べっこうあめアマミ

障害児ときょうだい児を育てる2児の母。ライター。息子7歳、重度知的障害を伴う自閉症で発…

べっこうあめアマミ

障害児ときょうだい児を育てる2児の母。ライター。息子7歳、重度知的障害を伴う自閉症で発語ほぼ無し。「障害がある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信。子どもの幸せがママの幸せではなくママの幸せが子どもの幸せにつながるはず。著書3冊がAmazonでランキング1位獲得。

マガジン

  • 障害のこと説明できますか?シリーズ

    聞いたことあるけど知ってるようで知らない、あんな障害こんな障害、べっこうあめアマミの言葉で説明します。

  • ライターっぽい記事

    べっこうあめアマミの、あんまり育児が大きく関係しないライター的な記事です。

  • べっこうあめ家の日常シリーズ

    べっこうあめ家のムスコ、ムスメ、アマミ、夫の身に起きたいろんなできごとを、漫画を交えて綴っていくコミックエッセイシリーズ。

  • べっこうあめアマミの障害児育児note

    ゆるい障害児育児をしているべっこうあめアマミの、他に分類されない王道note記事たち。

  • 娘(きょうだい児)のこと

    べっこうあめムスメを主役にした、障害児のすぐ隣にいるきょうだい児の話です。

最近の記事

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全力で拒否した卒園証書と息子が初めて感じた「お別れ」の話

先日、息子が幼稚園を卒園しました。 結論から言って、自閉症と知的障害がある息子は、卒園式でパニックを起こし、荒れました。 入場と退場はちゃんとできたものの、しんみりした場面でケタケタ笑い出し、控えめな奇声をあげ、一時、隊列に並ぶのを嫌がって進行を遅らせたりもしましたし、卒園証書授与の際は歩きませんでした。 でも私は、卒園式の最後、感動で号泣し、本当に満足した嬉しさいっぱいの幸せな気持ちで幼稚園を後にしたのです。 「え?」と思った人もいるかもしれません。 おめでたすぎる

    • 「発達障害ならまだいいけど知的障害だったらどうしよう」などと思っていたあの頃の話

      「もしかして、知的障害がある人って、道でぴょんぴょん飛び跳ねていたり、大きな声を出していたりする人が全てだと思っていますか?」 これは私が何年も前に、とある心理士さんに真顔で聞かれた質問。 当時の私は知的障害どころか障害についての知識もあまりなく、息子もまだ2歳そこそこで育児経験も少なく、とにかく無知だったのだ。 だからそう言われて、「え?えぇっと……」と心の中でたじろぎながら、うまく返事を返すことができなかったのを覚えている。 息子の発達が遅い?これって発達障害? さて

      • 毎朝大きい声であいさつをするおじさんが、ハトの死骸を持って現れた話

        娘と保育園に行く途中で、よく遭遇するあいさつおじさんがいる。 名前も知らない、もちろんどこに住んでいるかも知らないけれど、なぜか遭遇すると大きい声で「おはよう!!!!!」とあいさつをしてくれる。 この「おはよう!!!!!」がとびきり大きな声で、本当に大きな声なので、ぽけーっと歩いていると条件反射的にビクッとしてしまうのだ。 でも、声は大きいけれど怖い感じではなくて、笑顔でにっこりと微笑んでくれる。 ただ、非常に申し訳ないけれど、その声があまりに大きいからか娘もビビってしま

        • プリキュアの魔法 ~彼女たちは家族のココロをひとつにする~

          5歳の娘がプリキュアにはまって、早2年。 そろそろ今期のプリキュアも終わりを迎え、次の代のプリキュアが始まる次期だ。 この時期になると話がクライマックス中のクライマックスになり、テンポの早い進みになる。 そして敵役の中で真の敵的なすごく悪いやつが現れたり、逆にこれまですっごく悪いやつだったはずのキャラクターが急に不自然なほどにいいやつになったりと、コロコロ立ち位置が変わったりする。 大人は見ていてそれなりについていけるけど、子どもにとってはそうもいかない。 なんとなく「なー

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        • 我が家を振り回し続けたコロナの記憶
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        記事

