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夏の課題図書に最適! 【読後感想】ロバート・A・ハインライン『夏への扉』

1957年
 恋する本
 SF
 85点
 7.5h

とてもよかったよ。読後、ああこれ、『時かけ』か。と思った。いい本って意味でも近いかもしれない。さすがに児童書ってことはないが、それでも若いころに読んだほうがいい。読書感想文の課題図書として最適かと思った。

あなたがイメージした表紙じゃないかもしれないが、家にあったのはこっちの表紙の方だった(たぶんイメージしたのはアニメ映画で、少女が制服でショルダーバックをもってジャンプした、背景が青の方じゃないだろうか)。

まあ、『時かけ』はちょっと子供向けかも、なんて思うなら、大人向けってことで『夏への扉』を読んで読書感想文を書いてみよう。という提案だ。

さすがに児童書じゃないってのは、昨日の記事でも書いたことだが、『夏への扉』は「ハードボイルド」だからだ。がしかし、さすがに大カテゴリは「SF」だ。また、『時かけ』と同じように「恋する本」としたが、それは意見様々だと思う。ちなみに新潮5分類(ほかに「シビレル本」「考える本」「ヤバイ本」「泣ける本」)なら、あなたなら何に分類するだろう。

本書は、『時かけ』と同じようにタイムリープ系だ。最近では『東リベ』と同じようにそうだ。なんて言ったら怒られる汗 まったくの逆だ。たぶん、それら系すべての原案、パイオニアだ。なんといっても1957年の作品だからね。
まて、タイムリープであってる?
巻末にはタイムトラベルと説明があった。
少し、調べてみよう。
ソースの信用性はわからないが、あるサイトの説明を引用する。

タイムリープ :時間跳躍(和製英語、『時かけ』の造語らしい)※
タイムトラベル:時間旅行、「タイムマシン」を使って過去や未来に移動

2つの違いは、「タイムマシン」の有無だ。タイムリープはタイムマシンを使わないでも時間をぴょんぴょんできるとのこと。なるほど!
たしかに『時かけ』でも『東リベ』でもそんな大層な機械はなかった、あれは意識で飛んでいた。だったよね汗 いずれにしろ分かった。
ということで、
本書はタイムトラベル系でした。失礼!

1957年に発刊された小説で、その舞台は1970年。そしてその30年後の2000年にタイムトラベルという、少し複雑(もちろん物語はそこからさらに複雑になって、さいごの方はいささか難しくはある)な構成になっている。感心するのは、そもそも時代舞台からすでに未来を書いていること。

ちょっとだけ触れるが、6週間戦争の後という設定もある。この6週間戦争はたぶん第三次世界大戦的なことのメタファーだと僕は考察している。で、ここから冷凍睡眠(コールドスリープ)でもって2000年に時間旅行するのだ、この想像力よ!

SFのいいところは、こういう想像力に触れることだと思う。想像力が鍛えられるし、読んでいない人には想像できない世界があることを知れる。

今は、2023年でハインラインが書いた2000年よりもずっと未来だ。答え合わせしようなんて性格悪いことは言わないが、ただ、そこまでズレてるってこともないだろう。まあ、カラクリはわかるよね。
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という、名言がある。SFの父「ジュール・ヴェルヌ」の言葉だ。ようは、未来ってのは、想像の延長にある。と、ちょっと乱暴かな汗

ドラえもんだって、そうだ。あれも、そろそろかもしれない。
最近ではチャットGPTがすごいらしいね。2045年のシンギュラリティはもっと早まるとかも言われている。『マトリックス』の世界感だって笑えない。大マジかもしれない。そういう未来は確実に近づいている。

僕がSFを読むのも、もちろん物語として楽しくあることもあるが、そういう未来にいち早くアプローチできる点にもある。

さいごに、少しばかり本書から引用をする。安心していい、これを読んだからってネタバレしない。むしろ、本筋とは関係ない所ばかり抜粋した。ほんとうは付箋はもっといっぱい貼ったが、このくらいにしておく。

 なにしろ創造的な仕事は男を山羊のように臭くする。

 そんなことなら軍隊にいて将軍になるほうがまだましだ。

 おそらくぼくは勝てないだろう。だがぼくは、彼らに、戦いというものがどういうものか身にしみて感じさせてやるのだ。ピートが身体じゅうから血を流して帰ってきながら、なおも、「どっちが勝ったか決めるのは敵の姿を見てからにしてくれ」と主張する時のようにだ。

 いや、あの当時だって、若く見える女はけっこう若く見えた。40フィート離れて見れば、41だか18だかわからないことがよくあったものだ。

 紀元2000年に生きることは、本で読むのとかなりちがった。それは、セックスについて読むのに似ていた。

「きみはこの20分ばかりそのことばかりいってるぞ。大丈夫だよ、技術屋はどっちみち少し狂っているんだが、きみもその程度にしか狂っちゃいないよ」

 この偉大なる廃墟の、最大の弱点は、彼の持つ職業的虚栄心だった。

ロバート・A・ハインライン『夏への扉』から抜粋

気に入ったところを引用した。ハルキ的かな。ま、これも逆で、彼が海外文学的なんだと考察するけどね。ピートってのは、猫だ。内容には触れていない。面白かった。読んでよかった。よい小説という分類があれば、それにあたる。これで〆る。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それではまた明日!

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