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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】長寿の味方「びわ」のヒミツ

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

最近、筆者の鍼灸院近くにある八百屋さん(C・one店 - グリーンショップオオツカさん)の店頭で、オレンジ色が鮮やかな「びわ」がひときわ目につきました。
「びわ」のなめらかな食感と優しい甘みの果汁は、蒸し暑さを感じる初夏のこの時期にもピッタリのくだものですね。

今回は、その「びわ」をとりあげ、栄養学的・東洋医学的に、「びわ」のすごさをご紹介していきます。

また、『6.びわの簡単レシピ』では、簡単でおいしい『びわのコンポート』をとりあげています。
では、最後までお楽しみください。

1.「びわ」の由来

びわの花

「びわ」は、その葉が古くから薬草として知られていて、患部に貼ったりお茶として飲用されていますが、花や種にも効能があります。
また、「びわ」の木は非常に硬く丈夫なため、その性質を活かし縁起物の『長寿杖』としても活用されています。
「びわ」の木が一本あれば、美味しく食べて健康長寿にもうれしい宝物になりますね。

そんな「びわ」は、バラ科の常緑樹で、原産地は中国です。
その葉が楽器の琵琶(ピバ)に似ていることから中国名で「琵琶」と名付けられたといわれています。

日本には奈良時代、仏教の伝来と同時に伝わったといわれています。
聖武天皇の時代に光明皇后が、葉を生薬とするびわの葉療法を施薬院に取り入れた、とも伝わっています。
施薬院は現在の病院にあたるで、寺院などに付属してつくられ、庶民を治療の対象としていました。
そこでの効果が認められ、各地の寺院にびわの木が植えられるようになったそうです。

江戸時代には夏の風物詩として「琵琶葉湯」という清涼飲料水も愛飲されていたようです。
このエピソードは次のような川柳にも残っています。
『琵琶と桃 葉ばかりながら 暑気払い』
『葉ばかり』を『憚り(はばかり)』とかけて、『本来は実を食べるはずの琵琶と桃なのに葉っぱばっかりですいません』という笑いが含まれていますが、琵琶葉にも桃葉にも暑気払いの効能があるのが知られていたことがわかります。

2.千葉と「びわ」

「びわ」は冬に花が咲くため、冬でも温暖な地域での栽培が適していて、日本では千葉県が栽培の最北端です。

千葉県は、長崎に次いで全国2位の「びわ」の産地で、「房州びわ」として全国に流通しています。
千葉県での栽培の歴史はとても長く、江戸時代の中頃に始まって現在まで250年以上続いています。
江戸時代に「房州びわ」が江戸の市場に出荷されたという記録もあるようです。

今年もすでに4月の後半からハウス栽培の「房州びわ」が全国に向けて出荷されていて、露地栽培のものの出荷が既にされたようです。
「房州びわ」は、みずみずしく大粒なのが特徴で、上品な味わいは皇室献上品に使われるほどです。

おいしい「びわ」の選び方、注目ポイントはここ!!
●角張らず、左右対称でふっくらしているもの
●うぶ毛がしっかりと残っているもの
●ヘタや軸がしっかりしているもの
●表面に傷や茶色くなった部分がないもの
●果実全体が特有のオレンジ色に着色していて、色が濃いもの

せっかくなのでもぎたてを味わいたいという方にはびわ狩りもおすすめです。
5月から6月にかけて、南房総の農園ではびわ狩りを体験することも出来ます。
今年は既に終わってしまっているかと思いますので、また来シーズン以降にぜひ南房総まで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

農園の直売所や道の駅などの中には、びわソフトクリームやびわパフェ、ケーキなど、びわを味わえるデザートを扱っているお店もたくさんあります。

3.栄養学としての効能

「びわ」の鮮やかなオレンジ色はβカロテンです。
その他カリウムなどのミネラルや渋味のもととなるタンニン、ビタミン類なども含まれています。

【β-カロテン】
β-カロテンはからだの中でビタミンAに変化します。
ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きがあるので、からだの抵抗力を強め、疲労や視力の回復に役立ちます。
また、強い抗酸化作用を持ち、動脈硬化や老化を防ぎます。

