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死んでいく春
逃げるように捨てた春は薄暗い色。
恋とは限りなく遠くて、愛とも全然違っていた。
薄桃色の淡い春は訪れないまま、春は少女性を奪っていく。
身体の内から暴れ出す感情をきみに伝えたとき、ぼくの内側が空気へ変わる。
春風と共に空気へと変わった恋心は少しだけ、ほんの少しだけ腐った気がした。
もうこない春を残虐に殺して恋の塊を生成する、きみのことを好きなままで。
暴力的な春は穏やかに形を変えて透明になる。
季節と季節の間を縫って。
わたしはきみの体温で窒息死したい。
それはきっと世界で一番美しい死。
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