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#4 暇だからアメリカ横断する―ニューオーリンズに連泊、ホステル童貞卒業


こんばんは。連日お酒を飲んでいるせいで心なしかアメリカ人らしいワイルドさとカッコよさを身に着けたのではないかと頭が混乱しています。これぞアルコールの効果……!! みなさん、自分に自信がないときはアルコールを摂取しましょう。カッコよくなれます。

■やらかす

今日は朝から盛大なやらかしをしてしまいました。

ホステルということもあってか、比較的静かに寝た木曜日。朝の7時半のアラームより10分早く目が覚めました。
ホステルのお洒落な共同食堂で無料朝食がついて来るので、ここぞとばかりに食べに行きます。ベーグルとゆで卵とシリアルの典型的な朝食レパートリーと言う感じでした。

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(※画像はイメージです。※安いホステルです。※写真はありません。※雰囲気は良かったです)

朝食に満足したのか、今日は運転しなくても良いという安心感からか、一度ベッドに戻るとあの子が……。もちろん、もはや下着姿のティーンエイジャーではないですね。

はい、皆さんご存知二度寝の悪魔が到来しました。

どうして二度寝はあんなにも気持ちが良いのでしょうか。程よくお腹が満たされて、今日は時間に余裕があるという解放感からか、ついつい悪魔の囁きに耳を傾けたのが運の尽き。気が付けば時計の針は10時を回っていました。

盛大に遅刻した登校時のように特に急ぐことも無く準備を始め、今日のメインであるNational WWⅡ Museumへ行きます。その名の通り第二次世界大戦をメインにした博物館です。結局、着いたのは11時半。

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ここで問題が発生。博物館を回るにしても、昼に予定していたケイジャン料理のお店のCloseは午後2時。どう考えても、ゆっくり見ていたら間に合いません

そのため、全館の構造だけ把握する強硬策に出ました。こちらの博物館は最初にタグが配られ、タグさえあれば再入館可能というスタイルだったので、苦肉の策で一先ず流し見して、ご飯を食べた後、再び戻って来てじっくり見るという、なんとも効率と頭の悪い見学方法を取らざるを得ませんでした。

でも、どうしても行きたかったんです。Bon Ton Cafeというお店に。

・昼食:ケイジャン料理 Bon Ton Cafe

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ルイジアナ州のニューオーリンズと言えばフレンチクォーター。かつてフランスの統治下にあり、フランスの影響を強く残している区域です。そして、アメリカに移住したフレンチが永住することになったルイジアナでは、彼らはケイジャン(アルカディアン)と呼ばれるようになりました。

ケイジャン料理は地元の食材を使用した素朴な料理のこと。僕は元々アメリカに来てから食べたジャンバラヤ(パエリアを祖に持つ、肉と野菜と米の炒め物)が大好きなこともあって、本場のケイジャン料理が楽しみで仕方ありませんでした。

そして、このお店で楽しみだったのはCrayfishのÉtoufféeです。Crayfishって日本でも有名ですよね。ほら、池とかで釣れるあの身近な生物ですよ。

僕も近くの大学の小さな池でよくスルメで釣りました。
可愛いんですよね。アホみたいにスルメに食いつくので。

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はい、Crayfishとは「ザリガニ」のことです。

ザリガニがトマトベースのスープで大量に茹でられ、ご飯と一緒に頂くというとてもユニークな料理です。トマトと魚介の旨味が凝縮され、ご飯と一緒にスープとかきこむ一口は美味……!! 味はそのままエビですね。伊勢海老とロブスターみたいなものです(違う)。ぎゅっと詰まったエビとトマトの濃厚なスープで、これにご飯を浸して食べるという料理です。アンバーエールと共に、ザリガニの旨味を存分に楽しみました。

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これは美味しかったですね。
ケイジャン料理は僕の口に合うようです。

皆さんもエビが高級で手に入らないのなら、近くの池や沼でザリガニを釣って、夕食にしたら良いかもしれません。スルメで手に入ります。
スルメ自体が勿体ないという方の意見も分かります。僕はスルメ同盟を組んでいるほどスルメが好きなので、スルメでザリガニを釣っても、それで鯛を釣れなければ元が取れないよなぁ、と思います。

