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モノづくりは、1つ1つの工程に意味があり、1つ1つの時間を持つんだよ。針も糸も使わずにつくる、哲学職人シモーネの革工房。

イタリアを旅して、革製品のお店に入ると、コロンと手の中に収まる、馬蹄形のつなぎ目のない小銭入れをみかける。

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実はこれ、イタリア・メイドじゃなくて、「フィレンツェ・メイド」。

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見た目はがっしりなのに、手に取ると、しっとり、しっくり、ほっこりする、革オンリーで作られた箱。

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実はこれも、イタリア・メイドじゃなくて、「フィレンツェ・メイド」。

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どちらも、フィレンツェの革工房で生まれた伝統工芸。

フィレンツェの革事業の歴史は古い。1276年の革なめし工房が22軒だったのに対し、1321年には73軒と、たかだか約50年で、倍以上に急増。

1300年代のフィレンツェは、銀行業、手工業、街を流れるアルノ川を駆使して、高度経済成長のまっただなか。

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出展元:Firenze araldica

なめされた革は、洋服、靴、ベルト、カバン、鞍や荷鞍などの馬具、甲冑、盾、服の裏張り、etc… 。さまざまな生活品や、軍事品へと姿を変え、イタリア国内だけなく、海外へと輸出されていった高級商品。

世紀を超えたいまでも、靴、カバン、ベルトなどを作る工房が息づくフィレンツェ。そのなかでも、今回は、革工房へと案内します。

小さな教会の前の、小さな工房

ダンテ・アリギエーリは、フィレンツェ生まれのイタリアを代表する1300年代の作家で、イタリア語の基礎を築いた人物。派閥闘争に負け、追放を余儀なくされ、ラヴェンナで生涯を閉じ、フィレンツェに再び戻ることはなかったダンテ。

彼の書いた「神曲」に登場する永遠の女性ベアトリーチェは、実在の女性。フィレンツェ中心街の細い路地に、彼女が埋葬されている小さな教会が佇んでいる。

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教会の少し先を行くと、小さな広場の一角に「ダンテの家」という名の博物館がある。この地区はダンテの生まれ育った地区。

街中が白派と黒派に分かれ、にらみ合い、闘争が絶えなかったフィレンツェの街の様子や、「神曲」が生まれた背景などを知ることのできる展示方法となっていて、ルネッサンス前のフィレンツェを知るには、とても興味深い博物館。

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日本の古典文学のような存在のダンテを訪れる西欧人の後は絶たず、細い路地なのに、多くの観光客が日々行き交う通り。

ベアトリーチェの教会の真正前にあり、ダンテの家博物館が5軒隣くらいにあるのが、この革工房。

お店の前の往来を横目にやりつつ、ラジオを流しながら黙々と作業を進める職人が、シモーネ・タッディ氏。

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男性用のダンスシューズを作っていたジョヴァンニ曾祖父さんが、タッディ家の革工房の始まりで、1937年にオテッロお祖父さんが革小物を作り、ジャンパオロお父さんへと代を繋ぎ、いまはシモーネが工房の主人。彼に話しを聞いてきました。

Q. 工房には、たくさんの木型と、道具がありますが、受け継いだものですか? 

シモーネ:ほら、みてごらん。この金槌(かなづち)。これはシューズ専用の金槌で、曽祖父が使っていたもの。用途は違えど、代々で使っているんだ。

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靴底を作るときに使っていたんじゃなかったかなぁ。

エプロンをかけたら、背の低い椅子に腰掛け、膝あたりに革を置き、この金槌で、ひたすら打ち続けるんだ。そうすると少しづつ革が薄くなり、革が柔らかくなって、扱いやすくなる。

いまは革工場が加工するから必要ないけど、昔は、ぜーんぶ自分たちでやっていたんだ。

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曽祖父のこの金槌を、オレは、木型を抜くときに使ってる。これがなければ、どうやって型を抜いたらいいかわからないよ。

そして、これ。変わっている姿でしょう。これは箱を作る時に、寸法を測ったり、まっすぐになっているか、確認するための道具なんだ。特注で作らせたものらしい。

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工房にもとから置いてあったものだけど、わかっていることは、祖父の代からあるってこと。

それを、父が使い、そしていま、オレが使っている。

工房にあるものは、すべてオリジナル。木型もそう。祖父の木型、父の木型、オレの木型。少しづつ増えていって、いまがあるんだ。

木型箱

Q.革小物作りの特徴を教えてください。

靴づくりと、革小物づくりの、決定的な違いが、なにか分かるかい?

