『AIとモノづくりの融合』、その方向性
日経電子版の記事【したたかにGAFAと戦う 日の丸AI急上昇】は、日の丸AIの方向性についてとても示唆に富んだリポートだと思います。
出遅れていると言われる日本のAI活用については、AIエンジニアの集積、ビッグデータの集積、政府の支援など、AIのエコシステムにおける与件の不利が叫ばれがちですが、より本質的な要素である『解析すべきデータ』と『自動化する対象となる課題』については、先進国の中でもいち早く少子高齢化社会に突入していく日本、そして、『おもてなしのサービス』と『モノづくり』の伝統を誇る日本には、データと課題の質と量においてむしろ圧倒的な優位性がある、と考えられます(この点については、下記の拙稿でも考察しています)。
その意味で、日の丸AIの課題は、この圧倒的な優位性をリスクを恐れずに取り込んでいく『スピード感』にあると考えられますが、具体的には、どのように取り組んでいけばいいのか、記事からは、いくつかのエッセンスが読み取れます――
(1)特定分野(業種)に特化する
プロダクト(モノ・サービス)の汎用性を重視するITビッグがカバー
しきれないニッチ領域でトップを目指す。
(2)モノづくり大企業とのアライアンス
日本を代表するモノづくり大企業のレバレッジを効かせて、その分野で
汎用性のあるプロダクトを開発し、世界中に拡販する。
(3)長期でのパートナーシップ
AIによって『自動化する対象となる課題』への最適解を編み出すには、
その業務に関する専門性を習得することが前提となる。例えば、AIと
ロボットの融合であれば、そのロボットメーカーと長期のアライアンスを
結んで、ロボットについて徹底的に学習する。
汎用性の高いプロダクトは、特定の領域に特化したプロダクトには太刀打ちできず、そのような強いプロダクトを多様な領域で連続的に生み出していくには、長期にわたるパートナーシップが欠かせないと考えられます。
『AIとモノづくりの融合』というオープンイノベーションは、出会うだけ、結合だけでは機能せず、相互に相手の領域を学習して腹落ちする位にならないと、卓越した世界に通用するプロダクトは生み出せないのではないでしょうか。
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