べっこうあめアマミ

障害児ときょうだい児を育てる2児の母。ライター。息子9歳、重度知的障害を伴う自閉症で発…

べっこうあめアマミ

障害児ときょうだい児を育てる2児の母。ライター。息子9歳、重度知的障害を伴う自閉症で発語ほぼ無し。「障害がある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信。子どもの幸せがママの幸せではなくママの幸せが子どもの幸せにつながるはず。著書3冊がAmazonでランキング1位獲得。

マガジン

  • 小説

    ここに入っている作品は、小説(フィクション)です。

  • 障害のこと説明できますか?シリーズ

    聞いたことあるけど知ってるようで知らない、あんな障害こんな障害、べっこうあめアマミの言葉で説明します。

  • ライターっぽい記事

    べっこうあめアマミの、あんまり育児が大きく関係しないライター的な記事です。

  • べっこうあめ家の日常シリーズ

    べっこうあめ家のムスコ、ムスメ、アマミ、夫の身に起きたいろんなできごとを、漫画を交えて綴っていくコミックエッセイシリーズ。

  • べっこうあめアマミの障害児育児note

    ゆるい障害児育児をしているべっこうあめアマミの、他に分類されない王道note記事たち。

最近の記事

  • 固定された記事

全力で拒否した卒園証書と息子が初めて感じた「お別れ」の話

先日、息子が幼稚園を卒園しました。 結論から言って、自閉症と知的障害がある息子は、卒園式でパニックを起こし、荒れました。 入場と退場はちゃんとできたものの、しんみりした場面でケタケタ笑い出し、控えめな奇声をあげ、一時、隊列に並ぶのを嫌がって進行を遅らせたりもしましたし、卒園証書授与の際は歩きませんでした。 でも私は、卒園式の最後、感動で号泣し、本当に満足した嬉しさいっぱいの幸せな気持ちで幼稚園を後にしたのです。 「え?」と思った人もいるかもしれません。 おめでたすぎる

    • 知的障害がある子どもにはテレパシーという特殊能力が備わる世界③

      栗山さんの苦悩 栗山さんの家は、敷地内同居をしている。 義両親が隣に住んでおり、しかも、常日頃から栗山さんは、育児について何かと口出しをされていた。 特に優君の障害について、義両親は無理解であり、母親である栗山さんのせいにしていたことは、栗山さんの悩みの種だった。 「ねぇ、あなた…。優はたしかに発達がゆっくりだけど、療育に通うようになって、できることも少しずつ増えてきたの。お義母さんがまた今日もうちに来て、優がうるさいってひどく怒っていったんだけど、あんまり強く叱るのはあの

      • 知的障害がある子どもにはテレパシーという特殊能力が備わる世界②

        後悔 「私、やっちまったかもしれません…。」 発達支援センターの職員室で、春海はうなだれながら我妻さんに向かってつぶやいた。 「まぁ…子どもが療育に通っているってことを、周囲に知られたくない親御さんもいるからね。特に笹川さんは、まだ陽太君の障害についても受け止めきれていない状況だと思うの。時間が解決していくしかないかな…。」 我妻さんのごもっともなアドバイスを聞きながらも、春海の心は晴れなかった。 自分も障害児の母であるのだから、そういう繊細な部分はわかっていたはずだった

        • 知的障害がある子どもにはテレパシーという特殊能力が備わる世界①

          あらすじ 知的障害を持つ子どもたちがテレパシー能力を持つ世界で、重度の自閉症を持つ息子、冬馬を育てる三島春海。不思議なことに、同時にそういう子どもを産んだ母親にも、同じくテレパシー能力がそなわっているのだった。彼女はテレパシー管理士として、新たな職場でその能力を活かし、知的障害を持つ子どもたちの心の声を翻訳する役割を担う。しかし、職場で出会った他の親たちとの交流や、日々の挑戦が彼女を待ち受ける。子どもたちの心の声と向き合いながら、春海はどのように彼らの未来を切り開くのか?温か

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        全力で拒否した卒園証書と息子が初めて感じた「お別れ」の話

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        • 障害のこと説明できますか?シリーズ
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        • べっこうあめアマミの障害児育児note
          20本
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        • 娘(きょうだい児)のこと
          2本

