にすぎない。欠片を合わせて運命を作りたがるくだらないぼくたちは、いつでも繋がりを求めては蠢いている。儚いなんて言葉が似合わないくらいにぎっしりと詰められた光の粒たち。いつでも少しうつむいて早く歩くのは、ぼくだけがこの街から見放されている気がするから。一夜限りの友人達と繰り返される一夜限りの遊戯。回る世界と希望に似た唄、ぼくたちは夜の底に引きずり込まれる。 気づいたら会えなくなっていく人ばかりだね。

    • 永遠になる速度で

      本当はきみを抱きしめたかったね。 自ら孤独を選んでしまうきみのその脆い強さを抱きしめたかったね。 君に追いついた時の景色をどうしても見てみたかった。 どれだけ手を伸ばしても指先をかするだけで掴ませてすらくれなかったね。 そんなに生き急がなくていいんだよって本当はきみを抱きしめたかった。 速く生きるということは孤独と戦うということ、いつだって先を行くきみにはそのくらい分かっていたはずだよね。 追いつけなかった人の存在って自分の中で永遠になってしまうんだよ。かなしいことに。 生

      • 死にたがりの君へ

        天国にも地獄にもなるこの場所でわたしたちは這いつくばって生きてきたよね。わたしたち、生きるか死ぬかの二択でなんとか生きる方を選んで進んできたよね。死ぬ勇気がないから生きてるだけだなんてきみは言うけれどきみのその勇気の無さにわたしは救われているよ。一生そのままでいてね。きみはきみの選んだ戦場で生き抜いて。例えそこがベッドの上だったとしても。例えそれが馬鹿な男の隣だったとしても。それでもきみの選んだフィールドできみは生きていて。それで最後にひかりを掴もうよ、隣で一緒に笑いあおうよ

        • 愛してるが死語になる前に

          ぼくの「初めて」が死んでいく。今思えばを繰り返して永遠に今を掴めないでいる、初夏。早く大人になりたかったのに今ではもっと若くなりたい。昔はやったことよりやりたいことが多かったのに今ではやったことの方が多くなってて困る。まだまだやりたいこと、あるけど。TikTokやSNSに住んでいる年下のかわいい女の子、すごくきらきらしてる。背景に映っている黒板、ぼくの戻れない青春。音楽が流行りとして消費される時代、ちょっと調べれば簡単に可愛くなる方法がわかる時代。当たり前のように学生が二重整

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        光に包まれた寂しい街で、もうあえないあの子の残骸をみる

          取り返しのつかないことがしたいね、とぼくは笑って

          苦しみの核の部分を狙うようにグサグサと突き刺されている。ナイフで突き刺さしては抜かないまま、血しぶきすら飛び散らない重苦しい痛み。何本ものナイフが突き刺さった心臓、立ち入り禁止のテープを引き剥がすから誰か助けて。きみとの魂の通り道は工事中、永遠がないことだけが今はただ救いです。涙の代わりに手首から溢れた一筋の血液がぼくの生を象徴している、痛い、痛い、痛い。産んでくれてありがとうも言えないまま大人になりました、酷く薄汚れた大人になりました。産まれてきてごめんなさいと言うことはき

          取り返しのつかないことがしたいね、とぼくは笑って

          孤独の花

          破壊した世界が壊さないでと泣いている、今更。沈んでいく、沈んでいく、沈んでいく、ぼくときみの島が。ぼくは世界がおわる音をただ聞いていたかった。きみは誤魔化すようにはにかみながらぼくの名前を呼ぶ、今この瞬間を永遠と名付けたい。流れ星はぼくときみの間をすり抜ける。短命だから美しいなんてどうか詭弁であってほしい。寂しさを養分にしてできた宇宙に意味があるなら教えて欲しい。無限に続く孤独という一輪の花を誰か拾ってください。壊した一瞬をひとつひとつ拾い集めたら、いつかまた花束になりますか

          孤独の花

          美しいもの

          美しいものを見ると自分を殺したくなる。だから美しくないものを見ては安心する。公衆便所、路上に放置された煙草、鏡の中。住宅街のゴミ置き場が好きだ。ゴミ袋をカラスがつついて破れた袋の隙間から屑が溢れ出る光景。自傷行為みたい。 誰かを救うことに救われないで。きみには誰も救えない。それでいい、それでいいんだよ、そのままでいて。誰も救えないまま幸せになって。きみには幸せを掴む権利がある。誰かの孤独に触れて傷つくのはもうやめよう。誰かの寂しさの刃で血を流すのはもうやめよう。きみの優しさは

          美しいもの

          恋は快楽

          ぼくがきみを好きでなくなったとき、きみがぼくを好きなままでいられるという根拠がどこにあるだろう。ぼくがきみを好きでなくなったとき、きみがぼくを綺麗と言い続けられる根拠がどこにあるだろう。きみは与えられる恋に恋をしている、ぼくなんかよりもずっと。寂しさを温め合っているときにだけ湧き出てくる感情を恋と呼びたくない。孤独を埋め合っているときにだけじわじわと押し寄せてくる気持ちを恋と呼びたくない。恋はもっと触れるのもはばかられるくらいに神聖で美しいものであってほしいと願う。それでも、

