『天使の翼』第11章(28)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「これに猛然と反発したのがデラ殿下だったの――『わたくしは、断じて兵を救出に向かう』……大公の許可なくメディアに出たデラ殿下……めちゃくちゃ素敵だったわ!」
実際に生身のデラを眼前にした事のあるわたしには、その時の情景がまぶたに浮かぶようだった。
「彼女は、そうやって、一瞬にして大公の意図を打ち砕いたんだね」
「云い得て妙だわ。表立ってデラ殿下の意向に反対できる人間なんて誰もいない――正論だもの。たとえ大公といえども。……大公は、その放送の後、それこそ表立ってこの件には一切触れなくなった」
「ただ、そのままでは済まなかった?」
「ええ。何か秘密のあるのは間違いのないところだから、デラの敵は、違う形で目的を達成しようとした――」
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