子どもを幸せにするための必要条件
ウサギ仙人(ウ仙)から子どもを幸せにする「子育てのコツ」を伝授してもらうことになった亀子ですが、
亀子「ところで子どもを幸せにするには、どうすればよいのでしょうか?」
ウ仙「そうじゃな。その質問に答える前に、高校野球・夏の甲子園で慶応高校が107年ぶりに優勝したのを知っておるか?」
亀子「ニュースで知りました。高校球児には珍しく長髪の球児もいたとか・・・」
ウ仙「高校野球で勝利するのに、髪が短いか長いかはあまり関係ないとは思うが・・・」
亀子「慶応高校が優勝したことと、子どもを幸せにすることは何の関係があるのですか?」
ウ仙「それはじゃな、全国の高校にある野球部に所属している高校球児に『何を目指しているの?』と聞いたら、何と答えると思う?」
亀子「『甲子園で優勝したい』と答えると思います」
ウ仙「その通りじゃろう。まぁ『甲子園で優勝』まで行かなくても『県大会を勝ち抜いて甲子園大会に出場したい』という球児が多いじゃろう」
亀子「甲子園に出場できた子は幸せですよね」
ウ仙「そりゃ、もちろんそうなんじゃが、みんな『甲子園に出場したい』とは思っていても、夏は各都道府県からは1校(春の場合だと2~3校選ばれるケースもある)しか出場することができないのじゃ。慶応高校のある神奈川県なんて167校のうちの1校しか出れん。神奈川県の代表と言えば、慶応高校の他にも横浜高校や東海大相模高校が有名じゃが、167校のうちの1校に何回も選ばれる高校もあれば、いつまで経っても県大会の1回戦で敗退してしまう高校もあるのじゃ。この違いは何じゃろうかのぅ?」
亀子「強豪と言われている学校はいい人材を集めているからですかね?なんか大阪の子たちで大阪桐蔭や履正社に行けなかった球児は野球留学って言って、高知の明徳義塾や香川の尽誠学園のような地方の高校に行くって聞いたことがあります」
ウ仙「高校野球事情になかなか精通しておるじゃないか(笑)まぁ確かに野球留学で大阪や神奈川の子たちが東北や四国の強豪高校に進学するという事実もあるのじゃが、どの都道府県でも甲子園常連校の球児たちに『甲子園にどうやったら出場できる?』という質問をすると、明確な答えが返ってくるのじゃよ」
亀子「明確な答え?」
ウ仙「そうじゃ。たとえば『僕らのチームは強打で打ち勝って甲子園を目指します』とか『守りの野球を徹底してミスをしないようにして甲子園出場を勝ち取ります』とか『足で相手を揺さぶって勝ち抜きます」とか甲子園出場という目標に向けた道筋を具体的に述べるのじゃ』
亀子「なるほど」
ウ仙「逆に何年経っても都道府県代表になれないチームの子たちは具体性がない。『とにかく頑張ります』とか『ベストを尽くします』とか『ただ勝利あるのみです』とか抽象的だし、他のチームでも当たり前にやっていることを口にするのじゃ」
亀子「『甲子園に出場するのに、ただ勝利あるのみ』って政治家の進次郎構文みたいですね」
ウ仙「『この時計は止まるまで動く』みたいに聞こえは凄そうだが、中身のない答えじゃな」
亀子「ところで幸せと何の関係があるのですか?」
ウ仙「話を元に戻すと、高校球児はみんな甲子園出場を願っているが、実際に甲子園出場を実現できるのは、その願いを具体化した者だけじゃということなんじゃよ」
亀子「なるほど。で、幸せは?」
ウ仙「同じように、子どもの幸せを願わない親はいないとは思うのじゃが、実際に子どもが幸せになるかどうかは、親が幸せを具体化しないといけないということなんじゃ」
亀子「そういうことだったんですか。前置きがずいぶん長かったですね」
ウ仙「まぁ、そう言うな。例え話があったほうが感覚的に理解できるじゃろ?」
亀子「言われてみれば、そうですけど」
ウ仙「『子どもに幸せになってほしい』とお題目のように唱えるだけではいかんのじゃ。『幸せとは何か?』を誰でもイメージできるくらい具体的にする必要があるのじゃな」
亀子「よくわかりました。で、幸せを具体化する方法も教えてもらえるのですか?」
ウ仙「もちろんじゃ。ただ焦るのは禁物じゃ。幸せは誰もが求めているが、そう簡単には手に入らないのは、おぬしもよくわかっておるじゃろ。次回の投稿から何回かに分けて、ゆっくりと伝授していこう」
亀子「ありがとうございます。ではよろしくお願いします」
こうしてウサギ仙人と亀子の問答は「幸せをいかに具体化するか」ということに移っていくのであった。(つづく)
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