TSUMUGI

自作ポエ厶。 https://www.instagram.com/tsumutsumu…

最近の記事

湖岸にて【ポエム】【詩】 70

あの子はいつも  迷った時に この湖に来る。 自分の中の内なる声に 耳を澄ます為に。 小石を投げてみる。 小さな波紋が、ふたつ、みっつ。 輪を広げていく。 投げられた石は  音もなく静かにゆっくりと沈み込み、 やがて見えなくなる。 (さっきの石は、どこまで行くのだろう。) 今度は強く投げてみる。 水面をかすめて ジャンプしながら落ちて行った。 そうだ。 答えが出たような気がした。 誰かに あと押しされたように 背中が 熱くなる。   やがて 雨が降り

    • 続・プラネタリウム 【詩】【ポエム】 69

      黒い霧のような空 星々に抱かれて わたしも宇宙の一部になる 声は どこまで届くの 空に浸る この時 誰にも邪魔されず 見上げていたい 彦星には 毎日 会いたいの たくさんの星々 全部に短冊を付けたいの こんなに たくさんあるんだから 願いは きっと叶うよね 天の川は 私の足元に 現れるかな‥‥ 外はまだ 明るくて ほんとうの空が私をゆるりと照らす コンクリートの橋の上 あなたが手を振っているように見えた 【後記】 七夕の日、プラネ

      • 本を抱っこ 【エッセイ】

        人には「所有欲」というものがある。 ミニマリストとして、物を増やさないというポリシーを持つ方もいらっしゃるが…。 私自身は 所有欲は有る方だと思うけれど、コレクターと呼ぶ程でもなく、置き場所が無くなると、ある程度は処分する。 もう入らないので、なるべく図書館で借りて読んでいる。 本は…、紙派。 私の、「自分の詩集を出してみたい」という淡い夢も、実体がある本を抱いてみたいという理由からだ。 でも私には、過去に買った音楽書等を自宅の書棚に並べて「読んだ気」になってしまって

        • 蝉(せみ) 【詩】【ポエム】68

          私が 音を奏でるのは 夏に蝉が啼くようなものなのです 誰かに 命令された訳でもなく 生きている、って。 ここに居る、って。 「夏よ 終わらないで」って 過ぎる時間を止めようとしているんです それが「叶わない」と わかっていても、です 啼き疲れて抜け殻になった私を見て あなたは憐れに思うのでしょうか わたしが楽器で歌う理由 それは 過ぎていく この瞬間は  「無かったこと」には できないって事なのです 「削除」されたって、心には残ってる そういうものでしょう

        湖岸にて【ポエム】【詩】 70

          青い薔薇 【詩】【ポエム】 67

          おいでおいで と手招きされて そこにあったのは 落とし穴 君の術中にはまった あわれな仔犬 君の事 考えて 時間過ぎていく お預けされても 文句も言わず 「あっち向いてて」と言われれば そうするさ だけど 一番辛いのは 君が他の誰かを見ている時 逃げてしまいそうな ちょうちょ 僕は虫かご抱えて 追いかける 手の中に捕まえても 広げたら逃げてゆく 薔薇園の つがいのちょうちょ あんな風に 君と戯れたい 春の陽が 眩しすぎて 目を閉じたら どこかへ消えてし

          青い薔薇 【詩】【ポエム】 67

          ダイアモンド【詩】【ポエム】66

          あなたは多面体 様々な角度で反射し  輝きを放つ たくさんの 魅力を持ち 見る人を惹きつける 変化する色彩 永年の軌跡と奇跡が混ざり合う 透明で純粋な心 意志は強く 固い でも、燃え尽きないで。 手塩にかけて磨かれた、その輝きを 守るために。 屈折した光が、心 射抜く迄。 【後記】 ダイアモンドのように、色々な面(輝き)を持っている人の魅力を著したいと思って書きました。 ダイアモンドの特性を調べますと、「硬度が高い」でも「割れやすい」、「燃えやすい」

          ダイアモンド【詩】【ポエム】66

          生命(せいめい)【詩】【ポエム】65

          そうよ あの子は 繊細過ぎたから 地球の住人には 向いていなかったの じゃあ「繊細さ」は悪ですか 同じ時代に生きて 嬉しいと思う人が たくさんいても あの子が この世界を 見限ったんだ この世に 愛想 つかせてさ せめて 私たちができること あの子が戻ってきた時の為に 棲みやすい 美しい世界にすること 他に何ができる? どうか あなたを、否定しないで。 そして 明日は、生きていて。 朝陽浴びたら 考えが 180度変わってるかもしれないから。 【後記】

          生命(せいめい)【詩】【ポエム】65

          暁の月 【詩】【ポエム】64

          待っていた 来てくれると思っていたから もうすぐ夜が明けるのに 月が見える 明日になるのが 怖いから  もう少し そこに居て ねぇ 約束は 何のために するの 待ち呆け 食らった 私は 暁の月 取り残され 空を泳ぐ 君との約束は 小鳥のさえずりにかき消され 暁の空に  消えてゆく ※暁の月…夜明け前の月。 【後記】 この詩で、note さんに投稿した詩は、64篇になりました。 書き始めた頃は、こんなに書けるとは思っていませんでした。 まだ数行か、一行