          リアルに人と会う、伝える、手に取る…そんな2023年。

          今年も今日で終わり。 2023年はみなさん、どのような年だったんでしょうか。 私はなんだかずっと忙しくバタバタしていたような気がします。 まず、コロナが5類に移行し、仕事でもプライベートでも、たくさんの人と実際に会うことができました。 オンラインでしかやりとりしていなかった人たちと実際に会う。 とても新鮮だったり懐かしかったり。 実際に足を運ぶからこそ、スケジュール調整や時間を要したりもしますが、やっぱりいいなと思いました。 そして、仕事では初めて紙媒体に関われたのが、貴

          リアルに人と会う、伝える、手に取る…そんな2023年。

          ゴリアテさんの話

          ゴリアテさんは、私の大学の先輩でした。 ゴリアテさんとの出会いは18歳の春。 大学進学のために地方から上京した私が入部した、軽音サークルでの出会いでした。 出会い本当はかるた部に憧れていた私ですが、大学にそんなサークルはなく、私はあてもなく友人と新入生歓迎…もとい、新入生サークル勧誘ロードをうろうろしていました。 特に代案として入りたいサークルも浮かばかった私ですが、なぜか、とある軽音サークルが目に入ったのです。 小学校から高校まで、クラスの地味な女子として過ごしてきた私

          ゴリアテさんの話

          1つの夢が叶った年 「あの頃」なりたかった自分になれたかもしれない

          2022年があと少しで終わろうとしている今、このギリギリのタイミングで今年を振り返っています。 母として思う、子どもの成長、妻として思う、夫との関係、肩書によって語るべき「今年」は様々です。 でも、私がこのアカウントで書き始めた理念は、プロフィールにあるように「『障害がある子ども』ではなく『障害児のママ』に軸足をおいた発信」でした。 だからここでは、「母でもない妻でもない『私』」の今年の振り返りをしてみます。 私にしか書けない記事を書きたい! ライターとして大きく飛躍去年2

          1つの夢が叶った年 「あの頃」なりたかった自分になれたかもしれない

          ジワジワと世間に沁み込ませていきたい障害児の親の願いの話

          2021年12月5日。 えっと……なんの日? 私が前回、noteを更新した日です。 随分間があいてしまいました。 私にとってnoteは、心の内にわきあがってどうしようもなく膨れ上がった気持ちや考えを、いくらか読みやすく整えて世の中に発信させて頂こう、という、誰に頼まれたわけでもなくただ自分のためだけに書き上げた、Twitterに載せるには長すぎるけど電子書籍にするには短すぎるような文章たちの集合体です(長い)。 以前はけっこう頻繁に更新していたnote。 それが、あ

          ジワジワと世間に沁み込ませていきたい障害児の親の願いの話

          息子が知的障害の診断を受けた時の話

          3年前の12月、私たち家族にとって忘れられないできごとがありました。 その時のことを綴った漫画です。 当時4歳だった息子は今、7歳になりました。 時の流れは気持ちを落ち着けていってはくれるけど、やっぱり時々ふと思い出すのです。 その時の、突然世界が色を失ったかのような感覚を。 自分の子どもに障害があるという宣告を受けるのは、筆舌に尽くしがたい、つらい体験です。 なんてことないように笑っている親御さんにも、何度も涙を流した過去があるでしょう。 乗り越え方は人それぞ

          息子が知的障害の診断を受けた時の話

          自閉症息子&イヤイヤ期娘との移動で感じた危機感…その時私は

          息子と娘と私と移動支援私の息子は、重い知的障害を伴う自閉症です。 今年の4月から、小学部の1年生として特別支援学校に通い始めました。 私には息子以外に娘もいて、娘は保育園に通っています。 息子が幼稚園と療育に通っていた頃、娘はまだ0~1歳だったので保育園には通っていませんでした。 だから私は娘を抱っこ紐に入れて、娘と息子と3人で幼稚園と療育に通っていたのです。 でも今、私は娘と息子と3人で歩くことはほとんどありません。 朝の息子のスクールバスの送迎は、夫が遅い出勤の日は

