#短編小説
ショートショート「王」
日曜日。
目覚めると彼は王だった。
ゆっくりと城の庭を散策する。
月曜日。
目覚めると彼は衛士だった。
一日中、油断なく城門を見張る。
火曜日。
目覚めると彼は掃除夫だった。
広い城内、とても一人で掃除できるものではない。
今週は東の回廊を中心に清掃する事とした。
水曜日。
目覚めると彼は料理人だった。
一週間分のパンを焼く。肉や野菜も少し調理する。
その夜、彼は夢を見た。
彼がまだ幼い
ショートショート「僕とかぞく」
僕は長男なので「太郎」という名だ。
お父さんとお母さんといっしょにくらしている。
僕が三歳になったころ妹ができた。
妹は「さくら」、春に生まれたからだ。
赤ん坊のころはよく泣く子で、僕もよくおもりをしたものだ。
お昼寝の時は僕が横で一緒に寝てやると、安心したのか不思議と寝つきがよかった。
よく赤ん坊はミルクの臭いがする、というが何かほんわりしたやさしい臭いがしたことをおぼえている。
もう一匹、