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『天使の翼』第11章(29)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「デラの敵?」
 「確かなことは分からない。でも、国家秘密警察以外の組織は思い付かないわ」
 倫理に悖る強権国家が、その支配の装置として秘密警察に頼るのは、古今東西の歴史的法則といってもよい。そのような組織は、国家官庁としての外観を備えているだけで、往々にして、その設立からして違法、権原も違法、行政行為そのものも違法と、違法尽くしだ。その外観と暴力だけを拠り所として、政権の為には恣意的に何でもするのが秘密警察である……彼らは、その利己的な目的の為には、どんな幼稚なこじ付けを使ってでも、白いものを黒にする――
 「彼らの正式名称はSSIP、シッポよ。シッポの連中は大公国一番の嫌われ者、と思ってもらって間違いないわ。……国民は、シッポをとても恐れている。彼らが超法規的な殺人マシーンだから……」

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