Ayaka @ハーバード/ デザイン大学院 博士留学/ 景観と文化と音の研究

2012年に立ち上げたEDAYAでのカリンガ族の竹楽器の継承活動から、環境と音と暮らし…

Ayaka @ハーバード/ デザイン大学院 博士留学/ 景観と文化と音の研究

2012年に立ち上げたEDAYAでのカリンガ族の竹楽器の継承活動から、環境と音と暮らしの関係に興味を持ち、建築系デザインスクールであるハーバードGSDで景観と音の理論を探求中。アメリカ5年目。1年の5分の3をボストン、残りはフィリピンと日本で活動中。🎓東大→国際開発→ハーバード

最近の記事

ハーバードで教えるということ- TF(Teaching Fellow)について

私が通うハーバード大学デザイン大学院の博士課程では、2年目になると、TF(Teaching Fellow)というポジションで、修士の学生を教えることがほぼ義務付けられます。私が担当したのが、前期はTheories of Landscape as Urbanism そして、後期はTheories and Practices of Landscape Architecture。建築に設計と理論があるように、私が専攻するランドスケープ/景観の分野にも、設計と理論があって、私の専門が

    • 2024年春学期全般 振り返り

      今学期も沢山の教える機会をいただけて、幸せでした。担当していたデザイン大学院の景観論の修士向け、30名の未来のデザイナーたちとの時間は、私の方が勉強になることが沢山でした。前学期と合わせて1年間、哲学的な景観理論を色々扱ってきたので、英語力ももうちょっと前進したかな。まだまだがんばります。 そして、ハーバードで日本語を勉強する学生たちに、ゲスト講義をする、というとっても素敵な機会もいただき、デザインスクールとはまた全然違う雰囲気の中で授業をさせてもらいました。「自然と空間」

      • 余談: 東大にできるCollege of Designについて

        こんなニュースを目にしました。 母校の東大にデザインスクール? College of Designができるらしい!! 正式発表はこちら。 東大理2と慶應法の合格をもらって、本気で文理どっちも興味があった私としては、東大がデザインをどう定義して、文理を超えた教育設計をどうやっていくのか、とても興味があります。 東大学部で国際農学(土壌物理学)→東大医学系院で人類生態(環境社会学)→途上国で社会起業とコミュニティ開発→ 海外デザインスクールで都市/景観論とやってきて(一応私

        • 2023年秋学期全般 振り返り

          2023年秋学期。博士も2年目。 なぜまだアカデミアにいるのかよくわからなくなり自問自答のループの中あまり進歩がなかった1年目と比べると、Teaching Fellowとしてハーバードデザインスクールの主にランドスケープ専攻の修士の学生30名の授業(ランドスケープの理論のクラスです)を担当したりと、少し自分の居場所ができた気がして、1年目よりは有意義に時間を過ごすことができました!毎週金曜日に、1時間15分のクラスを2コマ担当+成績つけなどが仕事で大変でしたが、なんとか無事に

          2023年春学期全般 振り返り

          春学期は、ピーター・ロウ先生他担当の博士課程全員の必修のデザインリサーチ方法論のクラスに加え、私の博士論文の副指導教官でデザインスクールの前学長モイセン・モスタファヴィ先生の授業Architecture: Histories of the Presentと、ハーバード感覚民族誌学ラボのスタジオコース、Sensory Ethnography 1&2を取りました。特に、Sensory Ethnographyは、2013年にルシアン・キャステイン=テイラーとヴェレーナ・パラヴェルが

          2022年秋学期全般 振り返り

          デザインスクールの博士課程(Doctor of Design) の1年目はコースワークということで、コロナで修士の時には実質半年ちょっとしか経験できなかった他対面授業を、ハーバード4年目にて再び体験することができました! 今回とった4つの科目のうち、特に印象深かったのが、音の理論について、もっと様々な方向から学んでみたいとMITで受講したCaroline Jones先生とStefan Helmreich先生によるResonance: Sonic Experience, Sc

          博士課程の始まり。

          9月1日の超早朝にボストンについて、その足で、これから9ヶ月を過ごすロックポートの新しく契約した家へ。昨年、私の指導教官が主宰するCritical Landscapes Design Labのリサーチの一環で移り住んだCape Annのエリアが気に入って、ボストンからは電車で1時間15分くらいかかるものの、今年は電車通学をすることに決めた。 早速次の日の金曜日には、ハーバードとMITへ。久しぶりのキャンパス、そして授業は、通算ボストン留学4年目とはいえども緊張する。今学期ク

          ハーバード修士、ついに卒業!!

