ふうか

歌がすき!

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魂のこえ

天気のいい日は自転車でなるべく遠くへ出かけましょう ぎこちなくても公園や花の色に出会いましょう この岸辺に咲いたの なんでここまで来たの 沈んだ心解き放つ魔法の言…

ふうか
12日前

夏、Nagasaki

宝のような時は過ぎ 誰にも云えぬかなしみが 真夏の空へ向かうから 心まで焼けてしまいそう 斑模様の木々のいろ 揺れて何を問う あの日突然街は終り 途絶えた息のつづきを…

ふうか
2週間前

遠きに在りて

遠い、目の前の物語 凪いでしまえば忘るのか なかまはずれの夕惑い かえり道 ほら 蒸してぼやけた 讃美歌伝う町にいて 夢に入るような具合に落つ 焼ける夏は 葉にも縋る…

ふうか
1か月前

光の下

むずかしい季節だね 僕はまだ足を止めることも進むこともできず “夢追い人” 響きだけ噛みしめて 煩わしいことは全て目を逸らすから 汗にまみれた放課後が きゅっと恋し…

ふうか
4か月前
2

神の子等

世界を変えてしまうような神のみなしご 人里遠く離れた村に生まれた1人の少女 伸ばした髪を2つに結い 逞しく駆け抜ける 母の愛を知らぬままに1人育った少年 空を見上…

ふうか
6か月前
1

愛とどく

毒が回るようよ 知らない毒が 夜泣き鳥も静まるころに 触れる肌には熱持って 何方とつかぬ手を取って 2人 野を駆けた少年が いつの間に大きな背をしていたの 愛されると…

ふうか
6か月前
3

ゆられている

友なき身は 愛なき身は 誰もそばに居ぬことに耐え だけどそれが 過ちではないことだけ 願う世の中で 帰りの電車ふらついたって 誰の目にも手にも触れないまま 御伽話では…

ふうか
10か月前
1

秋の夕暮れ

散る葉に心摑まれ 真冬より怖いのは何故 まだ生きているのに ひと風ごと 肌に胸に来る予感 秋深まれば揺れ惑う 言の葉に縋りひとり 冷えゆく季節の前 成す術なく 秋の…

ふうか
11か月前
2

さくら通り

中野通りの桜を見に来てね 泣いちゃうかもしれないよ 季節なんてもう何だっていいと嘯いてた君だけど この風ひとひら感じれば思い変わるかもしれないよ ねぇ まだ胸には…

ふうか
1年前

死なないでおくという選択肢

絶望に打ち克つことが正義のような世界にあって “死なないでおく”という選択肢があることを知っていてほしいから あなたの生き方や死に方をとやかく言う権利は私にはな…

ふうか
1年前

川と風の日

通りすがりの苦しさだった やさしい陽を受けるとは まさかこの背も思ってなかっただろう 川の流れ思い描いてた 歌に出てきた嵐山 やっと来られた 1人きりだけど 誰にも気…

ふうか
2年前
2

雨向こうの苦

雨向こうは どんな色? 知らぬように過ぎる日中の街 堪らず身を削ぐ者もある 旧い伝えの その苦には 地を埋め どんな祠建てても 追いつかぬ咎もあるのでしょう そっと手…

ふうか
2年前

周回おくれの人生は

周回おくれの人生が 空しくも口惜しくもなるもんやね 雨に紛れて逃げるな今日を それならどう思い直そか 人も疎らに西浜は 責めも慰めもせんのんやね 凭れ揺られて電車は…

ふうか
2年前

愛の記憶

それはとてもあたたかく 眩しい代物らしいのだけど 持てる者と持たざる者 何故だかあるみたいね 今日も 愛の記憶と闘っているのよ 無いそれと闘っているのよ 形も知らぬ…

ふうか
2年前

神様が腕の中

雨のち晴れの湿気た部屋 神様が腕の中 沈む寝息は天の其れ 僕などの腕の中 思い起こせば 愛に爛れた 昨夜はきっとまやかしか 今がまさに幻か そんな虚ろを 朝明けに 照ら…

ふうか
3年前
2

盆にも帰らぬ不幸者

蛍、今宵は鳴く癖も 控えた町に静まって 昼間の汗をさます人   飾り棚には取り取りの 迎え果も花も色添えて 縁はつどい賑わいを   盆にも帰らぬ不孝者 待つ身の…

