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取り返しのつかないことがしたいね、とぼくは笑って

苦しみの核の部分を狙うようにグサグサと突き刺されている。ナイフで突き刺さしては抜かないまま、血しぶきすら飛び散らない重苦しい痛み。何本ものナイフが突き刺さった心臓、立ち入り禁止のテープを引き剥がすから誰か助けて。きみとの魂の通り道は工事中、永遠がないことだけが今はただ救いです。涙の代わりに手首から溢れた一筋の血液がぼくの生を象徴している、痛い、痛い、痛い。産んでくれてありがとうも言えないまま大人になりました、酷く薄汚れた大人になりました。産まれてきてごめんなさいと言うことはきみへの冒涜だ、だからぼくは。存在するもの全てが憎く見えてしまうのはぼくの目が濁っているからだ。存在するもの全てが明るく見えてしまうのはぼく自身が汚れているからだ。さよならのひとつも言えない癖に永遠を願うなんて傲慢。ほら、終わりに近づいて気持ちいいね?死にたい、死にたくない、死にたい、死にたくない、花占いみたいに繰り返しては自傷。自ら過去の傷をなぞってはそれを深くして取り返しのつかないことをしている。だっさいタトゥーをリメイクし続けて巨大になる。そんな取り返しのつかないことを一緒にしたかったね。心も体もズタボロでぐっちゃぐちゃのままふたり抱き合えたらよかったね。そのままどっちがぼくでどっちがきみかわからなくなるまで混ざり会えたらよかったね。融合されない肉体はいつまでもどこにも行けないまま。誰かぼくを見つけて。

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