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ライトノベルというジャンル

ライトノベルというジャンルは、

じつに曖昧なものです。















挿絵があったり、分かりやすい表現で固めたり、小説慣れしていない方でも読みやすくなっているものは、字のごとく軽い小説なのかもしれません。

文庫本サイズのものが大半で、内容的にも、物理的にも読者には親切に作られているように感じます。









ですが、他の一般文芸書はミステリーやサスペンス、ホラーでカテゴリー別けが成されているのに、ラノベはすべてまとめてラノベです。








このミステリーがすごい、

新潮ミステリー大賞、

日本ホラー小説大賞……。













ジャンルごとに文学賞まであったりするのに、ラノベは本屋に行っても一括りです。













では、なにをもって「ラノベ」なのでしょうか。









ちょっと掘り下げただけで、定義も意味も見失ってしまいそうな言葉です。


WEB小説から書籍化された作品は表紙こそイラストを使用しているものの、四六判やB6判とサイズが大きかったり、十年くらい前のラノベのように、明るく楽しいものばかりではないような気がします。















三浦しをん先生の「まほろ駅前多田便利軒」はライトタッチでキャラクター小説にも近い小説です。

多田や行天といったキャラクターがみせる言動やしぐさは、彼らが今までどんな生き方をしていたのかがありありと想像できますし、描かれる表現も実に多彩で、”まほろ”という架空の都市は脳内に高い完成度で現れます。

今さらわたしがお伝えするまでもなく、実写映画化もされとても有名な作品です。

ですがわたしはこの作品を読み終えた時、「ラノベ」というジャンルを思い出しました。




そして少し考えました。


















この作品に挿絵が入れば、「ラノベ」になるのでは?














多田や行天が高校生だったら、「ラノベ」になるのでは?











わたしが崇拝しているライターの飯田一史先生は「狭義のラノベ」「広義のラノベ」という言葉を使います。

電撃文庫やMF文庫Jが刊行する狭義のラノベと、書籍化WEB小説や三〇代~四〇代をターゲットとした一般文芸とライトノベルの間を狙った広義のラノベ(作家様でいうと有川浩先生や冲方丁先生、といった具合でしょうか)。

昨今、広義のラノベは一般文芸と差別がしづらいところまできています。

書店に行ってもマンガ棚やライトノベル棚とは離れたところに姿を現すようになりました。

ライトノベル(おそらく狭義のラノベ)が一番売れた二〇一二年頃と今では、ライトノベルの意味合いはまったく違うものになっているでしょう。




紙ベースでの売り上げは下がっています。

しかし、広義の意味も兼ねて、ライトノベルというジャンルの多様化は止まりません。売上は一般文芸よりも初速があり、四か月くらいに一冊刊行されるため回転率もあります。書店様にとっては取り扱いがしやすいのではないでしょうか。


紙での数字は弱くなっても、電子での売り上げや生まれ続ける無数のWEB小説プラットフォームの数を考えてみれば、未知数の可能性を秘めたジャンルと言えるはずです。















わたしの作品も曖昧な意味でのライトノベルであり、広義のラノベだと思っています。



文庫本サイズでイラストも交えていますが、













おそらく、見たことがないような作品になるんじゃないかな












と思っています。

楽しみしてください。












最後に推薦図書として「まほろ駅前多田便利軒」を。

ネタバレ表現があるかもです。








バツイチ、正義感の強い多田と


バツイチ、飄々と何事にもとらわれない行天が






まほろという街を舞台に探偵のような、何でも屋のような、

便利屋として個性豊かな顧客相手に商売をします。



それはコロンビア人を名乗る女性だったり、クスリを運ぶ小学生だったり、家族を殺めてしまった友人をもつ女子高生だったり、バスの間引き運転を疑ってやまない頑固じいさんであったり……。


人と人との間にあった幸福が描かれ、もう戻らないと思ってしまった幸福が再生されたりと、ちょっと笑えてちょっと暖かくなっちゃう作品です。





もう読まれた方も多いと思いますが、


まだ読まれていない方。













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