髪チョッキン屋の魔法
「私は男性目線で髪の毛を切ってもらいたいの」
さかのぼることおよそ15年前。目のクリっとした友人はそう言った。
美容院に行くのは好きだ。しかし、女性に担当してもらっていた私は目からウロコであった。男性目線で切ってもらうとはなんぞや。男性目線と女性目線でカットはそんなに違うのか。詳細は不明なまま、スタイリストも同性のまま月日が流れた。
その日もいつものように髪を切ってもらい、軽い足取りで街を歩いていた。長年お世話になっている歳の近い女性スタイリストとは気が合い、毎回大笑いして