          恋は快楽

          少女は春にゆめをみる

          春ってあの人みたい、あの人みたい、あの人みたい、だから嫌い。きみは男に魂を売っては心を黒く満たしていた。桜色の春を薄く汚しては世界を誰かで染め尽くしていた。残酷に突き放しては暴力みたいに抱きしめる。春は。 愛は世界を救わないし恋は魔法なんかじゃないし、きみの好きなあの人はきみの孤独を救わない。それでもきみは完璧な少女だ。 お願いだから男なんかに世界を変えられてしまうような女の子にはならないで。でも男なんかに人生狂わされちゃうような単純さもかわいくて愛おしいよ。 きみの願う先に

          少女は春にゆめをみる

          インターネットの海に揺られて

          きみが生涯二度とあの子のことを思い出さなければいい。わたしはあの子を思い出すときのきみが嫌いです。恋が生まれては死んでいく。きみはインターネットというどうしようもない異空間でまだあの子のことを探している、呪いをかけられたように迷い込んでいる。きみは誰かを救おうとすることに救われている、誰かに優しさを与える度に。猥雑な情報で溢れるインターネットで孤独を紛らわす、SNSという遊戯できみは。子供みたいに泣いているね。きみは誰も殺したくないと言いながら自分自身に刃を向けることをやめな

          インターネットの海に揺られて

          過去の旅人

          そのときぼくは、まだ赤ちゃんだった頃のぼくをじっと見ていた。目が合うと何故か駄目なことをしている気分になり、思わず目を逸らしてしまう。ぼくは今、過去から現在へ向かう列車に乗せられている。列車の環境は酷く劣悪で、まるで毒を含んでるかのような空気感で満ちていた。頭が揺れてうまく視界が定まらない。過去を見ているかと思えば、「今の自分」を客観視している自分が突如現れて、視界は素早く切り替わる。列車に乗ってからまだ5分しか経っていないような気がするけれど、もう何十年もこの列車に乗せられ

          過去の旅人

          女の子方程式

          気持ちいい=気持ち悪い=気持ちいい?かわいい=かわいくない。?=かわいい=かわいい、快楽=地獄、快楽-地獄=?地獄、地獄。首を絞められたとき、苦しくてきもちよかった。苦しいのがきもちよかった。そんな矛盾ばかりが女の子なの、わかってほしいけどわからないままでいて。きみがすきだけどきみにだけは届いてほしくない。どうかきみの街までベビーピンク色の風船が飛んでいきませんように。かわいい呪いにかかって視線が恐くなった少女。かわいいとかわいくないはもしかすると紙一重。かわいい、かわいくな

          女の子方程式

          死んでいく春

          逃げるように捨てた春は薄暗い色。 恋とは限りなく遠くて、愛とも全然違っていた。 薄桃色の淡い春は訪れないまま、春は少女性を奪っていく。 身体の内から暴れ出す感情をきみに伝えたとき、ぼくの内側が空気へ変わる。 春風と共に空気へと変わった恋心は少しだけ、ほんの少しだけ腐った気がした。 もうこない春を残虐に殺して恋の塊を生成する、きみのことを好きなままで。 暴力的な春は穏やかに形を変えて透明になる。 季節と季節の間を縫って。 わたしはきみの体温で窒息死したい。 それはきっと世界

          死んでいく春

          天国

          プール前に浴びる地獄のシャワー、冷たくて騒ぎながら浴びる学校のあの水しぶきが今思えば眩しいひかりだった。ぼくの孤独は、足に伝わるプールサイドの滲み出たような気持ち悪さと鼻につく塩素の香りが混ざりあってできていた。水に濡れた髪の毛の心地悪さが吹き抜ける風で少しずつ乾いていく。襲われる眠気で先生の声が遠のいていく。指定カバンの奥底にぐしゃぐしゃになっていた宿題プリントは提出期限をとっくに過ぎていた。水に濡れたあとの教室はいつも以上に古い旧校舎の香りで溢れている。陽の当たる窓際の席

          世界一きれいな地獄

          きみとならどんな地獄でも良かった。 きみはいつもどこか冷めた目で何もかもを見ていた、わたしのことさえも。それが悲しくて、愛おしかった。きみは新宿の街が似合うね。電磁波のたくさん通った人混みで溢れたあの街が。なんて言ったらきみは怒るかな。わたしの大嫌いな街。きみは刹那的な快楽を求めてこの街に繰り出す。まるで地獄に近づいているみたい。心地のいい地獄、きみの隣。気持ちのいい絶望、きみと堕ちていく快感。君の隣に天国なんてどこにもなかった。ただ暗闇の隙間から差し込む微かなひかりを手探り

          世界一きれいな地獄

          依存することに依存する

          きみを好きだと伝える度に沈んでいく場所があって、わたしはそれを地獄と呼んでいた。好意は依存へと姿を変え、やがてどろどろのトマトジュースのようになる。堕ちていく、堕ちていく。堕ちていくことに快感を覚えながらもわたしは地獄の底へと引きずり込まれていく。依存することに依存してしまったわたしたちは依存対象が何かすらも分からなくなってただただ沼へズブズブと沈んでいく。自分の形がねじ曲がっていく、心が変形されていく。依存は所詮自慰行為。わたしたちは誰かに依存する自分自身に依存している。神

          依存することに依存する