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トロピカルとサイドリアル

海外の優れた研究報告がある。

インドの占星術が、ギリシャやペルシャの占星術と深い交流を持ち、
本来トロピカルを採用していた、という事実は殆ど知られていない。

無論、ナクシャトラ・ダシャーは恒星基準のサイドリアルだった。

所謂ヴェーダ占星術の碩学であり、その筋の厖大な古典研究で知られる、
アーンスト・ウィルヘルムは、インド人が紀元1世紀から5世紀の間に、
歳差運動の知識を失った証拠について多くの史実検証に基づき記述する。

その要約は、彼のサイト(Vedic Astrology with Ernst Wilhelm)の
アーティクル(The Mystery of the Zodiac)に掲載され閲覧できる。

インドの祭礼の幾つかはトロピカルに基づく事はよく指摘される。

サイドリアルとトロピカル。

どちらが科学的に正しいのかという問題に、
妥当な証拠と結論を突き付けた例と言える。

無論、これが全てとは言わないが、
こういった史実や事実の価値が揺らぐ事はないし、
最低限、知っておく必要がある情報だと思われる。

だが、正直、運命学に根拠を求める事ほど無意味な事はない。

占星術というのは "天体の運行"という、人間の認識が及ばない自然の法則、
摂理を、何らかの基準を設けて観測するという事から展開したものである。

極論すれば、そこから得られる"連想"でしかない。

どこに基準を置いて、その妥当性を追求するか。

それだけの違いである。

その中で、インドはインドの信仰と現実に沿うよう運命学を修正していく。
信仰を尊重しながらも、占星術の精度を高める為のモダナイズが施される。

抜きん出て的中するなら、一つの体系として完成度が高いという事になる。

科学的にどうだろうが、運命学としては本物だという事になる。

運命学の体系の良し悪しは、好みや向き不向きでしかない。
これは私が実際に体験し、大いに痛感して来た事でもある。

何が正しいか、どれが的中するか、ではなく、やる人次第なのである。

無論、その運命学が何れも "本物" であるという前提での話ではあるのだが。

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