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758スクラップブック コラム集

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新聞記者が歩いて、見て、感じたことをコラム調に配信します。「ふと思い出しました」のフレーズで、昔の取材経験を織り込みながら、地域経済や文化の「今」をスケッチする「歩きメディア」で…
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#元新聞記者

名古屋の中学校で防災マップづくり~信州大学の廣内教授が指導

名古屋の中学校で防災マップづくり~信州大学の廣内教授が指導

 情報通信技術(ICT)を使って防災教育に生かす取り組みが始まっています。
 今回紹介するのは、デジタル一辺倒ではなく、中学生たちが歩いて避難できる安全な場所と倒木など危険な場所を撮影し、地図に取り込んでいく取り組みです。
 指導したのは、長野市にある信州大学教育学部・自然地理学研究室の廣内大助教授。名古屋市千種区星が丘山手の市立東星中学校が取り組む学区内の防災マップ作りの現場です。
 初回は7月

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もう「場立ち」に戻れない~名古屋証券取引所の展示コーナーを見ながら

もう「場立ち」に戻れない~名古屋証券取引所の展示コーナーを見ながら

 様変わりです。駆け出し記者のときに見ていた証券取引所は、紙の束が机の上を覆い、株価表示ボードの黒板に手書きで数字が書き込まれていました。
 いまは立会場もコンピュータに変わり、「場立ち」のやり取りの怒鳴り声もありません。
 名古屋証券取引所(名証)は7月5日、名古屋栄の名証ビル6階に名証の歩みを振り返る資料展示コーナーを開設し、一般公開しました。

 早速、5階の記者クラブから足をのばして見に行

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CBCの人気番組「天才クイズ」復活~〇×の二択が意外にスリリング

CBCの人気番組「天才クイズ」復活~〇×の二択が意外にスリリング

 小学生を対象にした視聴者参加型のクイズ番組「天才クイズ」。1967年7月26日にCBCテレビで東海3県を放送エリアにスタートし、2004年9月25日の最終回まで37年間、1930回続いた人気番組です。18年の時を経て、「Pascoプレゼンツ 復活!」として、令和の子どもたちの前に復活します。
 番組は、「天才博士」が出題した問題に対し、「〇」か「×」の帽子をかぶって解答する二択形式のクイズ番組。

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昔の新聞見出しはシャレていた~こどもの日の「マリ」をける少年とは?

昔の新聞見出しはシャレていた~こどもの日の「マリ」をける少年とは?

 ときどき古い新聞スクラップをながめていると、見出しを付ける整理部(当時)のみなさんが、苦心しながら読者のアイキャッチを狙っていたことに気づき、その職人芸に驚かされます。
 5月5日の「こどもの日」に私が書いた記事が見つかりました。
 「さっそう武者人形」
 「全力で”しょうぶ”」
 「『マリ』をける少年」
 この見出しの記事は、1986年5月5日の地域版です。「第10回全日本少年サッカー愛知県大

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終活してたら学生時代の就活がよみがえった~44年前の採用合格通知書から

終活してたら学生時代の就活がよみがえった~44年前の採用合格通知書から

 元気なうちに人生の最期に向けた準備をしておこうと、まず身の回りの書類の整理を思い立ちました。「終活」というほどではないのですが、生前整理で一歩を踏み出しました。
 大学時代のマスコミ試験の資料を整理していたら、マスコミ以外で生まれ故郷に本社を置く鉄鋼商社の採用合格通知書が出てきました。江戸時代創業の老舗です。地元でホームセンターを経営し、東京では飲食店に進出するなど、消費者につながる業態もありま

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NSL再加入~福和伸夫名古屋大学教授最終講義を聞いて

NSL再加入~福和伸夫名古屋大学教授最終講義を聞いて

 NSLというのは、マスメディアと研究者による地震災害軽減に関する懇話会のことです。事務局は名古屋大学減災連携研究センター(名古屋市千種区不老町)にあります。Network for Saving Lives の略称です。
 NSLの創設に尽力された福和伸夫名古屋大学減災連携研究センター教授の最終講義が3月11日、名古屋大学の豊田講堂でありました。防災減災にかける先生の熱弁を拝聴して、私ももう一度、

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「老い」を考える2冊~老いの道、我もいく道

「老い」を考える2冊~老いの道、我もいく道

 新聞社の駆け出し記者だったころの話です。事件記事で40歳代の男性を「初老の男」と書いて当番デスクに原稿用紙を渡しました。すると、「おい、初老はないだろう」と叱られてしまいました。
 辞書で調べても間違いではないのですが、40歳半ばのデスク氏は、初老の文字を消して、整理部(今は編成部)に出稿したのでした。
 定年退職の年齢が55歳という時代だったとはいえ、私自身、40代の人に「老」の字を使うのは抵