スルメよりザリガニが食べたい人は是非日本でもチャレンジして下さい。
アメリカとフランスの魂の混合。美味しいですよ。

・気を取り直してWWⅡ博物館へ

さて、腹を満たして、僕は再び博物館へ戻りました。The Road to BerlinThe Road to Tokyoという展示が面白かったですね。あくまでアメリカから見た戦史と言う感じの展示でした。あまり「アメリカ万歳!」と言う感じではありませんでしたが、それでもアメリカ中心の視点でどのような経緯でイタリア・ドイツを降伏させるに至ったか、日本を降伏させるに至ったかという展示でした。

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(エントランスで行列待ちの時に見れるショートムービー、我らが大日本帝国)

二次世界大戦は勝ち負けがはっきりしているので、表現の仕方が難しいとは思いますが、まぁ、こんな描き方になるよなとという感じです。米軍のビデオを使用しているので、被害者は殆どアメリカ兵。日本やドイツはEnemy(敵)と表現されていました。

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ただ、山本五十六が戦争を続けるとアメリカに負けるのは必至なので、戦争はするけれども早めに講和を引き出したいという目的の下、戦争を仕掛けたという説明があったのは、まだ良心的だと思いました。

原爆の表現はかなりマイルドでしたが、死者数が広島が14万人、長崎が7万人と書いていて、そこは素直ですね。やはり、ある程度気を遣って作られているのだと思いました。

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(博物館の奥では飛行機が展示されてました。これに襲われたらいくら僕でもアルコールがない状態ではひとたまりもありません)

親交の深い友人のお兄ちゃんから「日本人は行きにくそう」とコメント貰いましたが、その通りですね。何だか変な感覚になりました。自意識過剰だと思いますが。

でも、正直僕は戦争を知らない世代なので、歴史のこととしか思いません。僕はアメリカに住んでいますし、アメリカ人のことも人種が違うとは思いません。文化が違うだけです。人間と言う種は一緒なので、そこに何も違いはないと思うんです。ミュージアムの中で何か言われても僕はこう言おうと考えていました。

「確かに日本は戦争をした。でも、それが今の僕とあなたに何の関係があるの?」

歴史を知ることは大切です。
しかし、それ以上に僕は人と人との関係が本当はどのような紐帯によって結ばれるのか。そのことの方が重要だと考えています。

LGBT、思想、宗教など、色々と意見が食い違うこともあると思います。同じ文章を書くコミュニティでさえ、BLだの百合だの、ラノベだの純文学だので好みが分かれますからね。人によっては拒絶反応を起こすこともあると思います。

まぁ、でもやっぱり人類みな一緒ですよ。

みんながみんな、僕と同じで変態なんだ。
そう考えれば、少しは世界が平和的なものに見えてくるんです。

なんかいい感じで締めようとしましたが、締まりません。

人類みな変態

これじゃ、だめかなぁ。

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(このJEEPに乗って「汚物は消毒だ~!」ごっこしたかったのですが、奥のお父さんの陰に隠れる彼の教育に悪いかと思って自重しました)

■観光地の誤算 ジャズバーのセレクション

ニューオーリンズに来たからには楽しむべきなのがJazzですよね。

Jazzは詳しくないですが、それでもLive演奏は楽しめます。日本だったらBlue Noteとか行ってみたい。新宿のDugというジャズバーが好きだったんですが、知っている方はいらっしゃるでしょうか。雰囲気がカッコイイですよね。それだけで好きでした。

・有名ジャズバーPreservation Hallへ

なので、今日は昨日とは違うバーに行こうと意気込んで、人気が殺到するPreservation Hallという人気のジャズバーに並びました。6時の講演を見ようと、5時に列に並びました。その時点でかなりの行列が出来ていたのですが、ここまで来たからにはと覚悟を決めて列に加わります。

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(この列の約20~30m先がジャズバーの入り口です)