靴は、針と糸を使って革を縫って作るだろう。

革小物は、針も糸も、一切使わない。

縫わずに作る。それが、僕たち革小物職人の特徴なんだ。そして使うのは牛革だけ。

作業中10

Q. 牛革といっても、いろいろな厚みがあるんですね。

小銭入れは、小銭を出し入れしたり、ポケットに収めたり、軽さと使いやすさが重要。だから1.5ミリ程度の革を使うんだ。

3枚の牛革が必要で、大きい革をベースに、小銭を入れる部分は、内側に2枚の革を貼って補強してる。

作業中3

一方、ボックス類には、4〜5ミリ程度の厚めの革を使ってるんだ。小銭入れと違って、がっしりとした骨組みが必要だからね。

小銭入れに使うような薄い革だと、ふにゃふにゃして、箱にならないんだよ。

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ぱっと見、型に革を張り付けたように見えるかもしれないけど、牛革だけで作っているんだよ。内側と外側を重ねて層にすることで、しっかりした構造にできあがるんだ。

貝殻型のジュエリーボックスだけは、木型に革を張ってある。なぜかって、鍵穴が必要だからね。

Q. 固い革は扱いにくそうですが?

作業を始める前に、水に浸して柔らかくするんだ。革の厚さによって、水の浸透度が違うから、小銭入れは1日くらい、ボックス類の場合には、3〜4日間、浸さなきゃならない。

作業中6

革が柔らかくなったら、木型に入れ成形して、乾くまでじっくり待つ。

一枚革じゃなく、何枚もの革を層にして作るから、一枚ごとに、水に浸して、柔らかくなったら乾かしての作業を、繰り返し進めていくんだ。

作業中5

Q. 革を縫い合わせないとすると、どうやって接合するんですか?

使うのは、植物性の糊。小銭入れにしても、ボックス類にしても、それぞれ1.5ミリとか5ミリの厚さの革を単純に糊付けしたら、接合部分は、革が重なり合うから、倍数の3ミリ(1.5X2) とか、10ミリ(5X2)になるじゃない?

