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逆クライアントマネジメントという視点の大切さ

戦略コンサルタントのアップルです。

クライアントマネジメントという言葉はコンサル業界でとてもよく使われます。コンサルに限らずクライアントワークにおいてはとても大事です。一方で最近アップルは「逆クライアントマネジメント」の重要性をひしひしと感じています。逆クライアントマネジメントとは何か?なぜ大事なのか?。その辺をお話してみたいと思います。

逆クライアントマネジメントの話に入る前に、まずは戦略コンサルにおけるクライアントマネジメントの話からしていきましょう。

戦略コンサルにおけるクライアントマネジメントの重要性

戦略コンサルに限らず、コンサルティングファームにおいてクライアントマネジメントはとても重要です。プロジェクトを通じていかにお客さんの満足度を高めていくかは最大の肝といってもよいです。

クライアントマネジメントを失敗すると、いわゆる「炎上プロジェクト」になります。

・こういうアウトプットがほしいんじゃない。イメージと違う
・もっとこういう調査もやってもらわないとちゃんとした答えがでないんじゃないか?来週までに追加でこれもやってきてもらえますか?
・これだけのフィーを払ってるのに、このクオリティでは、、、

クライアントからこういう発言が出たら、黄色信号です。積み重なっていくと炎上プロジェクトになり、場合によってはパートナーも前面に出てメンバー総出で火消しをすることになります。こういうプロジェクトが発生すると、特に若手のメンバーは疲弊し、場合によっては離職のトリガーになることもあります。

一方で、クライアントマネジメントがうまくいくと、いいことづくめです。

・クライアントから感謝され、チーム全体の士気が上がる
・ファームに対する信頼感・ブランドが増す
・クライアントとの信頼関係が構築されて、パートナー関係になる。コンペになることがなくなる
・継続的にプロジェクトを頂くことができるようになる

クライアントマネジメントの責任を主として担うのは、コンサルティングファームの中ではプロジェクトリーダー/プロジェクトマネジャーです。顧客の期待値を正確に把握し、メンバーのリソースをうまく使いながらその期待値を超えるところまでもっていく。こういう舵取りの妙が求められます。

ちなみに戦略コンサルティングにおいて特にクライアントマネジメントが難しいのには2つ理由があります。

一つは、アウトプットの抽象度が高く、目に見えづらいことです。
検討した戦略などは最終報告資料として紙に落とすわけですが、とは言え非常に抽象度が高いです。商品が目に見えづらいという難しさがあります。「戦略」とか「問題解決」というふわっとしたものに対しては、クライアントの期待値もふわっとします。クライアント自身が何を期待しているのかモヤモヤしているケースもあります。

その中でクライアントの期待値を、言語化されていないものも含めて察知し、把握することは結構な職人芸という印象を持っています。

もう一つは、クライアントの期待値が日々変わっていく点です。
プロジェクトをスタートした時点での期待値がそのまま変わらないということはまずありません。特に経営者は日々いろんな情報に触れ、いろんなことを考えているので、その中でコンサルファームに対する期待値も変わっていきます。そこの「変化」をくみ取り、期待値の変化に合わせてアウトプットをコントロールしていくことが求められるわけです。

こうした理由で、戦略コンサルにおけるクライアントマネジメントはほかのクライアントワークと比べても難易度が高いのです。

同じくらい大事な逆クライアントマネジメント

とここまでは、読者にとっても想定内の話かと思います。クライアントマネジメントが大事ということは客商売をされている方ならよくお分かりだと思います。

ここからが本題です。クライアントマネジメントの裏返しとして、逆クライアントマネジメントというものも同じくらい大事じゃないかと最近ひしひしと感じています。

これについては、この業界に入ってしばらくは、その重要性にほとんど気づいていませんでした。ですが、プロジェクトを率いる立場となり、クライアントとフロントで接するようになってからひしひしと感じるようになりました。

逆クライアントマネジメントとは、「取引先をうまくマネジメントする力」のことです。つまり、客は自分で、客の立場で取引先をどううまくコントロールするという意味でのマネジメントです。

戦略コンサルを例にとれば、コンサルティングファームをどれだけうまく使うかという話です。こっちが高い金を払っているんだからそんなことを気にせず使い倒せばいいんだと考えている会社がもしあるとすればそれは結構まずい印象です。なぜなら、コンサルティングファーム側もお客様を目利きしているからです。

「お客様は神様だ」という言葉があるとおり日本ではお客様の立場が強い傾向にあります。カネを出してるんだから当たり前じゃないかと考える向きもあると思いますが、本来すべての取引は「対等」なはずです。

何らかの商品やサービスを事業者が提供する。その対価として顧客がお金を支払う。こういう双方向の取引をしているわけです。その取引においてどちらが偉いという話はありません。

そういう取引の基本を忘れ、取引先を使い倒そうとしたり、上から目線で接するようなことをすると、取引先は離れていくリスクがあります。離れていかないまでにしても、取引先側のモチベーションや取引先側のそのお客様に対する投下リソースやコミットメントが落ちるリスクは大いにあります。

顧客にとっても、取引先にとっても、その取引を通じていかにいい価値を生み出すかという視点が大事です。

具体的に逆クライアントマネジメントをうまくやらないとどういうことが起きるでしょうか?

コンサルティングサービスだと、いいメンバーがアサインされないリスクが高まります。そういうクライアントとのプロジェクトは、直ちに悪い評判がファーム内に広がるので、いいコンサルタントが別のプロジェクトに取られてしまうリスクが高まります。ひどい場合はアサインしたいコンサルタントから直接断られてしまうこともあるでしょう。

もうひとつは、コンサルティングファームからの提案が少なくなる可能性があります。「この会社に提案してもだめだろうな」「プロジェクトが売れたとしてもこき使われるからな、、」という負の期待が醸成され、提案する前に躊躇することになります。結果的にいい提案が上がってこなくなります。

当然、取引先を甘やかせばいいというわけではありません。対価に見合う高い期待値を設定し、アウトプットが期待値に達していないとすればそこを厳しく追及しやらせるべきです。ただ、「このファームをどううまく使えばいいアウトプットにつながるか」「そのためにこちらがやるべきことはなにか」ということを意識することが、結果的にプロジェクトをいいアウトプットに導く確度を高めることになるでしょう。

逆クライアントマネジメントの実践が大事

コンサルティングサービスだと法人対法人の付き合いになりますが、逆クライアントマネジメントは個人対法人の付き合い(つまりBtoCビジネス)でも大事だと思います。

アップルも客の立場で業者の方と接することがありますが、「どうしたらいい提案をもってきてもらえるか」「どうしたら自分に対するロイヤリティを高めてもらえるか」ということを頭の片隅に置きながら接するようにしています(どこまでうまくできてるかはわかりませんが)。

また、仕事では「取引先」の立ち位置で、客の立場で物事を考える機会がほぼないので、客の立場で物事を考えることを日常生活で実践しておくことは意味があるように感じています。客の立場で物事を考えるからこそ、取引先の立場としてどう動けばいいのかという示唆が得られる気がしているからです。

みなさんは、クライアントマネジメント、更には逆クライアントマネジメントについてどんな問題意識をもっていますか?ぜひ教えてください!

ご意見や感想があればコメント欄までお願いします!


今回はここまでです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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