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『天使の翼』第11章(31)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「消息を絶ったとされる星域の座標がまるで見当違いなのか、それとも、何か天体に突っ込んで遭難したのか、可能性はいくらもあるけれど、私は、信じない――シッポの仕業よ」
 「隠蔽工作の可能性そのものが、動かぬ証拠だね」
 頷いたローラの横顔に、思案するような表情が過ぎった。
 「何の収穫もなく帰った殿下を攻める者など誰もいなかったのだけど……会見に応じた殿下の表情はいつも以上に固かった……もともと強面の女性で、それは今も変わらないのだけれど、前は少し感じられた、雲間からさす束の間の陽の光のような明るさが、まるで掻き消えたようで……」
 それは、単に捜索の失敗に起因するだけのものではないのは明らかだ。しかし、それが何であるのか、ローラにはそれ以上の情報はなく、暗く謎めいた余韻だけが残った。

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