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#こよいお月見

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お互いの距離を保ちながら皆との共通体験が楽しめる行事とも言える「お月見」。このマガジンでは 私たちOTSUKIMI.の取り組みをはじめ、お月見に関する投稿をまとめています。
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2021年8月の記事一覧

子どもと夜の散歩をして思ったこと〜8月31日の夜に〜

先週の土曜日は奥さんと娘ちゃんでシュウマイ作り。不揃いだけど酢醤油と千切りショウガをたっぷりのせ食べると何とも美味で、最近、お気に入りの角ハイボールが止まりません。 ご飯食べて、お腹いっぱい、胸いっぱい。 何だか気分良くてもう少し飲みたい日ってない?酔っ払いは、たいがいこんな戯言を言って酒を買いに行きます。そういや親父もこんなだったな……。 「ちょっと、セイユ―行ってくるよ」と奥さんに声をかけ、家を出ると、6歳になったばかりの娘がドアを開け、飛び出してきました。 「パ

月の名所|ショートショート

今年は、家族で月の名所に行ってみようということになった。 とても楽しみだ。 月の名所にも、いろいろな場所があるが、車でしか行けないところにしよう、と話した。家族でドライブだ。 今年の春は、家族で引っ越しを経験して、お花見どころではなかった。 花の名所に行けなくても、月の名所に行けばいい。 引っ越してきてから、慣れない環境に体を馴染ませることばかりを考えていて、なかなか外を出歩いていない。 ピクニックのように、食事を持っていきたい。 どうせ、外では食事ができないので、家族で

渋谷の月

果たされなかった約束を供養するために街へ出る。 渋谷で月をみるならセルリアンタワーのベロビスト、そう思っていたのに今はアルコールを出さないだけでなく19時で閉店という。やるせない2021年、お月見日和。地上40階、187mを上ってすぐ下りる。 仕方なくセルリアンを出て左、だらだらとした坂を歩く。都会を凝縮した幹線道路沿いから旧山手に抜けて、かつての恋人、とよく渋谷から一緒に歩いた道を辿って、ただ松見坂の交差点への道に曲がることだけはやめ、まっすぐに進む。 松見坂には遠い

朔(さく)の時 【詩】【ポエム】➈

月が見えない夜を 朔という 生まれたばかりの新月が 隠れんぼをしているのだ 月がいない空は 寂寥 君がいない夜は 絶望 やがて来る 三日月の夜まで 待ちわびて  星をつなぐ 月は 平等 平和な国も 戦う国も 裕福な人も 傷付いた人も 等しく その光を分け合う 生まれ変わりたい その光を浴びて 私達は月を見ているのではない 月が 私達を見ているのだ

月下随想(げっか ずいそう)【詩】【ポエム】⑩

小高い丘の上 暗がりの公園で 月をシーソーに のせてみました オレンジ色した 上弦の月 ” 今日のお月さまは おいしそう 卵がたくさん入ったクッキーみたいだ ” 欠けたところは お耳の長い あの仔(こ)が食べてしまいました 空想で お腹がふくらむ 食いしん坊な うさぎたち 満月の夜なら もっと明るい でも…。 ” 月の光で 本なんか読めないよ ” ぼんやりと君の顔を照らす のみ ” 物事は  はっきり見えないほうが いいんだよ " 自らは輝けない

今日は月、みえるかな。月の出が遅めだからベランダから見えるのは夜中かな。夜空を見上げるのはLINEする口実を探すためだったり。とかね。そんなこともあったわね。

さっきまで月にかかってた雲が晴れていい感じ、と教えてもらって久しぶりに見上げた月。やっぱりこのベランダから見る月が好きだなあと思った。しんどかった副反応もおさまり、月を見たら少し気も晴れた。今日は前髪を切ろう。吉井さんのピンクにあがってたジョアンナがかわいすぎて。

同じ満月を見ている。

25年以上も前のこと。社会人として働き始めた22歳のわたし。おじさん、おじいさんばかりの職場で、20代後半の彼は、懐っこい犬みたいな笑顔がまぶしくて、わたしを妹みたいに気にかけてくれる存在だった。 忘年会か新年会だったか、職場の懇親の機会に、彼を含めた数人で飲みに行ったとき、職場とはちがう雰囲気にドキドキしたり、ひっそりと素敵だなと、わたしは彼に憧れていた。 桜が満開になったある年の4月。 彼は人事異動でいつのまにかいなくなった。 わたしには一言も言葉がなかった。 彼にと

月もまた、見ている。

また人間が、白いものをこねている。 なぜだかわからないが、ある時期になると、あの辺りに見える人間は白いものをこねだし、それを丸めて積み上げ、そしていつもより私を見る。 白いものを作らずに、何かを飲んだりしながらぼーっとこちらを眺める者もいれば、白いものがまんまるじゃなかったり、上に乗せた何かと一緒に食べている者もいる。 もっと前は音を奏でる者や何かを書き記す者などもいたが、最近はそんなに多く見かけない。 何人かの人間が集まっているところは、宴を催しているようでもある。

小さい月

「今夜さ、満月だから、うちに見に来ない?」と彼女からメッセージが届いたので、僕は冷えたシャンパーニュを片手に彼女のマンションに向かった。 彼女の部屋に入って、グラスにシャンパーニュを注いでいると、彼女が隣の部屋で「お客さんだから礼儀正しくするのよ」という声が聞こえた。 なんだろうと思って待ってると、彼女がまだ小さな月を両手で持って出てきた。月の大きさはグレープフルーツくらい。まだまだ小さいんだ。 「はじめマシテ」と小さな月が言った。 「1ヶ月、うちでホームステイしてい

彼はまだ、あの月の名前を覚えているだろうか

『別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。 花は毎年必ず咲きます。』 川端康成の小説の有名な一説。 本来なら、わたしが彼に花の名前の一つも教えておきたかったところなのに、むしろわたしは、彼に教わった月の名前が、今でも忘れられずにいる。 月を見るたび、思い出す。 これは、月によって導かれた、ふたりの2度目の恋のお話。 *** 2019年、夏。 わたしは日曜日の昼下がり、京王線の各駅停車に揺られていた。 中途半端な時間だったからか、人はまばらで、週末の午後特有

1ページ漫画「guide」 #新しいお月見

去年に続いて2回めの『お月見コンテスト』に参加します。 月には不思議な作用がある気がします。とくに満月が浮かぶ日は、時空が歪んで未来の自分が会いに来るかも。 審査委員のお一人、林伸次さんが、コンテスト紹介記事の中で「寄せ文庫」企画にも触れてくださいました。 リアルに会ったことのない人たちがnoteで集まった結果、一冊の文庫本が誕生しました。同じ本を手に取ることで、つながりや絆がより強くなったように感じます。 『お月見コンテスト』もこれによく似ていて、 「近くにはいら