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桜又彩子
2020年2月15日 12:57
児童文学作家を志すものとして、河合隼雄の「ファンタジーを読む」は何度も読んだ。心理療法家である河合隼雄が、なぜファンタジーや子どもの本に関する著作をたくさん出しているのか。それについては、こんなふうに書かれている。『心理療法を長年行ってきて、近年はあまり流行しなくなった、などというより、心理学の世界では完全に忌避されていた「たましい」ということを、最も大切なことに感じるようになったものの、
2020年2月23日 17:20
(前号からの続きです)【エリコの丘から】スターになるには才能がいる。それでは才能がないものはどうすればいいのだ。このことをアイデンティティの問題と関連して考えるならば、誰もが自分自身の宇宙の星(スター)になるのだと考えてみるとよくわかる。スターになるのを、単純に有名になることや目立つことなどに結びつけて考えすぎると、「出世病」にかかることになるだろう。誰もが自分の宇宙のスターになる才能をも
2020年2月25日 21:02
(前号の続きです)【影との戦い ゲド戦記1】ユングは「影をリアライズすることが、人間の責務である」ということを主張する。つまり、影のことを真に「知る」ためには、なんらかの「実行」が必要なのである。この物語は、まさにゲドによるゲドの影とのリアライゼーションが語られているのである。長い苦しい航海の末、ゲドはついに「影」に会った。一瞬に、ゲドも「影」も同じ名を語った。「ゲド!」【こわれた腕環
2020年3月7日 15:18
子どもたちひとりひとりのなかには、無限の広がりと深さをもった宇宙が存在している。しかし、大人は子どもを大きくしようと焦る余り、子どもたちの中にある広大な宇宙を歪曲したり、回復困難なほどに破壊したりする。それは、教育とか、指導とか、善意とか、愛情とかいう名のもとになされる。この本は、そのことに対する、河合隼雄の警告の書といっていいだろう。河合隼雄は、心理療法家として、子どもの宇宙が圧殺される
2020年4月1日 17:33
(前号の続きです)【物語のなかの男と女・夫と妻】その人の人生がすなわち「物語」である。河合隼雄は心理療法家として、「物語」に関心をもたざるを得ないという。例えば夫は夫の、妻は妻の「物語」を生きていて、同じ家で夫婦として暮らしていても、「物語」が違うから、喧嘩になるし、わかりあえない。二人が共有できる「物語」を新たに紡がない限り。また、河合隼雄のところに来たクライエントの女の子が「私