        記事

          「発達障害ならまだいいけど知的障害だったらどうしよう」などと思っていたあの頃の話

          「もしかして、知的障害がある人って、道でぴょんぴょん飛び跳ねていたり、大きな声を出していたりする人が全てだと思っていますか?」 これは私が何年も前に、とある心理士さんに真顔で聞かれた質問。 当時の私は知的障害どころか障害についての知識もあまりなく、息子もまだ2歳そこそこで育児経験も少なく、とにかく無知だったのだ。 だからそう言われて、「え?えぇっと……」と心の中でたじろぎながら、うまく返事を返すことができなかったのを覚えている。 息子の発達が遅い?これって発達障害? さて

          「発達障害ならまだいいけど知的障害だったらどうしよう」などと思っていたあの頃の話

          毎朝大きい声であいさつをするおじさんが、ハトの死骸を持って現れた話

          娘と保育園に行く途中で、よく遭遇するあいさつおじさんがいる。 名前も知らない、もちろんどこに住んでいるかも知らないけれど、なぜか遭遇すると大きい声で「おはよう!!!!!」とあいさつをしてくれる。 この「おはよう!!!!!」がとびきり大きな声で、本当に大きな声なので、ぽけーっと歩いていると条件反射的にビクッとしてしまうのだ。 でも、声は大きいけれど怖い感じではなくて、笑顔でにっこりと微笑んでくれる。 ただ、非常に申し訳ないけれど、その声があまりに大きいからか娘もビビってしま

          毎朝大きい声であいさつをするおじさんが、ハトの死骸を持って現れた話

          プリキュアの魔法 ~彼女たちは家族のココロをひとつにする~

          5歳の娘がプリキュアにはまって、早2年。 そろそろ今期のプリキュアも終わりを迎え、次の代のプリキュアが始まる次期だ。 この時期になると話がクライマックス中のクライマックスになり、テンポの早い進みになる。 そして敵役の中で真の敵的なすごく悪いやつが現れたり、逆にこれまですっごく悪いやつだったはずのキャラクターが急に不自然なほどにいいやつになったりと、コロコロ立ち位置が変わったりする。 大人は見ていてそれなりについていけるけど、子どもにとってはそうもいかない。 なんとなく「なー

          プリキュアの魔法 ~彼女たちは家族のココロをひとつにする~

          リアルに人と会う、伝える、手に取る…そんな2023年。

          今年も今日で終わり。 2023年はみなさん、どのような年だったんでしょうか。 私はなんだかずっと忙しくバタバタしていたような気がします。 まず、コロナが5類に移行し、仕事でもプライベートでも、たくさんの人と実際に会うことができました。 オンラインでしかやりとりしていなかった人たちと実際に会う。 とても新鮮だったり懐かしかったり。 実際に足を運ぶからこそ、スケジュール調整や時間を要したりもしますが、やっぱりいいなと思いました。 そして、仕事では初めて紙媒体に関われたのが、貴

          リアルに人と会う、伝える、手に取る…そんな2023年。

          ゴリアテさんの話

          ゴリアテさんは、私の大学の先輩でした。 ゴリアテさんとの出会いは18歳の春。 大学進学のために地方から上京した私が入部した、軽音サークルでの出会いでした。 出会い本当はかるた部に憧れていた私ですが、大学にそんなサークルはなく、私はあてもなく友人と新入生歓迎…もとい、新入生サークル勧誘ロードをうろうろしていました。 特に代案として入りたいサークルも浮かばかった私ですが、なぜか、とある軽音サークルが目に入ったのです。 小学校から高校まで、クラスの地味な女子として過ごしてきた私

          ゴリアテさんの話

          1つの夢が叶った年 「あの頃」なりたかった自分になれたかもしれない

          2022年があと少しで終わろうとしている今、このギリギリのタイミングで今年を振り返っています。 母として思う、子どもの成長、妻として思う、夫との関係、肩書によって語るべき「今年」は様々です。 でも、私がこのアカウントで書き始めた理念は、プロフィールにあるように「『障害がある子ども』ではなく『障害児のママ』に軸足をおいた発信」でした。 だからここでは、「母でもない妻でもない『私』」の今年の振り返りをしてみます。 私にしか書けない記事を書きたい! ライターとして大きく飛躍去年2

