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「Phone」じゃない「 iPhone」の歴史〜iPod touchのデザインを全て解説〜

今回はiPodシリーズの中でもかなり特殊な立ち位置のiPod touchのデザインを振り返りつつ、解説してみたいと思います。

iPod touchはそもそもiPodなのか

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iPod touchはもともとiPhoneユーザーになる前の若者を対象にしたデバイスで、プレiPhoneとでも言うべきデバイスでした。

移動通信システムに対応していないので、携帯電話ではありません。なので製品名に、「Phone」という名称は使えません。
そこでiPodとして位置付けたわけです。

デバイスの外観も多くの場合、iPodを意識したものになっていました。

今となっては、若者も当然のようにスマートフォンを所有していますし、もっと幼い世代であれば、親の型落ちデバイスで足ります。ですから、プレiPhoneという存在はほとんど不要となっています。

現在でも販売されている唯一のiPodですが、いまいち使用場面の分からないデバイスになってしまいました。

第1世代

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正面はiPhone(第一世代)に準じていますが、フロントパネルを囲んでいた鏡面仕上げのステンレススチール製のフレームがなくなっています。代わりにポリカーボネート製のフレームが使われています。

また、背面はiPodらしい鏡面仕上げの筐体になっています。形状もiPhoneよりもiPodに近い箱型です。

アンテナカバーとして、筐体の一部を金属ではなく黒いポリカーボネートに置き換えるのはiPhoneと同じやり方です。

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しかし、iPhoneはデバイス背面の下側全体がポリカーボネートに置き換わっていたのに対し、iPod touchでは、背面の左上の端だけが置き換わっています。

これはこれで面白いのですが、対称性に欠ける形状ですし、やや安定感に欠けます。

最近、このiPod touchの試作機とされるデバイスが公開されていましたね。この試作機では、黒に近い色が使われていたようです。

あまりiPodらしからぬ色ですが(U2エディションに近い気もしますが、ちょっと違いますよね?)、背面のアンテナカバーと馴染んでいます。アンテナカバーの違和感を緩和する目的で作られたのかもしれません。

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https://twitter.com/donglebookpro/status/1289710804338647040?s=21



第2世代〜第3世代

この世代でまず目につくのは、アンテナカバーの形状の変化です。

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背面の一部を切り取るような形状に変化しました。
シンプルさという観点からは、第1世代のデザインとあまり変わらない気がしますが、美観という点ではやはりこちらの方がいいですね。

筐体は第1世代よりも丸みを帯びています。iPhone 3Gを参照したのだと思われます。iPod touchはiPhoneよりも筐体が薄くなる傾向にあるので、その点ではiPhoneよりも優れたデザインです。

ただ、iPhone 3Gのデザインは、素材やアンテナ設計とも関係しているので、素材やアンテナ設計の異なるiPod touchでも同種のデザインなのはちょっと不思議ですね。
プレiPhoneであるということが影響しているのでしょうか。

ちなみに、iPhone 3Gのデザインは下の記事で解説しているのでどうぞ。


第4世代

この世代も背面が鏡面仕上げなのは変わりませんが、筐体の形状はiPad2のデザインの影響が見られます。背面が平らで、側面が垂直ではなく、背面側に傾いているような形状です。

薄型化の結果、背面が平らになったのだと思われます。

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また、アンテナカバーがなくなり、すっきりとしています。

背面は綺麗な鏡面仕上げなのですが、やや安っぽく感じるデザインでした。素材がアルミニウムに変わって軽くなったからでしょうか。

第5世代〜第7世代

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正面のデザインは、同時期に登場したiPhone 5のC面処理されたエッジデザインを採用しています。ディスプレイサイズもiPhone 5と同じです。

背面はこれまでとは異なり、鏡面仕上げではなくなりました。どちらかというと、同時期のiPadの背面デザインに近いものです。
iPhoneとの関係では、iPhone 5が背面もC面処理をしていたのに対し、こちらは角丸処理です。iPhoneに似ていてもiPhoneではないと考えているのがよく分かります。

ちなみに、第5世代モデルはストラップがついていました。
背面に押すと飛び出るフックが搭載されていて、そこにストラップを引っ掛けるようになっていました。

ただ、ストラップ自体が外れやすく、あまり実用的な機能ではなかったような気がします。登場した時は、ケータイのストラップのように一大ブームを巻き起こしたら面白いねと評する人もいましたが、サードパーティから互換品が出たりということはなかったようです。

加工コストも高かったのか、いつのまにか廃止されてしまいました。

いま近いのは、Siri Remoteのストラップでしょうか。こちらはLightning端子に挿すタイプです。

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Lightningにさすタイプは、頻繁に充電するデバイスでは不便ですが、ストラップとしての使い勝手は上ですね。

ちなみに、この世代での個人的なお気に入りはカメラもストラップも廃止されたモデルです。世代としては第5世代ですね。

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第4世代までのデザインに一番近いのモデルです。ディスプレイもちゃんとブラックです。

コスパはさほどよくないモデルだったのですが、背面のすっきりとした感じが気に入っています。

新しいiPod touchは出るか

Appleはサブスクリプションサービスを複数提供しているので、それらを手頃な価格として使用するためのデバイスとしてiPod touchにも一定の価値がありそうです。

たまに新型iPod touchが登場するんじゃないか、という噂も聞こえてきたりします。

ただ、どれも大画面の方がいいのは明らかなので、格安なiPadの方が適している印象です。iPadは値段も下がってきているので、あえてiPod touchを買うという人は今ではほとんどいないのではないかと。

それに、いま新しいiPod touchを作るなら、iPhone SE(第2世代)のようなものになりそうですが、携帯電話としての機能を削っても、いちばん安いiPadと大差ない値段になりそうなんですよね。なら尚更iPadでいいだろうと。

iPod touchはiPodではないといいましたが、消えゆく定めはiPodと同じなのかもしれません。

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