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桜又彩子
2020年2月9日 13:11
仕事で人の心を扱う者としても、心理学を学ぶ者としても、児童文学作家を志す者としても、故・河合隼雄先生をとても尊敬している。河合隼雄先生は、ユング派の心理学者で、子どもの本にも大変造詣が深かった。日本人の心、ということを、生涯通じて探究された方だと思う。河合隼雄先生の著作や講演、色々な分野の有名人との対談から、河合隼雄先生が見ていた世界観を、読者の方々と、一緒に学んでいきたい。河合隼
2020年2月15日 12:57
児童文学作家を志すものとして、河合隼雄の「ファンタジーを読む」は何度も読んだ。心理療法家である河合隼雄が、なぜファンタジーや子どもの本に関する著作をたくさん出しているのか。それについては、こんなふうに書かれている。『心理療法を長年行ってきて、近年はあまり流行しなくなった、などというより、心理学の世界では完全に忌避されていた「たましい」ということを、最も大切なことに感じるようになったものの、
2020年2月23日 17:20
(前号からの続きです)【エリコの丘から】スターになるには才能がいる。それでは才能がないものはどうすればいいのだ。このことをアイデンティティの問題と関連して考えるならば、誰もが自分自身の宇宙の星(スター)になるのだと考えてみるとよくわかる。スターになるのを、単純に有名になることや目立つことなどに結びつけて考えすぎると、「出世病」にかかることになるだろう。誰もが自分の宇宙のスターになる才能をも
2020年2月25日 21:02
(前号の続きです)【影との戦い ゲド戦記1】ユングは「影をリアライズすることが、人間の責務である」ということを主張する。つまり、影のことを真に「知る」ためには、なんらかの「実行」が必要なのである。この物語は、まさにゲドによるゲドの影とのリアライゼーションが語られているのである。長い苦しい航海の末、ゲドはついに「影」に会った。一瞬に、ゲドも「影」も同じ名を語った。「ゲド!」【こわれた腕環
2020年3月7日 15:18
子どもたちひとりひとりのなかには、無限の広がりと深さをもった宇宙が存在している。しかし、大人は子どもを大きくしようと焦る余り、子どもたちの中にある広大な宇宙を歪曲したり、回復困難なほどに破壊したりする。それは、教育とか、指導とか、善意とか、愛情とかいう名のもとになされる。この本は、そのことに対する、河合隼雄の警告の書といっていいだろう。河合隼雄は、心理療法家として、子どもの宇宙が圧殺される
2020年4月21日 14:15
【昔話の心理学的研究】河合隼雄はしばしば、日本人の特徴として「心の全体性」によく気づいている民族だということを指摘している。人間の心は意識も無意識も含めた全体としての中心、「自己」を無意識に持っており、「自己」と「自我」がいかに関わりを持つかが大切だと、河合隼雄は繰り返し述べている。そして、日本人は心の全体としての「自己」の存在に西洋人よりはよく気づいており、その意識は無意識の一点、「自己」へ