そもそも、そんなに厚かったら糊付けできないよ。

作業中11

革を削いで、接合部分を1.5ミリとか5ミリにして、ほかの部分と厚みを合わせてから、糊付けするんだ。

できあがりは、どこからみても、同じ厚さで、まるで1枚革で作られたように見えるけど、そうなるように、手作業で革を削いでるんだよ。

Q. どのくらいの時間をかけて作られるんですか?

水に浸して、成形して、乾かして。その作業を繰り返して、カタチが出来上がったら、今度は、色付けと、蓋開け。

自然色のヌーディな革色に、赤、緑、青、オレンジ等の色を植物性の塗料で色付けしていき、夏は1日くらい、冬や湿気のある日はもう少し時間かけて、自然乾燥させるんだ。

作業中2

塗ったばかりのときは、革が色を吸い込んでマットな感じになるけど、乾くとだんだん色が落ち着いてくる。

小銭入れも、ボックス類も、革で閉じられた状態だから、ナイフで切りこみを入れながら、ゆっくりと蓋の開閉部分を開けていくんだ。

タッコ道具

機械を使わず、手で少しづつ切り開いていく、すごく緊張する作業。ここで間違えたら、いままでの過程も、材料費も水の泡。

開いたら、内側は、まだ色付けされてないから、ここも色付けが必要。ここで、さらに待つこと数日間。

作業中1

乾いたら、曾祖父さんから受け継いでいる、例の金槌を使って、木型を取り出す作業。ここまできたら、もう少し。ロウを使って光沢を出して、最後に布できれいにして、完成。

これでも、だいぶ簡単に説明しているんだよ。

1つづつ作るんじゃなくて、まとめて作るから、ざっくりだけど、小銭入れで20日間程度。小箱で60日間程度かな。

作業中7

ぜんぶで約32工程ある。工程の1つでも抜けると、失敗。完成品になることはない。気持ちばかり急いで、色が乾いてないところに、ロウ付けしても、光沢なんて出やしない。

人は、長い時間をかけて、1つのモノが作られていることを知らない。モノづくりには、1つ1つの工程に意味があり、1つ1つの時間を持つんだよ。

Q. すべての作業は、お父さんから学んだものですか?

祖父と父の両方から。ラッキーなことに、祖父の作業風景を見ることができた。学校に通っているときも、放課後や、夏休み中に、手伝いに来てたんだ。

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父から教えてもらっていた時は、ひとつの工程を終えたら、確認してもらい、オーケーが出たら、次の工程。という流れで、1つ1つ確認しながら、作業を進めていったんだ。

間違えたのを気がつかないまま先に進んだら、作業時間も、革も、ぜんぶ捨てることになってしまって、後戻りできない。だから、慎重に丁寧に進めていくことが、すごく大切なんだ。

父の傍で働いて、いろいろなことを教えてもらったけど、父のレベルには一生かかっても到達しないね。それは、1つ1つの工程でも、できあがった品質でも。

Q. どのくらいの時間をかけて、工程を覚えたのでしょうか。

よく言うじゃない? 「見て覚えろ」と。確かに一理あるけど、すべてじゃない。

父の作業風景を見ながら、真似て同じようにしてるつもりだったけど、父が、「ちょっと待て。そんなんじゃ先に進めないぞ。」と言って、オレを止めるんだ。

え?バッボ(お父さん)とまったく同じようにしているじゃないか。

と心の中で思ったけど、実際はぜんぜん同じじゃなかった。

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天才なら、一度見ただけで、すぐに自分のものにするかもしれないけど、お父さんの手は、自分の手とは違う。作業をする手は、お父さんのものであって、自分のものじゃないんだ。

見て覚えることは大切。だけど、その後で、自分の手を1つ1つの工程に沿えるように訓練し、経験を積んで、自分なりの勘を掴まなければならない。

scatola 木型と革

どのくらいの時間をかけたか、数値で表すのは難しいけど、かなりの時間が必要なのは確か。いまでも、いくつかの工程で、難しいと感じることがあるよ。そういう工程では、丁寧に作業し、間違わないように気をつけるんだ。

品質の良いものを作るように、常に心がけている。機械生産のように100を作るのではなく、1つづつ、丁寧に、仕上げることが、自分にできることだから。

Q. 貝型のジュエリーボックスは、木型が入っているんですよね? どこかに依頼するんですか?

その通り。1つのジュエリーボックスにつき、1つの木型が必要で、intagliatore(インタリアトーレ)と呼ばれる彫り師にお願いするんだ。

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ある日、特注の箱を作らなきゃいけなくて、朝6時に、彫り師の仕事場に行ったんだ。彼がすでに仕事場にいることを知ってたからね。

案の定、彼は事務仕事をしてたみたいだけど、そんな早朝に物音が聞こえたから、泥棒以外にいないと思って、警察を呼ぼうとしたところ、

ふと見ると、オレだよ。オレが扉の前に立ってたんだ。

チャオ。元気?

と、声をかけると、

物音が聞こえたから警察を呼ぼうとしたじゃないか。こんな時間になんだよ!

って、怒られた。でも彼だって、朝のそんな時間に、誰もいない仕事場で作業してたんだから、人のことは言えないよね(笑)

もう一人、木型を頼む職人がいるんだけど、どこに住んでいるかわからないんだ。

電話で注文して、待ち合わせ場所を指定されて、そこで物とお金を交換する。なんか怪しい取引でもしてるみたいだろ。

工房はあるのかしら?

あるよ。誰とも会いたくないらしい。でも仕事はピカイチ。オレの周りには、どうも風変わりな人がいっぱいいるんだよなー。

Q.  革はどうやって購入してますか?

取引のある革会社に注文してる。作るモノによっては、大きな革が必要なときもあって、そのときは、革会社に直接行って買ってくるんだ。

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革会社の選別プロのスタッフが選んで、革はすでに準備されているんだけど、オレは、それを1枚づつ確認しながら、これはオーケー。これはダメ。と選り分けるんだ。