ふうか
4年前

魂のこえ

天気のいい日は自転車でなるべく遠くへ出かけましょう
ぎこちなくても公園や花の色に出会いましょう

この岸辺に咲いたの
なんでここまで来たの

沈んだ心解き放つ魔法の言葉唱えましょう
そんなものは初めからどこにもないはずでしょう

風任せに走った
今ならもうわかるよ

魂はひとりでいる
どうしてもひとりでいる
ときどき泣きたくなるのはそのせいよ
責めなくていい

いつか残した未練など笑い飛ばせるはず
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夏、Nagasaki

宝のような時は過ぎ
誰にも云えぬかなしみが
真夏の空へ向かうから
心まで焼けてしまいそう

斑模様の木々のいろ
揺れて何を問う
あの日突然街は終り
途絶えた息のつづきを
生きるのか

太陽に恨みなど
人の罪に終焉など
私は今ここに立ち
知らない、焼けた空を思い出す

数十年の時を過ぎ
どうしても癒えぬかなしみが
埋まる地の上にただ
十字が在るだけでは
思いを馳せなければ…

宝のような時は過ぎ
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遠きに在りて

遠い、目の前の物語
凪いでしまえば忘るのか

なかまはずれの夕惑い
かえり道 ほら
蒸してぼやけた

讃美歌伝う町にいて
夢に入るような具合に落つ

焼ける夏は 葉にも縋る

遠い、目の前の物語
世紀も経ぬうち忘れたか
毒除け綺麗なものばかり
食んで伝えも薄れたか

祈りましょうの罪つくり
閉ざしてもまた
古傷は膿み

宵は千灯籠の町にいて
混ざる歴史の狭間に落つ

焼ける夏は 川も見えず

遠い
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光の下

むずかしい季節だね
僕はまだ足を止めることも進むこともできず
“夢追い人”
響きだけ噛みしめて
煩わしいことは全て目を逸らすから

汗にまみれた放課後が
きゅっと恋しくなるんだよ

夢見てもなお破れてゆく
繰り返す日々への勲章は
いつかこの身いっぱいに注ぐ
スポットライトであるように

ベッドの上に蹲って
何が変わるというのだろう
情けない自分も連れて
飛び出そう
まず太陽の光の下へ

人々は大画
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神の子等

世界を変えてしまうような神のみなしご

人里遠く離れた村に生まれた1人の少女
伸ばした髪を2つに結い 逞しく駆け抜ける

母の愛を知らぬままに1人育った少年
空を見上げ問い続けた その瞳は強く

2人が出会う時
声が胸に目覚め来る

世界を駆けて救いゆけ
あぁ神の子等
襲い来るものに向かいゆけ
さぁ神の子等
見えぬその先は 2人飛び込め

病める町よ 死せる川よ 進むほどの厳しさに
決して強くはな
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愛とどく

毒が回るようよ
知らない毒が
夜泣き鳥も静まるころに

触れる肌には熱持って
何方とつかぬ手を取って

2人 野を駆けた少年が
いつの間に大きな背をしていたの

愛されるとは
こんなにも息詰まる
神も知らない贅沢な朽ち方

気を遣る情歌
夜風障る
昼時にも残るわ きっと

毒が回るようよ
知らない毒が
暁にも攻め入るよう

揺れる肩にそう 手を遣って
虚ろうつろの身を合わす

2人 世を避けた積り
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ゆられている

友なき身は
愛なき身は
誰もそばに居ぬことに耐え
だけどそれが
過ちではないことだけ
願う世の中で

帰りの電車ふらついたって
誰の目にも手にも触れないまま
御伽話ではないから
擦れてく 薄れてゆく

自分の足で歩くんだって
ぐらついても 痛んでも
縋らぬことが行儀いいとか
刷りこまれた

友なき身は
愛なき身は
誰もそばに居ぬことに慣れ
だよね それが過ちとは
口裂けても言えぬ
今更に

始まり
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秋の夕暮れ

散る葉に心摑まれ
真冬より怖いのは何故

まだ生きているのに
ひと風ごと
肌に胸に来る予感

秋深まれば揺れ惑う

言の葉に縋りひとり
冷えゆく季節の前
成す術なく

秋の夕暮れは私を覆い
心は何処まで行くのか
何の夢でもない浮世
辿りながら暮れる

沈む日 街を赤く
ひと筋だけ悍ましさ覚え

あぁそうか
逢魔が刻
美しさに紛れた道

ーさぁ通りゃんせ

秋の夕暮れ 私を飲み込み
心が何を叫んでも
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さくら通り

中野通りの桜を見に来てね
泣いちゃうかもしれないよ

季節なんてもう何だっていいと嘯いてた君だけど
この風ひとひら感じれば思い変わるかもしれないよ

ねぇ まだ胸には重い誓い
ねぇ 溶かしてよ 少しずつでもいい
隙間から日の光も差すでしょ

中野通りの桜を見に来てね
笑えるかもしれないよ
こんなにあたたかい風吹く季節
今しかない浮世の魔法

景色なんてもうどうだっていいと 俯いてた君だけど
この桜
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死なないでおくという選択肢

