マガジンのカバー画像

『天使の翼』第11章~吟遊詩人デイテの冒険~

112
惑星植民関連法の改悪で不穏な情勢がくすぶるラプラスで、地元住民と大公国政府の板挟みとなったラプラス星庁トップのフランク長官、そしてそんな長官の悪友で密輸業者のミラーの巻き起こした…
運営しているクリエイター

2023年8月の記事一覧

『天使の翼』第11章(31)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「消息を絶ったとされる星域の座標がまるで見当違いなのか、それとも、何か天体に突っ込んで…

武田敦
9か月前

『天使の翼』第11章(30)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、そして、間違いなくシャルルも、その時ある予感を覚えた――いつかSSIPと対決…

武田敦
9か月前
1

『天使の翼』第11章(29)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「デラの敵?」  「確かなことは分からない。でも、国家秘密警察以外の組織は思い付かない…

武田敦
9か月前

『天使の翼』第11章(28)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「これに猛然と反発したのがデラ殿下だったの――『わたくしは、断じて兵を救出に向かう』……

武田敦
9か月前

『天使の翼』第11章(27)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「……彼女の『決断力』と言えば、すぐに思い出すのが、つい最近、と言っても標準年で一年ほ…

武田敦
9か月前

『天使の翼』第11章(26)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「――彼女の強い個性は、主に三つの要素からなっているわ――どれ一つとっても、言うは易し…

武田敦
10か月前

『天使の翼』第11章(25)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「そんなおおげさなものじゃないのよ。……何と言ったらいいかしら……うーん……心の襞のレベルね」  『心の襞』ときた。――わたしに言わせるなら、小さな感情の積み重ねは、やがて大きなうねりとなる。心の動きは、幾何級数的なのだ……  ……級数的といえば、どんどん強くなるかに思えた背後のビル風が、いつの間にかぴたりとやんでいる――気温の上がる気配が、辺りの空気中に漂っていた……  「……デラは、とても人気があるのよ――反対に大嫌いだという人もいるみたいだけれど……彼女という存在に接

『天使の翼』第11章(24)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「それと、もう一つ。殿下と大公は、しっくりいってないんじゃないか、という気がするのよ……

武田敦
10か月前

『天使の翼』第11章(23)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「デラ殿下は、国民の人気があるのかい?」  ローラは、ちょっと押し黙ってから――  「わた…

武田敦
10か月前
1

『天使の翼』第11章(22)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「シャルル――」  ローラが小さく笑って答えた。  「――『野心』なんて無いのよ。聖薬によ…

武田敦
10か月前

『天使の翼』第11章(21)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「『ずるい』といえば、大公国にとってナショナリズムは諸刃の剣だよね。――国民を鼓舞する…

武田敦
10か月前

『天使の翼』第11章(20)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 その点、帝国政府の官僚達も、全く同じ思考回路に支配されていることに変わりはなかった。秘…

武田敦
10か月前

『天使の翼』第11章(19)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「フィリポス大公は、とてもずるい男よ――」  ローラの歯に衣着せない物言いに、かえってわ…

武田敦
10か月前

『天使の翼』第11章(18)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 しかし、ローラとペンテコステ老とでは、ものの見方に明らかな違いがある。  一つには、老人が、聖薬による安全保障があるのに、軍備を増強することをいぶかしみながらも、ストレートに大公家の野心を認めていたことだ。それに対してローラは、聖薬による安全保障はゆるぎなく、それ故、大公国の軍拡は、帝国転覆の野心の表れなどではなく、新たな強権支配の為のシステム、枠組み、と見ているようだ。  もう一つの違いは、老人が、いつも表面に出ている第一公女デラを憎悪の対象にしていたのに対し、ローラは、