          自閉症息子&イヤイヤ期娘との移動で感じた危機感…その時私は

          障害者理解と共生社会を求める「優しい」いじめっ子の話

          「裏切り者」 私は長い間、その言葉が本当に嫌いでした。 耳にしただけでドキッとしてしまうほど、私にとってはトラウマのような言葉だったのです。 なぜか。 それは小学4年生の時、クラスのほとんどの女子から集団で、 「裏切り者○○!!」と、実名入りで大声で罵られながら、小学校の広い校庭を駆け回られたことがあるからです。 いじめっ子は「差別や偏見のない優しい子」校庭にいたたくさんの生徒が、その集団と私を見ていました。 まさに「公開処刑」といった様相でしょうか。 彼女たちは、

          障害者理解と共生社会を求める「優しい」いじめっ子の話

          障害や発達の話は浴びるのではなく掬うものだと気づいた私の話

          「障害があると思っているの?」 「そんな所に行ったら学校にいきづらくなるよ」 ラインに流れてきたあまりにストレートな文章に、私は正直、「一瞬心臓とまったかな?」って思うくらい、体が硬直してしまいました。 これは私が直接言われたわけではなく、私のママ友が、ご主人に言われたという言葉です。 この言葉が出てくるに至った経緯を、ここからぽつりぽつりとお話していきたいと思います。 それは2年前のこと私には、自閉症で知的障害の小学1年生の息子と、2歳の娘がいます。 2年前、まだコ

          障害や発達の話は浴びるのではなく掬うものだと気づいた私の話

          ムスメとまぎらわしい食べ物の話

          ムスメ2歳、ものには名前があることを知り、覚えた言葉をとにかく使いたいお年頃です。 いま食べたものの感想、そしてこれが何なのかをドヤ顔で教えてくれます。 でも、絵本や日常であまり登場しないものでは、まだまだ知らない言葉がたくさんあります。 「ブルーベリー」という言葉はムスメの辞書には存在しない。 なかなか意見を曲げなかったムスメですが、このあと一応、「ぶるべり」って言ってくれました。 ちなみにムスメの辞書とは、この絵本です。

          ムスメとまぎらわしい食べ物の話

          突然の事にびっくりしたけど誤飲ではなく嬉しい成長だった話

          つい先日の話です。 息子が、また一歩お兄ちゃんになりました。 私が夕飯の支度をしていたら、息子が口をうっすら開けて、何やら口元に小さいものを持ってきて挙動不審な動きをしていました。 なんと、息子、初めて歯が抜けたのでした‼ 息子は自閉症と知的障害があり、その特性として、何でも口に入れる癖があります。 ですから私は、6年以上もの息子との生活の中で、「息子の口元に何か小さいものがある=誤飲=危険!!」という防衛本能が染みついているのです。 もはや反射的に、「何食べようとし

          突然の事にびっくりしたけど誤飲ではなく嬉しい成長だった話

          子供時代を彩る憧れの大人の存在と私のピアノの先生の話

          私は子供の頃、ピアノを習っていました。 小学1年生から高校2年生まで、結構な長い間です。 子供から大人に成長していく多感な時期の11年間、毎週火曜日のピアノのレッスンは、私の体にしみついた習慣でした。 私はピアノが好きでした。 でもこれだけ長く続けていたのは、ピアノが好きだったからだけではありません。 ピアノの先生が好きだったのです。 私がそもそもピアノを習い始めたのは、小学校1年生の時、音楽の時間にどうしてもピアニカで「どんぐりさんのおうち」という曲が弾けなくて、

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          卒園式で岩になった息子と、絶望を希望に変える児童発達支援の話

          今年度も終わろうとしている3月末、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 前回のnoteで息子が幼稚園を卒園したことを書きましたが、先日、児童発達支援施設も卒園しました。 まず先に、「児童発達支援」という専門用語にピンと来ない方のために、簡単に説明します。 児童発達支援とは、簡単に言えば、障害があったり発達に課題があったりする未就学の子が通う療育の事です。 説明すると長くなるのでとりあえずこの文章内では、「障害がある子が通う幼稚園や保育園に近いもの」と捉えて頂ければ充分かと思いま

          卒園式で岩になった息子と、絶望を希望に変える児童発達支援の話