絶望に打ち克つことが正義のような世界にあって
“死なないでおく”という選択肢があることを知っていてほしいから

あなたの生き方や死に方をとやかく言う権利は私にはないけど
どうしても伝えたいことが1つだけあるから

力の抜けた体 虚ろな感情
魂もないような
そのくせね 苦しみだけは生きるのも耐えられないほど

あなたのその痛みはあなたにしか分からないもの
誰かが容易く踏み込めるものではないのに

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川と風の日

通りすがりの苦しさだった
やさしい陽を受けるとは
まさかこの背も思ってなかっただろう

川の流れ思い描いてた
歌に出てきた嵐山
やっと来られた
1人きりだけど
誰にも気づかれぬよう
そっと口ずさもう

雲を見た
段になって
あぁこんなにも緩やかに
流れゆくのね

通りすがりの苦しさだった
春の風が吹くときは
少しこの背を伸ばしていたいような

水を知った
日に光って
わだかまりとは違うけれど
夢に
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雨向こうの苦

雨向こうは どんな色?
知らぬように過ぎる日中の街

堪らず身を削ぐ者もある
旧い伝えの その苦には
地を埋め どんな祠建てても
追いつかぬ咎もあるのでしょう

そっと手を伸べる者
霧晴れ そして散るように

雨ばかりの僕達は
泣いたりはしないけれど
雨交じりに慣れただけ
平気とは違うのさ

還らぬ魂に恨みごと
遠い昔の政
何れにしても嘆きなど
届かぬ質のものでしょう

じっと身を縮めても
晒され
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周回おくれの人生は

周回おくれの人生が
空しくも口惜しくもなるもんやね
雨に紛れて逃げるな今日を
それならどう思い直そか

人も疎らに西浜は
責めも慰めもせんのんやね
凭れ揺られて電車はどこへ
山手も波止もゆきどまる

のらりくらりと人生は
弱りも立ち上がりもしたけれど
それも小さな雨渦の中
誰が知るかの物語

100円あれば着いたころ
どこへも行けると思たもの
横目、赤灯はもうないか
祭りの時期も過ぎたのか

正し
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愛の記憶

それはとてもあたたかく
眩しい代物らしいのだけど
持てる者と持たざる者
何故だかあるみたいね

今日も

愛の記憶と闘っているのよ
無いそれと闘っているのよ
形も知らぬたからもの
死ぬまで続くのでしょう

幼なごころ 飢えた箱
今から埋めることもできなくて
涙雨が注いでも
すぐに流れ零る

不思議ね

無いという記憶と闘っているのよ
脇目も振らず闘っているのよ
持つ者と持たざる者
何を恨むか
生き
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神様が腕の中

雨のち晴れの湿気た部屋
神様が腕の中
沈む寝息は天の其れ
僕などの腕の中

思い起こせば
愛に爛れた
昨夜はきっとまやかしか
今がまさに幻か

そんな虚ろを
朝明けに
照らされることになろうとは
ただの女に成り下がれ
なんと乱暴な願いだろ

雫残った熱の部屋
神様が腕の中
恋焦がれていた身擦れば
囚われてゆく日中

只でさえ
この地での呼吸は
苦しいのだと云っていた
それを何処まで追い詰めて

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盆にも帰らぬ不幸者

蛍、今宵は鳴く癖も

控えた町に静まって

昼間の汗をさます人

 

飾り棚には取り取りの

迎え果も花も色添えて

縁はつどい賑わいを

 

盆にも帰らぬ不孝者

待つ身の噎せは構うかと

夕凪、思いも暮れるころ

 

墓に向かえば列なして

潮香もかおれ

息紡ぐ者の支えを疾く運べ

 

花火、灯りも取り取りの

揺らせ鳴らせと地を打てど

伝手なき身にはなお遠い

 

盆にも帰らぬ
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