キタキタ高校物語③キタキタ高校の現代文の先生
素人マンガ家の醍醐味は、自分の好きなものをどしどし登場させれるところだろうか。キタキタ高校のいろんな教科の先生を好きな人に設定するのは、きっとオモシロイ!
音楽の教師はマイケル・ジャクソンで、美術は岡本太郎。物理はニコラ・テスラか、アインシュタイン…などと妄想は膨らむ。
数年前からamazarashiにハマった。歌詞が面白過ぎるからだ。
職場の同僚に筋金入りのファンがいて、親子でファンだという。娘さんも彼女も同じCDやDVDをひと揃え持っているらしい。おかげで、
「いつ返してくれてもいいわよ」
とamazarashiのひと揃えを貸してもらった。
なんという贅沢!
一番、面白いと思ったのは、東京でやるコンサートの出だし。
「青森から来ました!amazarashiですっ!」
と一言、叫んでからコンサートが始まること。
「ふるさとの 訛りなくせし 友といて モカ珈琲は かくまで苦し」
と歌ったのは寺山修司だが、解説に「この時代は、訛りがあることで人生や地位が変わることもあるほど影響があります。」とあった。
自分も若いころ、遊びに行った東京で、津軽弁のなまりを共通語に変えてホステスをして働いている友人を見て、寺山の短歌を思い出していた。
青森県という出自は、昔はちょっと気恥ずかしく、隠すものだったかもしれないと思う。
しかし、秋田ひろむは、はっきりと、青森から来たと述べる。
カッコいい!と思った。
歌詞にも「わい」と方言が入ってくる。青森県の方言は、簡単に言って、3種類ある。有名なのが津軽弁(弘前、青森等、津軽地方)。私の住む八戸は南部弁(津軽藩と南部藩は別の藩だ)。秋田氏の出身の六ケ所は下北弁というところだ。よく、そんなさびれた町から、「ぼくのヒーローアカデミア」の主題歌を担当するようなメジャーなアーチストが出たものだ。
秋田氏の歌詞には、時折、青森県の情景が、登場する。
「根雪の白」とか「シャッター街の路地」とか「戸山団地のレインボウ」とか「国道7号線」とか。
青森の道路わきのパチンコ店の建つ寂れた風景を知っているものには、その風景と共に、歌詞が立ちあがってくる。
「そこが世界の果てだ!」
大共感で、口角が上がり、笑みがこぼれて大爆笑。
青森県っていうことは、武器になるのかもしれないとamazarashiを見ていて思った。北海道ほど人気が無く、東北では最北端。
生まれていなかったら、訪れることも無かったかもしれない日本の偉大な田舎、青森県。
最近ではリンゴ娘の王林がブレイクして全国区になっていて、めざましテレビの青森出身のアナウンサーが、王林と津軽弁で話すインタビューが、いつも取り上げられているのが何気に嬉しい。
青森県は、ちょっとプチブレイクを果たしている昨今である。
でも、昔から、太宰治とか棟方志功とか、有名人はいるし、津軽海峡冬景色とか、飢餓海峡とか、時々、青森県が舞台の歌や映画があった。
津軽弁は大阪弁と並んでナビに採用されてたりしたし。何気に、青森県は、数少ないコアな武器を持っているのか?東京が過剰にモノが増えていく土地だとしたら、青森はひたすらゼロに近づいていく土地かもしれない。
そのお金の儲からなさが、凄味がある。
絶望が重なって重なって、どうしようもない終わりと思いきや、突然、希望に転じる歌がamazarashiには多いと思うが、それは青森という土地から生まれているものだろうか?
amazarashiが青森県を名乗ることのかっこよさを教えてくれた。
青森に、秋田ひろむという、新しい文学者が、誕生しているのである。
名前は秋田県っぽいけど笑(⋈◍>◡<◍)。✧♡