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トヨタとからくり人形~九代玉屋庄兵衛展から

トヨタとからくり人形~九代玉屋庄兵衛展から

 翼を広げた鶴がスポットライトを浴びていました。
 からくり人形師の九代玉屋庄兵衛展がJR名古屋タカシマヤ10階特設会場で開かれています。順路の最後の方に大きな鶴のからくり人形があります。初代の玉屋庄兵衛が作り、戦災で失われたものを九代目(1954~)が300年の時を経て復元させました「初代ゆかりの鶴を復活させるのが夢」と語っていた九代目は、鶴の骨格の研究から始めたそうです。
 会場には東海地方で

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バイオリンがつなぐ愛知と信州~「バイオリン王 鈴木政吉が住んだ大府の地」

バイオリンがつなぐ愛知と信州~「バイオリン王 鈴木政吉が住んだ大府の地」

 中島利一さん(中島特殊鋼、メタニクス取締役会長)から、「バイオリン王 鈴木政吉が住んだ大府の地」(大府学研究会発行、原啓印刷)の著書をいただきました。中島さんは愛知県大府市にまつわる郷土史を研究する大府学研究会の会長。大府学の編集長は、元大府商工会議所専務理事で郷土史家の廣江安彦さんです。
 バイオリン王というのは「鈴木バイオリン製造」(大府市桃山町)の創業者、鈴木政吉のことです。同社は1887

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「四季折々の情景」~特色生かしたヤマザキマザック美術館の展覧会

「四季折々の情景」~特色生かしたヤマザキマザック美術館の展覧会

 名古屋市東区のヤマザキマザック美術館で2月27日まで「四季折々の情景 美術館に息づく小さな自然たち」が開かれています。
 「季節と共に移り変わる花々、鳥のさえずり、虫の音、小動物の気配…。日本の四季は変化に富んでいます。そして、その『日本の四季』を五七五の十七文字で鮮やかに切り取る俳句の世界。この展覧会では、現代作家9名(組)の作品を美術館所蔵のアール・ヌーヴォーのガラスや家具と共に展示し、四季

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最近新聞紙学~元旦の地域版から見えてくるもの

最近新聞紙学~元旦の地域版から見えてくるもの

 あらたまの新年を迎え、新聞紙面で1年の動向を探るのも楽しみのひとつです。
 毎年、主要各紙の独自の記事を比較してきましたが、今年は購読紙の中から読売新聞を選んで、沖縄を除く46の都道府県の地域版の連載企画を読み比べてみました。
 主題として多かったのは、「ともに生きる」とか「つながり」といったキーワードです。ここ2年、コロナ禍で密を避けるため、人と人の交流が疎遠になっていましたから、あらためて地

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荒川修作さん直筆のファクス~墓碑銘が載る時期に思い出すこと

荒川修作さん直筆のファクス~墓碑銘が載る時期に思い出すこと

 新聞各紙に今年亡くなった方々の名前や業績が載るみそか(三十日)になりました。この時期になると、2010年5月に73歳で亡くなった現代美術作家の荒川修作さん(1936~2010)のことを思い出します。その年の暮れのある新聞紙面に「世界のアラカワ」の名前がなかったからです。
 荒川さんは名古屋市出身で、1961年に渡米。記号や文字を配列した観念的な作品で知られています。その後、パートナーの詩人マドリ

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世界の民族人形たち~名古屋で見つけた「リトルワールド」

世界の民族人形たち~名古屋で見つけた「リトルワールド」

 世界の国々の人形を集めた展示会「マイコレクション(3)世界の民族人形たち」が名古屋市中区役所地下の「栄四郵便局」で開かれています。
 収集したのは愛知県日進市在住の川田きし江さんと子息の敏章さん。きし江さんは、絵と文で世界の文化を紹介した「地球スケッチ紀行」を4冊刊行しています。これまで世界各地を旅したなかで、今回は約30か国で出会った人形を展示しています。「それぞれの民族の歴史や文化、気候風土

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安く近くリードタイムも短く~安近短のPCR検査でふつうの日常に

安く近くリードタイムも短く~安近短のPCR検査でふつうの日常に

 「安近短」といえば、旅行にいくときに価格が安く、近場で期間も短い商品のことです。今回の感染症対策のPCR検査で、この言葉を思い出しました。
 先日、名古屋市の地下鉄駅を下りると、青いテントが張ってあり、「街頭PCR検査実施中」の旗がありました。早速、受けることにしました。
 検査を受けることができるのは、愛知県在住または通勤・通学者。検査結果を県に提供できること。そして自分のスマートフォンなどで

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