21.06.16 恋しい東南アジア ベトナム⑨
蒸し暑い日が少しずつ多くなって、
またあの時のことを思い出しました。
書き始めた頃からいつのまにか1年が経ってしまいましたが、1年前も暑くなり始めた夜の渋谷の裏路地の匂いを嗅いで、僕はあの時を思い出したのです。
ずっとすっぽかしておいて恥ずかしながら、 今日こそ完結させようと思います。
(良かったら①から読んでください。)
その日は、また自由行動の日でした。
僕とルームメイトは、ハノイの観光地として話題だった「トレインストリート」に向かいました。
トレインストリートは住宅が密集した、「こんなところに?」という狭い路地に線路が引かれておりなんとも東南アジアらしい混沌とした風景を楽しむことができ、さらに列車が1日に2回しか通らないことから線路の上を歩くこともできるのです。
バスを乗り継いでさらに徒歩15分、目的地に着きました。
深緑や紅と、加えて対象に、黄色や水色の混ざったまさにカオスティックな光景は僕の中のベトナムそのものでした。
そんな景色の中心に、奇妙に永遠と続く線路に腰をかけて、ルームメイトと写真を取り合いました。
その興奮も束の間、あれだけカラフルだった視界がたまにモノクロになるのです。
「顔色悪いけど大丈夫?」
ルームメイトに声をかけられました。
また奴がやってきた。気づくと身体全体に汗が吹き出していて、うまく立ち上がれなくなっていました。
まだここに来たばかりなのに、僕は湿った空気に当たり続けていることができなくて、近くのクーラーの効いていそうな雑貨店に入りました。
もう立っていることもできず、店内の階段にへたりこんでいました。
他の客からの変な視線を塞ぐように俯きながら、あまり僕のことを過度に気にし過ぎないように店内を歩くルームメイトの足元を見てつくづく申し訳ないなと思いました。
まだまだ時間があるというのに、早くに切り上げた帰りのバスの中で、ルームメイトが心配そうに僕の方を向いているのを見て、変に安心感などを覚えて、僕は僕にさらに呆れてしまいました。
帰宅ラッシュのバスは満員で、儒教を深く信仰するこの国では、若者は座席に座らないのが当たり前で、美しい習慣だと思っていたものの、この時ばかりは気絶するかと思いました。
本当に呆れます。
P.S.
トレインストリートです。
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