          (*追記を重ねて最終更新 2022年6月) コロナの影響で延長された2020年度と2021年度の卒業式が、2022年5月に開催されました!私自身も、2021年に無事卒業してオンライン卒業式は経験していたものの、やはりハーバードヤードでの卒業式は格別でした!両親も日本から来てくれ、指導教官のProf. Gareth Dohertyにも紹介することができ、本当によかったです。 とはいえ、本来の卒業式であった2021年5月も、コロナ禍 で1年間私のホストファミリーをしてくれたエレ

          2021年春学期 振り返り -修論-

          (*中間発表の時に書いた記事に追記する形で、卒業後に修論の振り返りを書きました) そんなこんな悩み抜いた私は「音」を切り口に据えることを決めました。空間デザインの理論の分野での研究があまりない、文系的でもあり理系的、EDAYAでやってきた竹楽器の活動ともつながっている、生まれつき左耳が聞こえないこと(はっきりとは言えないけれどやっぱり気になる存在としての音)音楽には人を繋ぐ力があること、音はそれを他の空間に移植するだけでその空間が変容すること、などなど、色んな理由で。

          2020年秋学期 振り返り② -Landscape Representation-

          Fall2020は実は一つだけだった、GSDの授業。でもやっぱりとても好きでした、デザインスクールの授業。特にこのクラスは、ランドスケープ修士の1年生の必修に組み込まれていて、実際のデザインというよりはデザインそのものを考えるのが中心で、私はひとり他学科からの参加者でしたが、とても学びが多かったです。 場の表象について、あらゆる方法を考えていくというのが授業の根底にあり、毎回、自分の思考方法の限界を試されている感じ。現実社会にどれだけ実装可能かはわからないけれど、思考実験と

          2020年秋学期 振り返り① 全般

          Fall2020は修士でのラストのコースワーク。このプログラムは、残る1学期は修士論文にあてることになっています。今期のクラス選択にあたって考えた点は2つ。ひとつは、論文に繋がる授業を選択すること。Displacement/ Refugee × Mental Health × Resiliency (through everyday activities)? あたりをキーワードに色々模索しました。 もう一つは、私の所属するMaster in Designプログラムの最大の特

          2020年春学期全般 振り返り

          コロナの影響で対面からオンラインへの変更があったりと大変でしたが、授業はとても刺激的で、印象に残る学期となりました。とった授業は、必修のTheories for Practices in Crisis, Conflict and Recoveryほか、Cartographic Audition、Interdisciplinary Art and Design Practices、Design Anthropologyの計4つ。 ファイナルプロジェクトのうちの2つを、ハーバー

          コロナによるハーバード閉鎖の記録

          何と言っても、2学期目の一大事は、コロナによる学校の閉鎖。当時Facebookにあげた記事を転載しておきます。 2020/03/13 投稿

          2019年秋学期 振り返り③ -Mapping: Geographic Representation and Speculation-

          Fall 2019 にとった授業から、3つ目に紹介するのがMapping: Geographic Representation and Speculationというクラスで、ランドスケープデザインの先生 Prof. Robert Pietruskoによるとても刺激的な授業でした。地図を描くことの意味をひたすら考えつつ、新しい地図作りからの問題提起を考えていきました。 中でも印象的だったのが、この授業の大きなプロジェクトの一つ、シチュアシオニスト・インターナショナルの漂流のコ

          2019年秋学期 振り返り③ -Mapping: Geographic Representation and Speculation-

          2019年秋学期 振り返り② -The Idea of Environment-

          今回紹介するのは、MDes Risk & ResilienceのheadであったDilip Da Cunha先生のThe Idea of Environmentのクラスです。 この授業では、まず、カント、ヘーゲル、マルクス、ハイデガー、サルトル、フーコーといった哲学者たち、さらには、ポスト構造主義、ポストモダン、ネオリベラリズムなどなど、近現代の哲学や経済まわりに触れました。 私が大学生の時、勉強をさぼっていたから、このような教養に欠けているのは自業自得なのか、あるいは、

          2019年秋学期 振り返り① -Digital Fablication-

          今回、紹介するのは、2019年秋学期に取ったMaterial Systems: Digital Design and Fabricationというクラスです。ざっくりいうと、ロボットとセラミックの掛け合わせで、建築に新たな視点と可能性(これまでにない構造やプロセスの構築など)を提案する、ということを考える授業。工芸とテクノロジーの関係性を考えたいととった授業でしたが、内容が若干自分が想定していた方向性とは違っていたこともあり、最初から最後まで、個人的には非常に苦労したクラスで