さて、6時過ぎとなった時、列が動いて行きました。僕の後ろに並んでいたのはミネアポリス(北の都市)から来たご家族。僕と同様1時間ほど立ちっぱなしで待っていました。

そして、告げられる残酷な宣言。

6時の講演は締め切りました。次は8時の講演になります

あと、2時間ここで待てと……?!
そのまま並び続ける猛者もいましたが、流石に僕は諦めました。

1週間以上前なら追加料金を払って予約が出来たみたいですが、このバーを知ったのは昨夜のこと。間に合うはずもありません。

しょうがないですよね。
行き当たりばったりの旅はこういうことも起こりえます。

・くやしさを糖分に Cafe Du Monde

「せっかく待ったのに!」という悔しさでお腹が減ってしょうがないので、僕はニューオーリンズ名物のベニエと呼ばれる砂糖がたんまりかかった四角いドーナツを買いにいきました。揚げ物にシュガ―って鬼畜ですよね。でも、美味しいんだまた、これが。

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(Cafe Du Mondeというベニエで有名なカフェ。混んでました。こちらはカフェ内で飲食用の入り口、裏側にテイクアウト専用受付があります)

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(ふくろ)

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(道端でベニエを広げられなかったのでフリーの拾い画、みるからに糖分の暴力)

僕は一人で口元と胸元に大量の砂糖をこぼしながら、3つのベニエをぺろりとたいらげました。美味しかったです。

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(霧が深いですがこのベンチで食べました。なんだか幻想的で、摂取した糖分も幻想になってくれないかと願っていました)

・再び昨日行ったジャズバーFritzel'sへ

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あてが外れた僕は仕方が無く、昨日訪れたジャズバーFritzel'sに足を運ぶことに。昨夜の勢いを上回るスピードでビールを飲みます。

IPAを頼もうと「Big Babyを下さい」と言ったら爆笑されました。Big Easyだったのですが、スペルを見間違えたようです。店員さんが爆笑してくれたので、その後も三度、Big Babyを頼みました。関西人としておいしかったです。

昨日同様、ジャズの生演奏を楽しみ、一人でカウンターで飲んでいると横にぱっと見小汚いおじさんが座ってきました。きさくなアメリカ人らしく、軽い挨拶から世間話に入ります。

どこから来たのか、一人か、ニューオーリンズは初めてか。

なんて話になりました。どうやら奥様とお子さんと来ているのですが、既にホテルで寝ているそうです。仕方なく一人でこのバーに訪れたとのこと。

僕が日本から来ていることを伝えると嬉しそうに「一つだけ知っている日本語がある!」と言います。僕も日本語を知っていることと、話し相手が来たことに喜んで(一人客はほとんどいない)、「こんにちは」とか「ありがとう」が出てくるのを待ちました。

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すると、そのおじさんから出てきた言葉は

「マリファナください」

爆笑。


どうやら、昔アリゾナに住んでいたことがあったようですが、その時の日本人に教わったそうです。

誰だ! こんな言葉を教えたのは! めっちゃ面白いやん!!

ちなみによくよく話を聞いてみるとこのおじさんは名前をクリスと言い、NY在住。両親はそれぞれ会社のCEOであり、兄は43社を保有。自身も3つの会社を経営しているという生まれながらの上流階級でした。

世の中、人は見た目じゃないな、と改めて思わされました。ちなみに好きな日本人はサスケで有名な漁師、長野さんでした。これも爆笑しました。

ニューオーリンズ。

アメリカからも陽気な人が集まる素敵な街です。

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街の雰囲気は結構危ないかと思っていましたが、11時まで一人で出歩いても特に危険は感じませんでした。夜じゅう、警官がうろついていますし、観光客がおそくまでぞろぞろと歩いているので、逆に安全ですね。

もし、ジャズとお酒が好きなら絶対に足を運んでください。

かならず満足する経験が出来ると思います。


さて、明日は移動日なのでそろそろ寝ますか。

寝る前にカクヨムで活躍されている読者兼素敵なアメリカエッセイストである由海さんに教えて頂いたプラリネを夜食に食べて寝ます。何だかお腹が空いて……。

明日はついにフロリダ州へ入る予定。
朝起きれるか不安ですが、頑張りたいと思います。


それでは、また。



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