⑥五味とは:酸・苦・甘・辛・鹹の働きと食材例:はじめてのおうち薬膳
1 五味とは:五行に基づき導き出された5つの味
食物には必ず味があります。それらの味を五行に基づいて5つの分類したものが五味となります。
「酸、苦、甘、辛、鹹」の5つです。
単純に舌に感じる味だけで分けられているのではなく、その味が持つ機能によっても分類されています。なので、実際の味と五味が異なる食材も中にはあります。
また、食材によって、一つの味だけでなく複数の味を持っていものもあります。
2 五味①酸味:すっぱい
「酸(さん)」はすっぱい味を指します。
漏れているものを外に出さないなど、筋肉や体の穴を引き締め、出過ぎるものを抑える作用があります。
多汗、鼻水、咳、下痢、頻尿などの症状改善に向いています。
摂りすぎると、消化器系を弱めてしまうので口内炎ができやすくなったりします。また、引き締め作用が強まりすぎて汗や尿が出にくくなることがあります。
肝、胆の働きを強めます。
食材例:梅、レモン、酢、キウイなど
3 五味②苦味:にがい
「苦(く)」は苦い味を指します。
心の働きを助けます。
体内の過剰な熱を鎮める消炎作用と、余分な水分を乾燥させる作用があります。
発熱、夏バテ、皮膚の炎症、むくみの改善に効果があります。のぼせやイライラも鎮めてくれます。
摂りすぎると、必要以上に身体を冷やしてしまいます。風邪をひきやすくなったり、皮膚のつやがなくなったります。
心、小腸、脳、精神の働きを助けます。
食材例:ゴーヤ、レバー、セロリ、ごぼうなど
4 五味③甘味:あまい
「甘(かん)」は甘い味を指します。
滋養強壮作用があり、疲労を回復させ、虚弱体質を改善します。
精神的緊張や筋肉の緊張を緩めて痛みを和らげる働きもあります。
「疲れたときには甘いものを」とも言われるように、疲れたときに食べると元気が出てきたり、痛みを和らげたり、緊張をほぐしてくれます。
摂りすぎると、体がだるくなり、むくみや肥満の原因にもなります。
脾、胃など消化器系の働きを補います。
食材例:鶏肉、もち米、にんじん、山芋、じゃがいも、はちみつなど
5 五味④辛味:からい
「辛(しん)」は辛い味を指します。
体を温めることで滞りを発散し、気・血・津液の巡りを活発にします。
発汗作用を促すので、冷え性や肩こり、風邪の初期症状に有効です。
摂りすぎると、体内に余分な熱を生み出し、水分が失われます。
肺や大腸の働きを助けます。
食材例:ショウガ、にんにく、こしょう、玉ねぎ、わさびなど
6 五味⑤鹹味:しょっぱい
「鹹(かん)」はしょっぱい味を指します。
固いものを柔らかくする軟化効果あります。
体内にできたしこりを柔らかくして、体外に排出する作用になります。
便秘、いぼ、リンパの腫れ、結石の改善に有効です。
水分の調整をする働きもあり、摂りすぎると、体内の水分バランスが崩れ、血の粘度、血圧が上がることにもつながります。骨が弱くなることもあります。
腎、膀胱の働きを助けます。
食材例:のり、昆布、牡蠣、あさり、醤油、みそなど
7 五味を生かすには
これらの五味の作用を知ると、不調を起こしている箇所のものをとにかく摂ればよいと考えがちですが、ただたくさん食べればよいというわけではありません。
食べすぎは逆にその臓器を疲れさせてしまいます。
体内のバランスが保てるよう、組み合わせて摂取することが大切です。
8 他:淡味・渋味
五味の他に、「淡味」と「渋味」があります。
「淡味」は淡く、ほとんど味がしないものです。
甘味の範囲に入ります。
余分な水分を排出する作用があります。
利尿作用でむくみや下痢を改善させます。
食材例:はとむぎ、とうがんなど
「渋味」は渋い味です。酸味の範囲に入ります。
酸味と同じ働きがあると考えられており、筋肉などを引き締める作用があります。
食材例:ハスの実、ざくろなど
【簡単はじめての薬膳講座シリーズ:基礎編】
①薬膳とは何ですか?基本のキ
②中医学で見る自分の体調:気・血・津液で色々分かる
③気・血・津液が乱れるとどんな症状が?
④陰陽五行説:太極図と木火土金水
⑤五臓とは:肝・心・脾・肺・腎の5つの働きを押さえよう
⑥五味とは:酸・苦・甘・辛・鹹の働きと食材例 ←この記事です
⑦五性とは:寒・涼・平・温・熱の性質と食材例
⑧帰経・五行色体表:この表を見れば関係がわかる
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