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子どもの幸せ②(共生意識)家族の絆

ウサギ仙人(ウ仙)から『家族の絆を深めることが共生意識につながる』と聞いて、浮かない顔をしていた亀子であった・・・

亀子「家族の絆って、そんな大事なんでしょうか?」

ウ仙「家族の仲がよいことは大事じゃぞ」

亀子「そうなんですが、なんか『家族の絆』っていう人たちって変に家族第一主義というか、なんかあったら『うちは家族全員の鉄の掟があるから』という言い訳で付き合いが悪くなるというか・・・」

ウ仙「おぬしの言いたいことはわからんでもない。ちなみにおぬしは『万引き家族』という映画を観たことがあるか?」

亀子「ええ。映画館で観ました」

ウ仙「あれは家族の絆をテーマに描いた映画じゃな」

亀子「身を寄せ合って生きている感じでした」

ウ仙「もう一つ『誰も知らない』という柳楽優弥が初主演を務めた映画は観たことあるか?」

亀子「そっちは観たことありません」

ウ仙「同じように家族の絆をテーマとして映画なんじゃがな。1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件をネタ元にした、『万引き家族』と同じ是枝監督の作品じゃ。YOUが演じる母の失踪後、兄妹4人で身を寄せ合って生きていく様子を描いておるのじゃが、過酷な状況の中で幼い弟妹の面倒を見る柳楽優弥が演じる長男の姿を通じて、家族や周辺の社会のあり方を世に問いかけた内容になっておる。最後は下から二番目の妹がベランダから転落して死んでしまい、その遺体を妹が好きだった飛行機が見える羽田空港の近くに埋めに行くのじゃ」

亀子「せつない内容ですね」

ウ仙「『万引き家族』にしても『誰も知らない』にしても、過酷な状況の中で身を寄せ合って生きている家族の姿は微笑ましいのじゃ。しかし一旦家族に何か予期せぬ困ったこと(『万引き家族』では息子が逮捕される、『誰も知らない』だとゆきが死ぬ)が起こると、家族はそれに耐えきれなくなってしまって、下手すればバラバラになってしまうのじゃ」

亀子「危機に弱いということですかね」

共依存と絆はまったく異なるもの

ウ仙「そうなんじゃ。お互いに身を寄せ合って生きることは共依存という。お互いがお互いに頼って生きるという意味じゃ。共依存の家族は、予期せぬことが起こると脆くも崩れ去るのじゃ」

亀子「困った時に逃げる友達とは付き合うなって言いますもんね」

ウ仙「世の中は常に変化していていつ何が起こるかわからない。たとえば震災に遭ったり、津波や洪水で家が流されたりして、いつ被災者になるかもわからない。火事に遭うかもしれないし、戦争に巻き込まれるかもしれない。世の中にはいろんなリスクが山ほどある」

亀子「恐ろしい世の中ですね」

家族の絆は、リスクに耐えられる信頼関係のこと

ウ仙「家族の絆というのは本来、そういうリスクにも耐えれるような家族と家族の信頼関係のことを指すのじゃ。共依存はお互いに相手のことを見ながら生きていて家族に迫るリスクに目がいっていないのじゃが、絆のある家族はお互いに共通の目的に向かって手をつないでいる仲間のようなもんじゃな。本当の家族の絆があれば、どんな困難も家族一体となって乗り越えていけるはずじゃ」

亀子「そういう言い方されると、家族の絆がいいものに思えてきました」

ウ仙「絆という言葉は、昔遠出するときには馬に乗って出かけていて、滞在先で馬が逃げないように木の杭に綱でつないでおいたのが語源なのじゃ。だから『きずな(きづな)』は元々『木綱』と書くのじゃ」

亀子「それは知りませんでした」

ウ仙「絆の元々の意味は、しがらみとか、切れない縁のような意味で、拘束や束縛といった言葉に近い意味を持っておった。それが東日本大震災を機に、『絆』という言葉が使われるようになり、人間同士のつながりという意味でよく使われるようになったのじゃ」

亀子「そんな歴史があったんですね」

共生意識は家族共通の目的が生み出す

ウ仙「いずれにしても、『共生意識』は家族がお互いに依存しあう慣れ合いのような関係で生まれるのではなく、家族みんなで共通の目的を持って、そこに向かって一緒に生きていくところに生まれるのじゃ」

亀子「なるほど。そういうことだったんですね」

ウ仙「たとえば、一番上の兄(姉)が夢を持っていたら、それを実現するのにみんなで応援しようとか、一番下の弟(妹)が受験を頑張るならみんなで協力しようとか、1年に一回家族みんなで旅行行くために日頃はそれぞれの立場で頑張ろうとかじゃな」

亀子「家族共通の目的か・・・うちはあるかな」

ウ仙「まぁ当座は『みんなが幸せになるために親も子どもも努力しよう』というような感じで、具体的な夢が出てきたら、そっちに目的を変更すればよいのではないか」

亀子「ウサギ仙人様に免許皆伝をもらえるまでに具体的に考えます」

仲良しと同時に成長する仲間である家族

ウ仙「家族は仲がいいことも大事だが、同時にお互いに成長できる仲間でもあることが大事なんじゃ。その両方を満たすのが本当の家族の絆だと言えるじゃろう」

亀子「ありがとうございます。なんか引っ掛かりがとれて、スッキリしました」

こうして亀子はレベルが上がった。
「家族の絆」の本当の意味がわかったような気がした。

亀子「さて今日は是枝監督の『怪物』でも見に行ってみようかな・・・」
(つづく)


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