『天使の翼』第11章(23)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「デラ殿下は、国民の人気があるのかい?」
ローラは、ちょっと押し黙ってから――
「わたし、殿下とは三回ほど会っているの――」
…………
「――親しく言葉を交わす、と言う程ではないけれど、かといって、彼女の人となりに近付くことができなかった、と言う訳でもないのよ……」
わたしは、アクィレイアで始めて会った時の、冷たい美しさをたたえた女性を思い浮かべていた……
「これは私の直感だけど、殿下は、見かけによらず情に厚い女性だと思うわ……良くは分からないけれど、感情をダイレクトに顔に出さない習慣が身についてしまっている……私には、とても真似できないわね」
ここで、ローラは、何故かチラとシャルルの方を見た。
シャルルはシャルルで、ローラの視線に気付いていながら知らん振りを決め込んでいる……
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