有村奈都

tw:@arimura72

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記事一覧

私信 許さない人へ

軽蔑します。 最後に会った日の、あなたの言動に対する落胆は、あなたなりの善意を拡大解釈して差し引いたとしても、まだ余りあります。 あれはきっと、出会って数年間、…

有村奈都
3か月前
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白が汚れないように暮らしている

photo by くろのさん

有村奈都
4か月前
22

2024.02.13

500
有村奈都
4か月前
18

エスカルゴと戦争の動画

政治的な判断を日常に持ちこむと、「優しい人だね」と言われることがある。最近だと例えば、反パレスチナであるスタバのボイコットとか。 でも、それはまったく事実に反す…

有村奈都
4か月前
14

ヤドカリが好む潮だまりみたいに、点々と洋服が落ちている部屋

訳あって会社を休んでいるので、気が向いた時に日記を書いていこうと思う。私にとって文を書く行為とは、無数の五角形と六角形が散らばった部屋で、それらを空中のてきとう…

有村奈都
4か月前
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11/4チャイナ企画

きたさん(@Kitahara_So) きたさんとは10月につづいて二度目の撮影でした 今回も 光の読み方がプロすぎるな〜〜〜と思いながら写らせてもらいました。 ちなみにこの日、…

有村奈都
7か月前
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10/15Nemica Space撮影会

きたさん(@Kitahara_So)本投稿のヘッダーはきたさん撮影のお写真を使わせていただきました! 私はあまり左からのアングルが得意ではないのですが、そのアングルで綺麗に…

有村奈都
7か月前
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Citron撮影会リリース.

ごあいさつ こんにちは、有村奈都です。 日ましに透きとおっていく残暑のなかで、いかがお過ごしでしょうか。 私は焦がれつづけた愛機を手に入れ、十数年ぶりに撮る側と…

有村奈都
9か月前
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幼魚のシーラカンス

家の裏手に、車一台がやっと通れる狭い道路がある。朝が来ると、東側の背の低い家々が道いっぱいに影を落とし、日向と日陰の縞模様が織りなされる。 帽子を目深にかぶって…

有村奈都
10か月前
15

被写体まとめ2

有村奈都
11か月前
8

被写体まとめ

有村奈都
11か月前
13

神様のおしのび

 商店街の中心に位置するこの部屋は、真夜中でももやもやと明るい。窓から手の届きそうな位置に街路灯があり、セブンイレブンは24時間休まずに、業務用冷凍庫のような仄青…

有村奈都
1年前
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更衣室のにおい

 夜中の三時頃に目が覚めて、二人はセックスをした。一連の行為がおわると彼らは互いに背をむけて、汗拭きシートで体液の付いた手を拭った。獣のにおいと柑橘の香りが入り…

有村奈都
2年前
29

ちいさなクラッカー

 画面に並んだ彩度の高いフリー画像の数々。青空に向かって差しのべられた手のシルエット。真っ赤なマントをはためかせ太陽をながめる背中。淡いピンクの毛布にくるまれ、…

有村奈都
2年前
27

おとなのふりかけ

 今日は中学時代に通っていた塾の先輩と約束があった。彼女は今、東大の院でプロジェクトに参加していて、研究員として日夜、シャーレのなかのみえない何者かとたたかって…

有村奈都
2年前
25

向日葵の葬式

今日、八月二日は父方の祖父の葬式だった。私は祖父が苦手だった。底抜けに良い人で、彼と話していると、虫歯みたいに染みついた自分の汚さが目につくから。幼少期、祖父が…

有村奈都
2年前
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私信 許さない人へ

私信 許さない人へ

軽蔑します。

最後に会った日の、あなたの言動に対する落胆は、あなたなりの善意を拡大解釈して差し引いたとしても、まだ余りあります。

あれはきっと、出会って数年間、繰り返してきた落胆の総括でした。おかしな期待をかけてしまう私を断ち切ってくれたということであるなら、感謝すべきかもしれません。

もう二度と、会うことも言葉を交わすこともありませんが、あなたが理解しえなかった絶望の手ざわりを、ここに残し

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エスカルゴと戦争の動画

エスカルゴと戦争の動画

政治的な判断を日常に持ちこむと、「優しい人だね」と言われることがある。最近だと例えば、反パレスチナであるスタバのボイコットとか。

でも、それはまったく事実に反する。わたしは割と酷いことを涼しい顔で出来るタイプの人間だ。普段は過剰に空気を読んでコミュニケーションに難のない人間に擬態しているが、ひとたび余裕がなくなれば、パートナーにモラハラを働いてしまうことも多々ある。(私が一方的に殴ってるのではな

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ヤドカリが好む潮だまりみたいに、点々と洋服が落ちている部屋

ヤドカリが好む潮だまりみたいに、点々と洋服が落ちている部屋

訳あって会社を休んでいるので、気が向いた時に日記を書いていこうと思う。私にとって文を書く行為とは、無数の五角形と六角形が散らばった部屋で、それらを空中のてきとうな場所にぺたぺたと嵌めていき、何とかサッカーボールらしき球体を作り上げていくような、そんな作業だ。だから、未来から過去へ時間が流れ、上から下に指示がおりてくるような一本道の会社仕事とは相性が悪い。切り替えが下手な私はすぐに何も書けなくなって

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11/4チャイナ企画

11/4チャイナ企画

きたさん(@Kitahara_So)

きたさんとは10月につづいて二度目の撮影でした
今回も 光の読み方がプロすぎるな〜〜〜と思いながら写らせてもらいました。
ちなみにこの日、撮影前なんと二本もレンズを買い足してきたそうです(笑)
破産しないようお気をつけて!