そのときの、革会社のスタッフのため息ったらないよ。だから、革会社がオレの姿を見つけると、ああ、シモーネがきた。て、みんな手で顔を覆うんだ。

普通の顧客だったら、選別プロが選んだものを、なにも言わずに、そのまま購入するからね。

革会社との取引は古くてね、祖父の代から続いている。小さい頃に連れられてったよ。

祖父もやっぱり、いまのオレと同じように、革を選別していたから、

おじいちゃん、どれも、おなじじゃないの? とオレが聞くと、

祖父は、左右に首を振って、No No No と言っていたのを思い出すよ。

この革会社、いまは郊外にあるけど、祖父の頃は、フィレンツェの中心街にあったんだ。当時の社長は、いまの社長の祖父。革会社と工房は一緒に育ったようなもんなんだ。

Q. 工房は、あなたにとってどんな存在ですか?

稼ぐために、この工房にいる? 
そうじゃないんだ。

全体

この工房にいるときは、自分が世界の中心にいるように思えるんだ。

世界中の人たちと、この工房で出会い、おしゃべりをしながら、その国の生の話しを聞くことができる。彼らの話しを聞くことで、いろいろなことを知り、学ぶことができる。自分にとっては、世界の扉を開ける鍵のようなものだ。

たまに、音楽家、画家、ファッション界の世界で生きている芸術家の人たちが訪れることがある。彼らの話を聞くのも楽しいんだ。

いままでどう生きてきたか、国の伝統にはどんなものがあるか、彼らはどうモノを見ているのかとか、直接に聞くことができるんだ。

そんなとき、自分はなんて贅沢なんだろうと感じるんだよ。

自分にとって工房は、海洋するための港のような存在だ。世界中の人と出会うことができる。もしかしたら、これが、この工房にいる一番の理由で、一番の価値のあることなのかもしれない。

この工房の扉を開けるのに、区別なんてない。性別も、年齢も、国籍も、猫も、犬も、関係なく、誰でも、この扉を開けることができるんだ。なぜなら、ここは、世界と出会う場所だから。

ドルガバ

おしゃべりすることにより、自分にはない考え方に出会ったり、想像力が膨らんだり、とにかく新鮮。

ほかの言葉で言い換えれば、精神科医のようなものかな。悩みを抱えていたとしても、自分の価値観とは違う、異種異業種の人たちと話すことで、生きる参考にもなるし、刺激にもなる。

Q.絶対に外せない習慣はなんですか?

ねえ、このテーブル。紙切れが散乱してるでしょ。

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ラジオを聞いてて、心に引っかかることがあれば、書かかずにはいられない性分なんだ。だから、ラジオを聞いて、紙の切れ端に書きとめる。の繰り返し。

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書いては、そばに置いておくのは、記憶を留めるのに、自分にとって最適な方法なんだ。ただ、書いた切れ端を、置きっ放しにするから、テーブルがこの状態。

ちゃんと掃除はしてるんだよ。だけど、いま5つの工程を同時進行でやってて、ただでさえ、テーブルの上がすごいことになっているから、ごちゃごちゃ。なにかを探そうにも、なにも見つからないよ。

Q.時空を旅できるとしたら、過去に行きますか、未来に行きますか?

どっちも。

どちらか一つ!

過去かな。いま生きている人には、どんな人であれ、過去がある。過去のない人なんていない。

フィレンツェには、史書がたくさん残されている。もしかしたら、いま発明されたと信じられているモノは、実は3世紀前に、アイデアだけは存在していたかもしれない。そういうことを知るためにも、史書は、役に立つんだ。

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オレたちは、いま、完成されたモノをみてるけど、実は、歴史という過去からずっと続いている。ただ、それが見えないだけ。

2015年はアインシュタインが「一般相対性理論」を発表してから100周年に当たっていたけど、1915年に文献を発表してから、100年後の2016年に、アインシュタインが予言していた、重力波の直接検出に、やっと成功したことが発表されたでしょ。この例からみてもわかる通り、オレたちは、過去があって、いまを生きるんだ。

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100年なんて、歴史からみたらほんの一瞬。アイデアが実現に至るまでに、何世紀も研究してやっと成功したものもあるはず。