          1つの夢が叶った年 「あの頃」なりたかった自分になれたかもしれない

          ジワジワと世間に沁み込ませていきたい障害児の親の願いの話

          2021年12月5日。 えっと……なんの日? 私が前回、noteを更新した日です。 随分間があいてしまいました。 私にとってnoteは、心の内にわきあがってどうしようもなく膨れ上がった気持ちや考えを、いくらか読みやすく整えて世の中に発信させて頂こう、という、誰に頼まれたわけでもなくただ自分のためだけに書き上げた、Twitterに載せるには長すぎるけど電子書籍にするには短すぎるような文章たちの集合体です(長い)。 以前はけっこう頻繁に更新していたnote。 それが、あ

          ジワジワと世間に沁み込ませていきたい障害児の親の願いの話

          息子が知的障害の診断を受けた時の話

          3年前の12月、私たち家族にとって忘れられないできごとがありました。 その時のことを綴った漫画です。 当時4歳だった息子は今、7歳になりました。 時の流れは気持ちを落ち着けていってはくれるけど、やっぱり時々ふと思い出すのです。 その時の、突然世界が色を失ったかのような感覚を。 自分の子どもに障害があるという宣告を受けるのは、筆舌に尽くしがたい、つらい体験です。 なんてことないように笑っている親御さんにも、何度も涙を流した過去があるでしょう。 乗り越え方は人それぞ

          息子が知的障害の診断を受けた時の話

          自閉症息子&イヤイヤ期娘との移動で感じた危機感…その時私は

          息子と娘と私と移動支援私の息子は、重い知的障害を伴う自閉症です。 今年の4月から、小学部の1年生として特別支援学校に通い始めました。 私には息子以外に娘もいて、娘は保育園に通っています。 息子が幼稚園と療育に通っていた頃、娘はまだ0~1歳だったので保育園には通っていませんでした。 だから私は娘を抱っこ紐に入れて、娘と息子と3人で幼稚園と療育に通っていたのです。 でも今、私は娘と息子と3人で歩くことはほとんどありません。 朝の息子のスクールバスの送迎は、夫が遅い出勤の日は

          自閉症息子&イヤイヤ期娘との移動で感じた危機感…その時私は

          障害者理解と共生社会を求める「優しい」いじめっ子の話

          「裏切り者」 私は長い間、その言葉が本当に嫌いでした。 耳にしただけでドキッとしてしまうほど、私にとってはトラウマのような言葉だったのです。 なぜか。 それは小学4年生の時、クラスのほとんどの女子から集団で、 「裏切り者○○!!」と、実名入りで大声で罵られながら、小学校の広い校庭を駆け回られたことがあるからです。 いじめっ子は「差別や偏見のない優しい子」校庭にいたたくさんの生徒が、その集団と私を見ていました。 まさに「公開処刑」といった様相でしょうか。 彼女たちは、

          障害者理解と共生社会を求める「優しい」いじめっ子の話

          障害や発達の話は浴びるのではなく掬うものだと気づいた私の話

          「障害があると思っているの?」 「そんな所に行ったら学校にいきづらくなるよ」 ラインに流れてきたあまりにストレートな文章に、私は正直、「一瞬心臓とまったかな?」って思うくらい、体が硬直してしまいました。 これは私が直接言われたわけではなく、私のママ友が、ご主人に言われたという言葉です。 この言葉が出てくるに至った経緯を、ここからぽつりぽつりとお話していきたいと思います。 それは2年前のこと私には、自閉症で知的障害の小学1年生の息子と、2歳の娘がいます。 2年前、まだコ

          障害や発達の話は浴びるのではなく掬うものだと気づいた私の話

          ムスメとまぎらわしい食べ物の話

          ムスメ2歳、ものには名前があることを知り、覚えた言葉をとにかく使いたいお年頃です。 いま食べたものの感想、そしてこれが何なのかをドヤ顔で教えてくれます。 でも、絵本や日常であまり登場しないものでは、まだまだ知らない言葉がたくさんあります。 「ブルーベリー」という言葉はムスメの辞書には存在しない。 なかなか意見を曲げなかったムスメですが、このあと一応、「ぶるべり」って言ってくれました。 ちなみにムスメの辞書とは、この絵本です。

          ムスメとまぎらわしい食べ物の話