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工芸の美と、モダンの美。2部。 *Homo Faber n.8*
Homo Faber(ホモ・ファーベル)は、2年おきにベニスのサン・ジョルジョ・マッジョーレ島で開催される、高級工芸品の国際展示会です。今回はシリーズ8回目。
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アートじゃないアート。Homo Faber n.1
未来の創造者たち。Homo Faber n.2
日本の匠と、イタリアと。Homo Faber n.3
紙は、紙にあらず。Homo Faber n.4
現代の、芸術のパトロン。 Homo Faber n.5
東洋と西洋が、出会う場所。 Homo Faber n.6
工芸の美と、モダンの美。Homo Faber n.7
前回に引き続き、世界のラグジュアリー・ブランド15社のセクションからの案内です。
Dolce&Gabbana
ドルチェ&ガッバーナ。イタリアを代表するブランド。鮮やかな色と、華やかな装飾で、グラマラスな女性や、"いかにも"なイタリア男が、がっしりと着こなすイメージ。
そう、こんな感じ。
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これは、2016年のショーで発表されたもの。「ルネッサンス」がテーマで、フィレンツェで開催されました。そのときには、彼らが選んだ、フィレンツェの職人と協力して、装飾品を製作しています。
わたしが以前にインタビューした職人も、そのうちのひとり。
Homo Faber(ホモ・ファーベル)では、メンズの王道を行く、テーラーを全面に出してきました。
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スーパーファイン・ウール200’s(Sの数字が大きくなるほど平均繊維直径が小さいことを意味しています)を使用したスーツ。軽くて柔らかくて滑らか。
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複雑なオートチュールを可能にするのは、イタリアの紳士スーツ仕立ての伝統的な技術があり、その技術を駆使できる職人がいるから。そこではじめてハイクオリティの製品が生まれる。
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このスーツの名前は、DNA SUIT。ドルチェ&ガッバーナの遺伝子を受け継ぐスーツ。
洋服作りの基本となる部分を、ドルチェ&ガッバーナは、しっかりと押さえているんですよ。そんなメッセージが込められているように感じました。
Lemarié
メゾン ルマリエ。シャネルのコレクション制作に欠くことのできない、パートナー。
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チャネルの公式HPから抜粋した、ルマリエの物語。
1880年にパリで羽根細工を始め、1946年に花細工の制作を手がけるようになる。1960年代にマドモアゼル シャネルが最初に考案したカメリア モチーフを形にしたのは、メゾン ルマリエ。
ルマリエは、花細工や羽根細工のエキスパートであるだけでなく、繊細な象嵌細工や、幾重にも折り連なるフラウンスやプリーツ、洗練されたスモッキングにも秀でていて、さまざまな形やオーガンザ、ベルベット、レザー、ツイード、サテンなど、多彩な素材を手がけている。
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ハイブランドのオートクチュール。いかに、優れた職人達の手により、1着の洋服が作られているのか、実感できます。このセクションでは、リアルでバックステージを見せてもらっている感覚です。
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小さなお花。一輪づつ、丁寧に製作されます。「丁寧」という言葉のなかには、布を花形に小さく切り、コテで生地を熱することで、花びらの立体的な質感を出し、何枚もの花びらを合わせて縫い付ける。
きっと、わたしが知らない、もっと多くの工程を踏んでいることでしょう。その全工程に繊細な「丁寧」さ感じる、これが、選び抜かれた、ルマリエの職人の技。
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テーブル越しに、作業風景を見ていたら、そこじゃ遠いでしょう。僕の傍にきて、見るといいよ。と声をかけられた。自覚はなかったけど、よほど、じーっと見ていたらしい。
お言葉に甘えて、近距離で見学させてもらうことに。幾重にも重なる花びらの、中心にそえる蕾のようなものを作るために、何度も何度もコテを当て、生地に立体的な丸みをもたせていました。
お花ができたら、1輪づつ、洋服に縫い付けて、装飾に入ります。
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これだけの技術を活かせるシャネル。シャネルがあり、ルマリエがある。そして、彼らの作品ともいうべき、洋服の市場があることも、とても大切。
ファッション業界にいる方なら、ルマリエは当然の認知かもしれませんが、はじめて知った方に、ルマリエ公認HPをご案内します。作業風景が動画で見れます。
HERMÈS
エルメス。1837年に設立されたフランスの高級品メーカー。馬具製作から開始し、主要な移動手段が、馬から車に移り変わると、馬具に使用していた革から鞄を作り始める。
エルメスのすごい点は、ハイブランドの地位を、6世代に渡り、家族経営で保ち続けているということ。イタリアの名のあるブランド会社の衰退や、売却の報道を耳にしたりすると悲しくなり、家族経営の難しさを感じざるを得ません。
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Homo Faber(ホモ・ファーベル)で紹介されたのは、ベルベットカット技法なるもの。二重織のダッチェスサテンにベルベットのモチーフを手作業で制作する技法。
ダッチェスは、Duchesseと書き、イタリア語読みでドゥケッサ。公爵夫人の意味です。公爵夫人が纏うような、高貴で光沢のあるサテンの布。エルメスでは、二重織のスカーフに織り上げています。
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この「二重織」というのが重要で、上下に織られている2本の糸のうち、上の1本だけを、サーブルと呼ばれる刃物で切断していくのです。
切断された糸が起毛して、ベルベットのようにフサっとなります。
手元を見てると、スイ、スイ、スイ、とサーブルで細い糸を、切断していて、目にも留まらぬ速さ。
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一緒に見学していた女性が、わたしにもできるかも!やらせてもらます?と果敢に挑み、あれ?あれ? 起毛がバラバラ。その難しさがわかりました。
リヨン産シルクの独自のノウハウは、1990年代初頭からリヨンにあるエルメスの織物アトリエにて継承され続けているそうです(エルメスの公式HPより)。
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ベルベットカット技法で加工されたスカーフは非売品で、デモンストレーション用。なんとも贅沢な。
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この技法を活かしたコート。
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このセクションでは、ハイブランド社の職人の技術を間近でみれて、たくさんの発見がありました。
これ以上書くと、文章が長くなってしまうので、次回へつづく。
次回は、本当の最終回を、お届けします。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございます!
またお会いできたら嬉しいです。
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