過去にもどって、そのときの世界の動きをみてきて、それが、どう、現在と、未来に繋がっていくのかを見てみたい。

Q. フィレンツェに生まれ育ち、さらには、フィレンツェの職人ということに誇りを感じますか?

うん。体の中から感じるね。ここではすべてがつながっているんだ。この街で生まれ育ったってことが、どういうことか、自覚があるよ。

工房の目の前にある教会も、立派な建物も、美術館も、すごいものが揃っている。でも、それだけじゃない。

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古い木製の正面玄関、石で作られた階段、鉄製の手すり、日常に溶け込んで無意識のうちに使っているほんの些細な小さな飾り物。

建物を見上がれば、ひとつとして同じじゃない屋根の作り。

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それぞれに個性があって、特徴があって、趣向が凝らしてある。

歴史に名を残した有名な芸術家や、建築家ばかりじゃなくて、美しく仕上げるという心意気で作られた職人たちの作品を、見たり感じたりすることができる街なんだ。

これほど歴史が積み重なられた街なのに、フィレンツェは、まるで蝶々が空を舞うように、軽やか。

よく母が言ってたこと。

食べるなら、美味しいものを。
買うなら、良いものを。
作るなら、質の良いものを。

どうでもいいものを10買うなら、1つだけ良いものを選びなさい。

いまは10個セットでまとめ買いとかあるけど、便利さに気を取られて、本当に良いもの、美しいものがなにかを、見極めるチャンスが少なくなっている。本当は、美しいものが、少しだけ、あるだけでいいんだ。

Q. 1つの革小物を作るのに、どれだけの会社が関わっていますか?

まっすぐな木製の木枠があったとしよう。
シンプルで一貫した美しさ。

これが作り上げられるまでに、どんな背景があるか想像できるかい?

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まずは、木が育たなければならない。木が育つためには、ミクロな大気条件が必要。木には、微生物がいて、虫がいて、鳥とか動物達も住んでいる。蜂がいなければ、果実が実らない。蜘蛛の巣があるから虫が増えない。それぞれは、小さな事柄だけど、すべてが自然のサイクルに従い、エコシステムの上に成り立っている。

木製の木枠1つとっても、これらのすべてが背景にあり、完成するものなんだ。連鎖の1つでも壊れると、機能しなくなる。

牛を飼育する人、革をなめす人、木型を作る人、道具を作る人、金箔を貼る人。それぞれが協力しあって、はじめて1つのモノが出来上がるんだ。

Q.宇宙人から知らない言語で問いかけられたら、どうしますか?

なにがいいたいのかを紙に書いてもらうようにするかな。どんな方法であれ、コミュニケーションは取れるはずだし、オレの工房は、宇宙人にだって開かれてるんだ。

でもね、宇宙人であろうと、他人の家へ入ってきて、挨拶の言葉も知らずに一方的に自分たちの言葉で押し通そうというのは、よくないよ。地球にやってきたのなら、その国の言葉を勉強してくるべきだよ。

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学生時代は、ポケットに手を突っ込み、肩で風をきるような少年だったらしい。そんな姿から、当時流行っていた西部劇の登場人物の名を取り、「ジャッキー」と呼ばれていたシモーネさん。

工房の外から手を振って「げんきー?」と挨拶すると、入れ入れと手招きされ、彼とおしゃべりしている間にも、お茶飲み友達らしい近所のパニーノ店のおにいちゃんが「カフェは?」と声をかけてきたり、色鮮やかな服をセンスよく着こなす、劇場で仕事をしているという、自転車に乗ったお姉さんが、颯爽と現れ、じゃ!と仕事場に向かっていったり。

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いろいろな人が行き交っては、雑談を楽しみ、政治の討論をし、歴史を語り合う、この工房は、工房であって、工房ではない、ちょっとした社交の場。

今回、改めてシモーネさんに話しを聞いてみて、彼の工房のありかたを知り、なるほど。と腑に落ちました。

工房という港で、シモーネさんがいつでもお待ちしています。フィレンツェに訪れることがあれば、ぜひ立ち寄ってみてください!!

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シモーネさんが、小銭入れや革小物の作り方を説明してくれています。彼の熱い語り口調をぜひ、音声で、動画で、ご覧ください!

タッディ革小物工房 Bottega di Taddei Simone 
住所:Via Santa Margherita, 11/R, 50122 Firenze FI
営業時間:8時00分~20時00分
定休日:日曜日
電話: +39 055 239 8960

職人シリーズ n.1 -  額縁職人


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