むじぃ@写真を撮るカッパ🤢さん(@Masato_pho)

カッパさんに写真を撮られるのは初めてで緊張しました!
が、ちゃんと日本語

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10/15Nemica Space撮影会

10/15Nemica Space撮影会


きたさん(@Kitahara_So)本投稿のヘッダーはきたさん撮影のお写真を使わせていただきました!
私はあまり左からのアングルが得意ではないのですが、そのアングルで綺麗に撮っていただき嬉しかったです>< ※3枚目参照
同じ枠のCozyさんのレンズを、きたさんが間違えてご自身のカバンへしまっていた一幕もツボりました(笑)

Hirokiさん(@orih422)淡々と褒めながら撮ってくださり、ご機

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Citron撮影会リリース.

Citron撮影会リリース.


ごあいさつ

こんにちは、有村奈都です。
日ましに透きとおっていく残暑のなかで、いかがお過ごしでしょうか。
私は焦がれつづけた愛機を手に入れ、十数年ぶりに撮る側として写真に取り組んでいます。

このたび筆を取りましたのは、私にとってのあらたな船出を、そしてあらためて常日頃の感謝を、いつも見守ってくださるあなたにお伝えしたいと感じたためです。

私はこの度、あたらしく撮影会を立ち上げました。

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幼魚のシーラカンス

幼魚のシーラカンス

家の裏手に、車一台がやっと通れる狭い道路がある。朝が来ると、東側の背の低い家々が道いっぱいに影を落とし、日向と日陰の縞模様が織りなされる。
帽子を目深にかぶってこの道を歩くと、四角い日陰のかたまりが、誰も居ないエレベーターのようにゆっくりと視界をよぎってゆく。

夏の季節さえ、美しく生きられたら何かに勝てるような気がする。海老と枝豆のジュレを口に運びつつ、そんなことを考える。切れ味の良い出汁の風味

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神様のおしのび

神様のおしのび

 商店街の中心に位置するこの部屋は、真夜中でももやもやと明るい。窓から手の届きそうな位置に街路灯があり、セブンイレブンは24時間休まずに、業務用冷凍庫のような仄青い光を道路に漏れさせている。越してきた当時は、この明るさに戸惑った。寝付くのにずいぶんと難儀して、部屋選びのポイントはつくづく多い、と感じ入ったものである。

 それが今や、日の変わる一時間前には必ず消灯して、朝の九時までたっぷりと寝る

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更衣室のにおい

更衣室のにおい

 夜中の三時頃に目が覚めて、二人はセックスをした。一連の行為がおわると彼らは互いに背をむけて、汗拭きシートで体液の付いた手を拭った。獣のにおいと柑橘の香りが入り混じる闇のなかで、女は、仰向けに手足を投げ出して汗が引くのを待った。そうしてどれほどの時間が経ったのだろう。彼女は、場所や時間、いわゆる座標というものが自身からゆるやかに遠のいていくのを感じていた。女の意識は元居た場所、つまり、この小さな島

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ちいさなクラッカー

ちいさなクラッカー

 画面に並んだ彩度の高いフリー画像の数々。青空に向かって差しのべられた手のシルエット。真っ赤なマントをはためかせ太陽をながめる背中。淡いピンクの毛布にくるまれ、こんこんと眠りつづける子猫。画面をスクロールするたびに、私は軽く絶望していた。まあでも仕方がない。Webメディアが本業ではないのだから、多少の壊滅的センスには目をつむるべきであろう。と、自分に言い聞かせつつ「ご費用」のページを開くと、絶望は

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おとなのふりかけ

おとなのふりかけ

 今日は中学時代に通っていた塾の先輩と約束があった。彼女は今、東大の院でプロジェクトに参加していて、研究員として日夜、シャーレのなかのみえない何者かとたたかっている。休みは週に一度あるかないかという多忙さなので、向こうにあわせて御茶ノ水へ出向くことになった。

 かれこれ十年来の知己だ。神経質で、待ち合わせに必ず余裕をもってくる性格は熟知している。だから遅刻常習犯のわたしも運命にあらがわんばかりの

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向日葵の葬式

向日葵の葬式

今日、八月二日は父方の祖父の葬式だった。私は祖父が苦手だった。底抜けに良い人で、彼と話していると、虫歯みたいに染みついた自分の汚さが目につくから。幼少期、祖父が竹筒を割って流しそうめん機を作ってくれた。真っ直ぐな竹の滑り台に水とそうめんを流すシンプルな構造。猛暑日で、それほどそうめんを好きでもない私と弟は、微妙な反応だった。そんな反応しかできないことに罪悪感も覚えていた。その時の写真が残っているわ

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