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名前を付けることは「命を吹き込むこと」

ウサギ仙人(ウ仙)から子育てについて伝授してもらっていた亀子であったが、

名前を付けることを『命名』という

亀子「うちの鶴太郎が『名前が変だから嫌だ』と言いだしたんですが・・・」

ウ仙「いい名前なんじゃがな。俳優でもタレントでも画家でもプロボクサーにでもなれるような無限の可能性を秘めておるし、マッチのものまねでもブレークできるかもしれんぞ」

亀子「マッチのものまねはジャニーズの件で叩かれそうですけど・・・」

ウ仙「名前を付けることを『命名』という言い方をするな」

亀子「ええ」

ウ仙「『命』という文字は(めい)と読んだり、(いのち)と読んだりするが、

『命』の本来の意味は『社会的役割を与える』

ということなんじゃ」

亀子「そんな意味があるんですね」

ウ仙「そうなんじゃ。

子どもの名前は親からの人生最初の贈り物

じゃからな。

子どもが一生大事にできる価値観を込める

といいんじゃがな」

亀子「鶴太郎には『元気で長生きして芽が出るように』という思いで名付けしました」

ウ仙「そういう親の思いは、物心がついた時にきちんと伝えるとよいじゃろうな」

物にも名前を付けると擬人化する

ウ仙「ところで物にも名前を付けると、命が吹き込まれるんじゃぞ」

亀子「どういうことですか?」

ウ仙「ある小学校で起きたこんな話があるんじゃよ」

小学校一年生のクラスでのお話です。
学級所有のボールが2つありました。1つは男の子用。もう1つは女の子用です。
休み時間になると、みんなボールを持って、運動場に行きますが、休み時間が終わると、ボールを運動場に忘れてきます。
そこで学級会が開かれました。議題は『どうやったらボールを持って帰ってこれるか?』
「日直が持って帰ってくる」「チャイムが鳴った瞬間に触っていた子が持って帰ってくる」「声を掛け合って、持って帰ってくる」などいろんな意見が出ました。次の日からそれを実行に移し、しばらく一日の前半は持って帰ってくることができるようになりましたが、お昼休みになると、また運動場に忘れてくるようになりました。
そして再び学級会が開かれました。クラスにいる双子の女の子の一人が「ボールに名前を付けたら、いいと思います」という意見を出しました。みんなは怪訝な顔をしましたが、双子のもう一人の女の子が「賛成!」といった途端に空気が変わり、みんな賛成しました。
そして話し合った末に、男の子のボールには「ぴょんた」女の子のボールには「ぴょんこ」という名前を付けました。
次の日から、子どもたちはみんなボールの名前を呼んで、運動場にボールを忘れてくることはなくなりました。中には母親に頼んで、寒さ除けの袋を作ってきてもらう子も出てきました。

亀子「『ド根性ガエル』みたいな名前を付けたんですね」

ウ仙「まぁ名前はともかく

名前を付けたことで、ボールに命が吹き込まれ『道具』から『お友達』になった

ということじゃな」

亀子「そういうことなんですね」

ウ仙「この話に限らず、

どんな物でも名前を付けると大事にするようになる

んじゃぞ」

亀子「はい。覚えておきます」

こうして亀子はレベルが上がった。
『名付け』の術を覚えた。(つづく)





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