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雪柳 あうこ
2023年11月26日 11:27
詩と暮らすことにしたのは、数年前の春からです。その春、わたしは陽気に当てられぐったりとしていました。そんな時、窓からふと、ひとひらの詩が飛び込んできたのでした。ひらひら、ひら、り。窓の内側に吹き込んできた詩を、手のひらに収めました。薄桃色の詩は、見た目の美しさとは裏腹に、少し乾いていました。わたしは硝子の容器に水を張り、詩を浮かべてみたのでした。すると、詩は楽しそうにくるくると硝子の中で回りま
2022年5月8日 14:30
あれはヤツデ? ──いいや、あれは無花果。しばらくすると、美味しい実がなるよ。その日からわたしは、来る日も来る日も無花果の葉の下で、もたらされる実りを待った。青空はくらくらする。陽炎のような誰かと遊んでさみしいよりも、空を切り取る緑の手と戯れる方が愉しい。葉をすり抜ける陽射しが肌を焼いて、体育座りの腿の内にまで汗を浮かべさせる。登校日は忘れたことにした。青空はまだくらくらする。よく何年も、そ