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『天使の翼』第11章(25)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「そんなおおげさなものじゃないのよ。……何と言ったらいいかしら……うーん……心の襞のレベルね」
 『心の襞』ときた。――わたしに言わせるなら、小さな感情の積み重ねは、やがて大きなうねりとなる。心の動きは、幾何級数的なのだ……
 ……級数的といえば、どんどん強くなるかに思えた背後のビル風が、いつの間にかぴたりとやんでいる――気温の上がる気配が、辺りの空気中に漂っていた……
 「……デラは、とても人気があるのよ――反対に大嫌いだという人もいるみたいだけれど……彼女という存在に接すると、人は皆、好きか嫌いか、白黒つけることを迫られるのね……強い個性のある証拠だわ」
 わたしには、彼女の言うことがよく分かった。常々そういう強い女性になりたいと願うのだが、わたし自身は……自分で言うのもなんだけれど、人から好かれるタイプのよう……媚びてるつもりは全くないのだけれど。

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