【カリウム】
体内の余分な水分・塩分を排出する働きがあるので、むくみを予防したり改善する効果があります。

【タンニン】
抗酸化作用や抗菌作用があり、アンチエイジングで注目されています。
便を固くする働きもあります。

β-カロテンは脂溶性のため、油分を含む食材とあわせることで効率的に摂取できます。サラダなどに添えればビタミン類なども摂取できますので、食事として季節の味を楽しむのもいいですね。

4.「びわ」の東洋医学的な効能

4-1.実の効能

東洋医学的には、「びわ」の実は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 甘・酸、涼(温)
【関連する臓腑経絡】 肺・脾経(脾・肺・肝)

①生津止渇(しょうしんしかつ)
津液(からだに必要な水分)を生み出し渇きを止めます。

②潤肺止咳(じゅんぱいしがい)
肺を潤して咳を鎮めます。

「びわ」は皮膚や粘膜に潤いをもたらし、夏バテのような暑さ負けの解消にも有効で、微熱やほてりを有する陰虚体質の方には相性がよいです。
東洋医学的には気を降ろす働きもあるため熱っぽい肝陽亢盛体質の方にも向いています。
逆に、水分の巡りが悪い冷え性の陽虚体質の方には不向きですので、摂取は控えめにするとよいでしょう。

4-2.花や葉の効能

東洋医学的では、花や種、葉にも効能が認められています。
●「びわ」の花
【性質と味】 苦、平
頭痛や鼻水を抑える効果があります。

●「びわ」の核(種)
毒性があるため生食はできませんが、煎じた汁は漢方薬として用いられます。
痰を切ったり、咳を止める効果があります。

●「びわ」の葉:漢方薬としてよく知られています。
【性質と味】 甘・酸、涼(温)
【関連する臓腑経絡】 肺・脾経(脾・肺・肝)
①潤肺止咳:肺を潤して咳を鎮めます
②和胃止嘔:胃の機能を回復して嘔吐を止めます
③外用で炎症を抑える効果があります。

5.現代の研究による効能

現代の研究では、以下のような効能があることいわれています。
①抗菌作用:びわの葉の液体製剤にブドウ球菌を抑制する作用があるという報告があります。
②抗酸化作用
③血糖値を下げる作用:びわの葉のアルコール製剤にインシュリンの分泌を促進する働きがあると考えられています。
④咳止め作用:びわの葉や種に咳を止める効果が認められています。

6.「びわ」を使った簡単レシピ

「びわ」は出回る時期が短く、また酸化しやすいため、新鮮なうちに食べるのが一番です
けれど、せっかくなので、その味わいを少しでも長く楽しみたいですよね。
そんなときは、ジャムやコンポートにするのがおすすめです。
ここでは簡単なコンポートの作り方をご紹介します。

【びわのコンポート】
《材料》分量は適宜
びわ、水、グラニュー糖、レモン汁
《作り方》
1.びわの実に、縦にぐるりと切り込みを入れて半分に割ります。
2.種はスプーンなどでくり抜き、渋皮と上下のヘタを取り除きます。
3.鍋にすべての材料を入れ、中火にかけます。
4.沸騰したら弱火にし、10分ほど煮たら火を止めて粗熱を取ります。
5.食べるときは、外皮を向いてください。

出来立てをそのままでも、冷蔵庫で冷やしても、のど越しがよく美味しくいただけます。
保存は冷蔵庫で数日から1週間程度。
長期保存を考えるなら、糖分を増やししっかりと煮詰めたジャムにするか、コンポートを冷凍しておくとよいでしょう。
また、水の代わりに白ワインを使うと香りがよく大人の味わいになりますよ。

いかがでしたでしょうか?
『長寿の味方「びわ」のヒミツ』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『食材効能大事典』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』ほか
参考資料:千葉県ホームページ


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