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【宙吊り体験。「恐怖」を信じている自分に気づく】

月に1回だけ、ハンモックヨガなるものを習っている。お友達から誘ってもらって興味本位で始めた。スタジオはこんな感じ。わー。ちょっとアラジンみたい。気持ちよさそうだし空を飛ぶみたいでワクワク、なんて軽い気持ちだった。

初回はきゃー楽しいー、と平和に終わった。

2回目以降、どんどんレッスンは進んでいく。

1ヶ月に1回だから、体が覚えているはずがない。それなのにレッスンは進んでいくのだから、体が硬く、運動神経もさほどよくない私には緊張の連続であった。


ハンモックヨガとは、その名の通りハンモックを使ってヨガをすること。重力によって緊張していた筋肉圧迫の解放や、効率的な筋肉トレーニングが実現するなどの効果がある。

一番の特徴として「吊り下げ効果」というものがある。「逆立ち」は逆さになりながらも自身の体を腕で支えているが、腕の支えなく体を普段とは真逆の状態に逆立てるということ。その効果として

お腹が凹む
便秘解消
血液・リンパの流れが良くなる
顔の美肌効果

があるといわれている。

実際、逆さになると内臓が本来の位置に戻り、その後腸も活発に活動するように感じる。

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※イメージ画像をお借りしました。


「吊り下げ効果」といわれているが、私にとっては「宙吊り」でしかない。しかも、いつも生きている状態とは真逆の状態で。


これが恐怖なのである。とにかく、恐い。


ハンモックはスタジオの天井にしっかりと固定されているので落ちることはあり得ない。

でも突然ハンモックが破れたり大地震が起こって天井が落ちてきたら私の首は壊滅的だ、とか

もしやり方を間違ってインストラクターが見てないところでするっと落下したら一巻の終わりである、とか

そんなことが頭をよぎり、恐怖で先に進めなくなった。前回は恐くて途中で見学してしまったほどだ。


今回もこの恐さが私を襲った。恐い、落ちたら大怪我をする、持病のある首がさらに悪くなるのは間違いない。どうしよう。

その時思った。ああ、私は自分を信じられていないのだなと。自分の力、自分の可能性を信じていない、自分で自分のことを守っているということを信じていない、だから恐いのだ。ハンモックは安全な状態であるというのに。

さらに気づいた。私は「恐怖」を信じている。

「恐怖」つまり、恐いことが起こるに違いない、ということを信じているということ。

結果として、私は一応見様見真似でインストラクターの動きを最後まで真似ることができた。その時の心理状態は、決して穏やかなものではない。自分を心から信じて行えた訳でもないし、恐怖も感じていた。ただ、あえていうならば「最後までやってみたい」という好奇心があった。終わってからも私の中で恐怖心が消えたわけではないし、自分に自信を持てたー! やったー! という喜びも全くなく、小さく「できた」とつぶやいただけだ。

恐怖心と好奇心、どちらがおっきかったのかも正直分からない。

でも、自分の中の恐怖心を見つけることができたこと、自分よりも「恐怖」を信じてしまっていたことに気づいただけでも今日のところはヨシとしようと思う。自分を信じていなければ、ハンモックも信じることができない、インストラクターも信じることができない、そして世の中みんなを信じることができないよなあと思いながらとぼとぼ帰った。


普通に生活をしていたら、あまり宙吊りになる機会はないと思う。安全な場所で、生命の危機を感じる体験ができるというのはある意味貴重なことだ。そこで人は普段生活している時には感じないような恐怖心、見えない心の闇と対面する。それが自分が歩みたい道に置かれた障害物だったりすることに気づく。

それから開放された時、今生きていることに感謝の気持ちが溢れる。ああ、良かった、私は生きている。こうして生きていられることが有難いことなのだと。

でもそこで、忘れっぽい私はすぐに恐怖を忘れてしまう。せっかく体験できた恐怖、見つけられた自分の心の闇を、平和が戻ったとたんに忘れてしまう。

だから、備忘録としてここに残しておこうと思う。「恐怖」という感情は、状況ではなく自分の心が作り出していることなのだということ。自分を信じる、という強い気持ちが、いずれ結果につながるかもしれないということ。今日は「たまたま」最後まで出来ただけで、まだ本当に自分を信じられているかも分からないのでこのような曖昧な表現にしておく。少なくとも「自分を信じない」のであれば、絶対に結果につながらないということだけは理解出来た。それはつまり「恐怖を信じている」ということだとも。


「宙吊り」はスリリングではあるが、ハンモックに包まれている感覚は本当に気持ちがいい。なまあったかくて力強いものに包まれている感じ。赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる感覚ってこんな感じなのかもしれないなあ。


終わり。




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