          暁の月 【詩】【ポエム】64

          紫の雨 【詩】【ポエム】63

          花咲くリレーバトンを引き継ぎ 葉桜の横で 滴り落ちる紫の雨 本物の雨に打たれ さらなる風情を醸し出す 棚の上 想いを引き摺るかのように 伸びた蔓 風にそよぐ 連なり  ぶどうの房のようで  それぞれが家族のようで ……それでいて 冷めた眼差しのような色 ここで もらったお守りは藤色 手が届きそうで 届かない 君のような 、藤の花。

          紫の雨 【詩】【ポエム】63

          暗闇の地図 【詩】【ポエム】62

          知らない土地の 地図の上 肩をつかまれ 空中から放たれる ぐーるぐる廻る  世界が廻る 心も平衡感 失くす 進むしかない  真っ暗な中でも 手探りで 明るいストーリーの映画観ても 現実は変わらない 「頑張って」とか「無理しないで」だとか そんな言葉は 今の私には 効かない薬 思いあぐね  歩きあぐね  進みあぐね… 真っ黒な空から 垂らされた星の涙 地球は何で できているの 欺瞞、それとも… 用意された迷路のように 出口に 正解は無い それは自

          暗闇の地図 【詩】【ポエム】62

          パイプオルガン【詩】【ポエム】61

          母なる胎内 響く心音 持続する低音 永遠  それはこの胎内でのみ 成立する 生命 吹き込むパイプ 神に近づきたいと はやる気持ちが 虹をも つかまんとする その手を操る 残響は 次代への 架橋 胎内から腹を蹴る 赤子の足 母は喜んでいる 熟成の時を経 かくて 音楽は生まれるのだ

          パイプオルガン【詩】【ポエム】61

          桜並木【詩】【ポエム】60

          朝霜の並木 花冷えの時刻 春 祝う花 いつも ここに 居てくれて ありがとう 橋の袂 うつむくと 水鏡に映っているのは 心模様 焦らなくていいから 咲く時期は   人それぞれ 夢のつぼみを 間違って手折らぬように   一歩ずつ  その時を 私は ここで 待っているから どこにも 逃げないから 嬉しい報告を  待っているよ 【後記】 桜の詩、またまた書いてしまいました。 数えたら 5個目🌸🌸🌸🌸🌸でした。 よくできました🌷 (笑) やっぱり、見

          桜並木【詩】【ポエム】60

          赤い箱 【詩】【ポエム】59

          ワイン色した この箱の名前は ヴァイオリン 歌えない私が 歌うため くびれた あなたを 顎に当て 弦の上で 音符を辿る 空気の震え  こころ ふるわせる 伝う 振動 細胞が整う 一人でいる私が どこかへ翔けゆく 歌を作った魂も 時空を超えて 聴きに来る それは 茨の道を  突き進んだ者だけが 受け取れる 褒美 声を失くした歌い手と 竪琴を持たない オルフェウス 「自分らしさ」を取り戻すには、 赤い箱を 歌でいっぱいにして。 あなたの近くで 

          赤い箱 【詩】【ポエム】59

          プラネタリウム【詩】【ポエム】58

          夜空が絵本だった頃 人は 想像力を働かせ 空に物語を描いた 一番星よりも 月よりも 眩しい光が いくつも灯る 今よりも ずっとずっと昔 肩を寄せて こどもに読み聞かせてたんだ 「地球は丸い」 なんて知らなくて 頁をめくるたび 夜は深くなって 造り物だとわかっていても 流れ星には 願をかけるよ 光は獲得したけれど 失った想像力は どこに落としてきたのかな

          プラネタリウム【詩】【ポエム】58

          仲直り 【詩】【ポエム】57

          ごめんね 僕には わからない 無神経な言葉 発していても 逆撫でした気持ち  想像力の欠如 そんなつもりじゃなかったんだ ねぇ すねた子供が機嫌直した時みたいに 何事もなかったかのように 笑ってよ スコーンには紅茶が 合うように きみには笑顔の方が似合うから 許した事も 許せない事も 全部くちゃくちゃに丸めて 今度  会った時には 何事もなかったように 手を振って あの門の前で 立っていて 【後記】 女心は、男性にとってわかりづらいものがあるの

          仲直り 【詩】【ポエム】57

          流るる果実【詩】【ポエム】56

          カシスの色は 夕日に焼かれた海の色 酸っぱくて甘い味覚が あなたを想い出させる カシスの色は 執着の色 その紫は  甘い言葉で「こちらにおいで」と ささやいているようにも見える 私が  あなたにとりつかれ 執着し、のめり込むように それが苦しみに変わってしまうのなら 手の中にある ぬくもりの記憶を 消してしまえたら 楽になるのに カシスの色は 嫉妬の色 赤紫の海に浮かんだ私の気持ちは どこに流れ着くのか 誰にもわからないのです 【後記】 私は、この詩を「秋に

          流るる果実【詩】【ポエム】56